今回から4回にわたって、健康診断の結果を受けて、どんな項目や数値に注目したらいいのか、数値の改善につながる食事の方法をお伝えしていきます。初回は、日本人にとって生活習慣病最大のリスク要因である「高血圧」について詳しく見ていきましょう。

健康診断の結果「血圧」の数字の見方

高血圧治療ガイドライン2019(日本高血圧学会)によると、診察室で測定した血圧が140/90mmHg以上、家庭で測定した血圧が135/85mmHg以上だと高血圧となります。(※年齢や持病により、高血圧の数値は異なります)。血圧の上の値を正式には「収縮期血圧」、下の値を「拡張期血圧」と呼びます。

健康診断,高血圧
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出典:高血圧治療ガイドライン

2019年から正常血圧から高血圧までの間を正常高値血圧、高値血圧と2段階に分け、「高血圧の一歩手前で注意が必要なレベル」ということで、高血圧予備軍とされるようになりました。持病や疾病のリスクが高い場合は治療の対象になることもあります。収縮期血圧だけが異常値を示すもので、高齢者に多く見られる高血圧です。

収縮期血圧が100mmHg未満の低血圧の場合は、自律神経の乱れや薬の副作用などが原因として考えられます。めまい、ふらつき、立ちくらみが頻繁に起こる、倦怠(けんたい)感、眠気など症状はさまざまですが、自覚症状がある場合は治療が必要になります。

高血圧の原因は?
放っておくとどうなる?

血圧が高いと、血管の壁の内側に傷が付き、血液中のコレステロールなどがたまって動脈硬化を招き、やがて脳卒中、脳梗塞、狭心症などの病気を引き起こしてしまいます。

senior woman measures pressure at home
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高血圧の要因としては、塩分の取り過ぎや野菜不足など偏った食生活、肥満、運動不足などが考えられます。日本人は高血圧の人が多く、国民の3~4人に1人が高血圧といわれていますが、肥満の人では2人に1人にまで割合が増えるほど、特に肥満は大きな要因となります。その他にも、高血圧の原因となる生活・環境要因には、睡眠不足、過重労働、過剰飲酒、寒冷、ストレスなどがあります。

高血圧予備軍や高血圧の方は、(1)塩分の取り方、(2)生活習慣、(3)体重、この3点を見直していきましょう。

血圧を改善する
食習慣三つのポイント

ここからは血圧が高い方向けに、数値改善のための食習慣のポイントをまとめていきます。

【その1】塩分の摂取量を減らす

まず高血圧の予防に欠かせないのは、減塩です。食塩摂取の目標は、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満とされています。

また、日本高血圧学会は、高血圧患者における減塩目標を1日6g未満にすることを勧めています。

salt pouring onto chips
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汁物は具だくさんにする、漬物は1日1回、外食や加工食品を控えるといったことも減塩につながります。例えば、ラーメンやうどんの汁を残せば2~3g程度の減塩になります。普段の食習慣でできるところから始めていきましょう。「つい調味料をかけ過ぎてしまう」という方は、料理に直接調味料をかけるのではなく、小皿に入れて付けて食べるようにする、卓上に出す調味料を減塩商品に変えるのもおすすめの方法です。

コショウや七味、ニンニク、カレー粉などの香辛料の風味や、かんきつ類、お酢の酸味は塩味を感じやすくします。こういったものも合わせて活用すると無理なく減塩ができ、高血圧予防につながっていきます。

【その2】野菜を積極的に取り入れる

野菜や果物、大豆製品に豊富に含まれるカリウムには、体の中から食塩を排出しやすくする働きがあります(ただし、腎臓の病気がある人は、カリウム摂取の制限が必要な場合があるので、主治医と相談するようにして下さい)。

高血圧,野菜
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普段野菜を取る習慣がない方は、カット野菜や冷凍のミックス野菜が手軽で便利です。一日で両手1杯分の生野菜がとれるのが理想的なので、汁物を野菜たっぷりにしたり、ラーメンに冷凍ほうれん草をトッピングしたり、野菜のちょい足しを意識して過ごしてみてください。また、カルシウムにも血圧を安定させる効果があるので、牛乳や乳製品も合わせてとるようにしましょう。

【その3】塩分表示を要チェック

コンビニや加工食品をよく利用する方はもちろん、普段料理に使う調味料も成分表示をよく見て選びたいですね。食品表示には必ず食塩(g)またはナトリウム(mg)の表示があります。ナトリウムで記載してある場合は、ナトリウム約400mg=食塩1gと換算して計算しましょう。

普段から塩分量を意識し、
毎日血圧を測る習慣を

普段から塩分量を意識するようになると、「さっきあれだけ塩分を取ったから、次は控えめにしよう」と、減塩への意識も高まります。今まで無意識だったところを意識するようになることが、健康な体づくりにつながっていきます。

eat less salt advice written with plastic letter beads on granulated salt – healthy food lifestyle
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高血圧は自覚症状がない場合が多いので、健康診断で血圧が高いとわかったら家庭用の血圧測定器などで毎日血圧を測る習慣をつけるのもおすすめです。「まだ大丈夫」と思わずに、今日から少しずつできることから始めていきましょう。

高血圧の方向けの塩分を減らす方法については、(ダイヤモンド・オンライン内)過去の記事でも詳しく紹介しています。併せてお読みください。

(参考)
厚生労働省e-ヘルスネット 高血圧
高血圧治療ガイドライン2019

※この記事は2022年5月23日に公開されたものです。
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