ヨーロッパ4カ国を旅して回り、実際に目にして感じた街の魅力をお伝えするとともに、円安の影響を大きく受けた旅費の話まで正直に明かす本連載。第2話は、ミラノ・フィレンツェ・ローマ・ベネチアを回ったイタリア編です。

[目次]
1.イタリア都市間の移動方法
2.イタリアの主要観光スポット
3.ホテルには期待しすぎないこと
4.現地の交通事情
5.食事について
6.まとめ


イタリアは日本の国土面積と同じくらい広く、ファッション都市のミラノがあれば、ピサが有名なナポリ、文化の遺跡が数多く残るシチリア島やローマ、水の都と呼ばれるベネチアなど都市によって異なる魅力がつまった国です。イタリア国内だけでも、行きたいところをあげればキリがありません。そんな魅惑の国、イタリアへせっかく行くのであれば、いくつかの都市を巡りたいと考える人も少なくないでしょう。私もそんな夢をずっと持っていました。

今回は念願がかない、人気の都市ミラノ・フィレンツェ・ローマ・ベネチアを順に訪れることができました。実際にイタリア4都市をめぐって感じた、旅の魅力と注意点、そして旅費のお話をしていきます。旅行計画の参考になれば幸いです。

♢イタリア都市間の移動方法

第1話でお話していますが、イタリアの前にパリに滞在していたため、まずパリからミラノへ飛行機で向かいました。パリからミラノまでは列車の選択肢もあります。イタリア国内は全て列車で移動しました。

今回のミラノ・フィレンツェ(&ピサ)・ローマ・ベネチアの順で回った際の、各都市の移動手段と時間は下記の通りです。

イタリア都市間の移動時間と金額の表
Mirei Uchihori
※上記の価格や時間は旅行時点のものであり、価格や時間は変動する可能性があります。あくまで参考程度にご覧ください。

【注意点①】チケットの事前購入

イタリアの都市間を列車で移動する際は、チケットは事前に(少なくとも前日には)予約しておいたほうが良いでしょう。

今回私は、現地に着くまでチケットを購入していなかったため、ミラノからフィレンツェへ移動する日にチケットが売り切れており、困り果てるという嫌な思いをしました。フィレンツェの中心地であるサンタ・マリア・ノヴェッラ駅までの直通列車が発車するミラノ・ロゴレード駅まで向かい、窓口に行くと「今日のチケットは売り切れたから、乗り継ぎ便で深夜に着くやつならすいてるよ」と、衝撃的な提案をされました。そこで券売機で探したところ、ボローニャ経由の乗り継ぎ便のチケットが購入できました

今回は幸い、乗り継ぎでフィレンツェまで向かうことができましたが、想定していたよりも移動に時間がかかってしまい、予定も変更しなければならなくなってしまいました。

ミラノからフィレンツェへの移動手段は、高速列車と普通列車、そしてバスの移動手段があります。もしチケットの事前購入が間に合わず当日に購入する場合は、ミラノ中央駅から出発する方が選択肢が多いでしょう

【注意点②】ストライキ

チケットの事前購入をしておくべき理由は、もう一つあります。日本に住んでいたらほとんど遭遇することはありませんが、イタリアはストライキがとても多い国です。とは言え、ストライキは事前に予告されていることがほとんど。チケットの購入ページやホームページにもストライキの情報が掲載されているため、事前購入の際に併せて確認できます。

実は、私はイタリア周遊中にこのストライキに遭遇しました。フィレンツェ滞在中に日帰りでピサの斜塔(ピサ・セントラル駅から徒歩20分ほど)に行く日のことです。フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ駅からピサ・セントラル駅までは、高速列車で1時間ほどで到着することができます。

ピサの斜塔は入場時間が決まっており、フィレンツェ滞在中はその日しかチケットの空きがなかったのです。なので、スケジュールを変更するという選択肢はなく、なんとかして行くか、諦めるか、の2択でした。

まずピサ空港までバスで行き、そこからタクシーで行く方法に望みをかけましたが、バスもストライキしていたのか、本数が少なかったためか、バスは一向に来る気配がなかったためタクシーに交渉を持ちかけました。

ピサのドゥオモ広場まではタクシーで1時間半ほどかかりますが、ネットで調べても相場どころか情報がありませんでした。恐るおそる「どのくらいの金額になる?」とドライバーに聞いてみたところ、「200ユーロくらいだ」と言われました。ダメ元で値引き交渉もしましたが断られたため、別のタクシーのドライバーに聞いてみたところ、今度は「150ユーロくらいだよ」と言われました。なので、こちらに乗り込みました。結果、到着していざメーターを確認したら160ユーロ(約2万5000円)ほどでした。タクシーにこんな高額な支払いをしたのは人生で初めてです。その代わり、ピサではとても良い時間を過ごせました。

♢イタリアの主要観光スポット

イタリアには、世界遺産が東西南北と点在しています。遺産登録されていなくとも、言わずと知れた名所も数多く存在します。「水の都」として知られるベネチアに至っては、街そのものが世界遺産です。

今回訪れることができたのは、9カ所の名所。その入場料については、下記のギャラリーをご覧ください。

ミラノのドゥオーモ/duomo di milano

話は逸(そ)れますが、実は今回ベネチアではゴンドラに乗ってみたかったのですが、たまたま街中を歩いているときにコンサートの貼り紙を見つけ、そのチケットがとれたため、ゴンドラではなくコンサートを優先しました。ベネチアのサン・ヴィダル教会で行われた、ベネチア室内合奏団(Interpreti Veneziani)によるコンサートです。

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ベネチア室内合奏団は日本でも定期的にツアーを行っているらしく、「これも何かの縁か」と思い、鑑賞を決めました。独自の楽器を使用した演奏が特徴で、地元の人らしきイタリア人や親子がそろって聴きに来ているようで、生活の一部にクラシック音楽が溶け込んでいる様子が見て取れました。貴重な経験と、新たな音楽との出合いがあり、素敵な時間が過ごせました。

♢イタリアのホテルには期待しすぎないこと

イタリアの宿探しは、一番難しいものでした。旅行中は部屋にいる時間は少ないとわかっているものの、帰ってから部屋の居心地が悪く、疲れが取れないということは避けたかったので、ホテルの評価やグレードは重要視して選びました。三つ星や四つ星ホテルであれば、最高の体験とまではいかずとも、快適に過ごせると思っていたのです。

ですが、行く先々で何かしらのトラブルに見舞われました。部屋の中で蚊が大量発生していたり、早朝から両隣の部屋で改修工事が行われたり、部屋の扉が薄く廊下で話す人の声が気になったり、エレベーターが壊れやすく階段でスーツケースを運んだり、仕舞いには蛇口をひねってもシャワーが出てこないこともありました。初めこそいら立ちましたが、トラブルが積み重なるにつれ、「このマイペースなところも含めて、イタリアの面白さなのかな」と納得し始めました。

そんな風に思えたのは、やはりイタリアの人の良さのおかげかもしれません。どのホテルでもスタッフの方々は親切で、近所でおすすめのレストランやジェラートショップは進んで教えてくれたり、ロビーを通れば冗談を言ってくれたりと、人との距離がとても近く、そんなお茶目なところが心にゆとりを持たせてくれたのかもしれません。

ミラノ
Sonder Missori
ホテルグレード:★★★★☆
滞在日数:2泊3日
合計 €494.58(7万5757円)

フィレンツェ
Mercure Firenze Centro Hotel

ホテルグレード:★★★★☆
滞在日数:3泊4日
合計 €850.69(13万5817円)

ローマ
Hotel Alpi

ホテルグレード:★★★★☆
滞在日数:2泊3日
合計 €571.82(9万1427円)

ベネチア
BW Premier Collection CHC Continental

ホテルグレード:★★★★☆
滞在日数:2泊3日
合計 €593(9万5156円)

♢現地の交通事情

ミラノ

各都市により、交通事情は異なります。今回4都市を回って、「最も公共交通機関が充実していたのはミラノだ」と感じました。メトロや路面電車に乗る際は、「ATM Milano」というアプリでチケットを事前に購入しておけます。滞在日数が短い場合は、このアプリで「24時間乗り放題」のチケット(€7,60<1205円>)を購入するのがおすすめです。

フィレンツェ

フィレンツェはコンパクトな都市で、ほとんどの観光地を徒歩だけで回れます。ただ、ミケランジェロ広場など少々離れている場所もあるため、その際はバスやトラム、タクシーでの移動になります。今回は全て、徒歩で移動したため割愛します。

ローマ

ローマは、コロッセオやトレヴィの泉、バチカン市国など観光名所が離れているため、歩いて回るのは難しいと判断しました。ローマ・テルミニ駅では、観光地を回遊している1日乗り降り自由のツアーバス(今回利用したのはグリーンライン・ローマ €60/大人2人<¥9,703>)が何社もあるため、これを利用しました。5〜10分に1本出発しており、市営バスのようにチケットを見せるだけで乗り降り自由となっているので便利なのですが、市営バスと比べると割高です。また、何度かタクシーにも乗りましたが、コロッセオからホテルやスペイン坂からホテルの距離で、€10前後で乗れました。Uber以外の流しのタクシーは、現金での支払いを求められることがほとんどだったので注意が必要です。

ベネチア

ベネチアは徒歩での移動が基本です。車はなく、往路はローマ・テルミニ駅から列車でベネチア・サンタ・ルチーア駅まで行き、帰路は市内からマルコポーロ空港まで水上バス(€30/大人2人<4796円>)で向かいました。一度、疲れ果てて水上タクシーに乗ろうかと考えましたが、「100ドルから」と言われ断念しました。歩きやすい靴を用意しましょう。

♢食事について

イタリアでは、毎日イタリア料理を食べていました。「もうこれ以上小麦は食べたくない!」と思っているのに、美味しそうなパスタやピザの写真を見ると、なぜか釣られて食べたくなってしまうのです。

ベネチアで1度だけ我慢の限界がきて、日本食のレストランに行きましたが、それ以外は全てイタリア料理でした。金額の参考までに、イタリアで訪れた中でも特におすすめの最高のレストランBEST10をご紹介します。

dal bolognese milano(ミラノ)

♢まとめ

夏のイタリアは想像以上に厳しく、35〜40度前後の日がほとんどです。暑さに加えて、エアコンが設備されている施設やカフェも少ないため、「イタリア人は働かない」と言われている理由が理解できました。それでも、暑さに負けずファッションを楽しんでいる人は必ずいて、日光浴を楽しむ人々に元気をもらうこともできました。

ナポリやシチリア島、ボローニャなど、まだ巡りたい場所がたくさんあります。奥深い魅力のあるイタリアに、また訪れたいです。

※記事内に記載の金額やレートは、旅行時点または記事随筆時点の価格です。