CDCとは、アメリカ疾病予防管理センター(Centers for Disease Control = 以下:CDC)のこと。そしてCDCはこのたび国民に対し、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の危険から身を守るように」と警告を発しています。

 「最悪の事態に備えて警戒を強めるよう、当センターよりアメリカ国民に対し呼びかけを行っています」という、CDC傘下の全米免疫・呼吸器疾患センター(National Center for Immunization and Respiratory Disease)のディレクター、ナンシー・メッソニエ博士のコメントが2020年2月25日付の「ニューヨークタイムズ」紙に掲載されました。
 

◇アメリカのコロナウイルス対策は十分じゃない?

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 既に世界各地で死者を出し、経済的大打撃を引き起こしているCOVID-19ですが、これによる被害とその拡散に対するアメリカ合衆国政府による準備と対応が、果たして十分なものであるか? 今、世間には疑問が渦巻いています。

 このような事態に直面したとき、私たち個々の市民は一体どのような行動を取れば良いのでしょうか? 「恐怖でパニックに陥ることのないよう努めるべきです」と注意をうながすのは、コーネル大学医学部およびニューヨークプレスビテリアン病院(コロンビア・コーネル大学病院)の内科医キース・ローチ博士です。「特に今回のようなケースにおいては、パニックしないように心掛けておくべきでしょう」とのこと。

 アメリカ国内においては、COVID-19の発病者数よりもインフルエンザによる死者数の多いことが、すでに何度も繰り返し報じられています。「どちらのウイルスも警戒すべきです。しかし、運転中のクルマの交通事故のリスクと比べれば、いずれもさほど危険とは言えません」と、ローチ博士は指摘しています。
  

◇そう聞いてなお、不安を拭い去ることができないのは何故でしょうか? 

 その理由のひとつは、「このインターネット社会にある」と指摘するのは、『リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理』(早川書房/2009年)の著者ダン・ガードナー氏です。「わたしたちは特定の情報だけに焦点を当てて、それで物事を判断してしまいがちなのです」と、ガードナー氏は強く言います。

 例えばインターネット上で情報を探す際、「それが事実であると信じたい情報ばかりを求めてしまう傾向が、人間にはある」とのこと。

 「人は恐怖を覚えると、その恐怖を裏づけるなんらかの根拠を求めるのです」と、ガードナー氏は続けます。「ウイルスに恐怖を覚えた人々は、そのウイルスが蔓延しているという証拠を探し出そうとするのです」とのこと…。

 そして今日のSNS環境において、それはまったく難しいことではありません。「例えば、実際に新型コロナウイルスで亡くなった人を誰か思い浮かべることができるか自問してみてください。『そう言えば、昨夜のニュースで死者が出たと言っていたな』と記憶の中から探し出すことで、強迫観念が増すわけです」というのが、ガードナー氏の説明です(地球規模のパンデミックを題材にした映画を観た場合にも、同様の影響を受けるでしょう)。

 毎日24時間、リアルタイムで流れてくるニュースは役立ちます―ただし、それは信用に足る情報源より発せられたニュースであることが大前提となります。「人々の関心が高まるにつれ、今度はメディアが人々の関心を反映するようになるのです。このようなフィードバック効果は強力な作用を生み出して、やがて人々は小さなリスクに対しても過剰な反応を示すようになってゆきます」とガードナー氏は柔らかに警鐘を鳴らします。

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 実際にCOVID-19については「新型」と言われるように、まだまだ未知なことが多く、そのことが私たちをより一層不安へと誘ってくれるのです。

 新型コロナウイルスがどのような経緯で、いつから、どれほどの範囲まで広がっているのか? 専門家たちも未だその調査の渦中にいるのです。実体については、まだ漠然としか分かっていません…。

必要なのは、「適切な予防措置を取り、情報を開示することです」

 例えば、CDCによるCOVID-19の症例を確認してみてください。「発熱、咳、呼吸困難を伴う」という程度のことしか、未だ分からないのです。これでは良い状況とは言えません。「混乱を引き起こさずに、状況をコントロールするためには、心理学的知見も求められるでしょう」と、ガードナー氏は言います。「よく分からないけど心配はしない、などという態度を取ることは簡単ではありませんので…」とも言っています。

 とにかく必要なのは、「適切な予防措置を取り、情報を開示することです」と、ガードナー氏は強調します。自分に何ができるかを知った上で、自分ではどうしようもないことについては気にしても仕方ないのですから…。

 まめに手を洗い、できれば消毒を欠かさず行い、具合が悪くなったら仕事を休む。またマスクをつけるなど、そんな自分でできる予防措置に努めることです。

◇まとめ

 私たちも人間ですから、何も知らないままでは不安が募るものです。だからといって恐怖にドライブされてしまえば、誤った結論へと自らを導いてしまいかねません。さらに、COVID-19が社会に壊滅的な被害をもたらし得ると考えれば、気持ちが落ち着かないのは当然のことと言えます。しかしながら、以上のことさえ頭に入れ、そして、それに努めればいいのです。そうすれば恐怖でパニックに陥ることはなくなるでしょう。とにかく、現在確実に言えることは、「手洗い、できれば消毒まですることが最重要」ということであり、それを皆で心掛けることがパニックへと陥らないための方策ではないでしょうか…。

Source / Men's Health US
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。

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