私たちの多くは何の疑いもなく、当然のように切り捨ててしまう野菜や果物の皮やヘタ…。でも実は、「問題なく食べられるものばかり」と言って過言ではありません。もちろん、中には食べられないものもあります。また、土付きのものは細菌の付着、さらに残留農薬などに対する不安があるため、皮をむいたほうが安心という考え方もあります。が、食べてみれば意外と美味なものも多ければ、そこだからのこそ含有する栄養成分もあります。
例えば野菜や果物には、動物のような骨はありません。そのため、組織を支えるための食物繊維が実の中心よりも皮に多く含まれる傾向にあります。また皮は太陽に当たることで増える活性酸素を除去しようと働いたり、虫や鳥などの外敵からも身を守ろうとして、抗酸化作用があるβカロテンやC、Eなどのビタミン類、渋みや香りのもとなるフィトケミカル（最近では免疫力向上・老化抑制・肥満予防など、健康へのサポートが期待できる「第7の栄養素」とも呼ばれ注目されている）などを含んでいます。
ではここで、「夏の代名詞」とも言えるスイカの皮についてクローズアップしてお話ししましょう。
スイカは一般的に、外側の緑色の部分とその間にある白っぽい部分は、捨てられてしまうことがほとんどです。むしろ皮は、「食べられないもの」と思っている人ばかりでしょう。なぜなら…おそらく多くの人が子どもの頃はスイカが大好物で、皮まで食べたくなってトライした経験があるのでは？ ですが、その味のギャップにシュンとなり、切なさとともにあの赤と白の境界線に達したときには条件反射的に「ポイッ」と捨てるようになったはず…。よって、改めてここで声高に「皮まで食べましょう」と言っても、難しいことは理解しています。
アメリカも同様のようです。アメリカ産すいか振興委員会（Watermelon.org）によれば、「スイカを丸ごと使う消費者は18％しかおらず、皮が食べられることを知っている人は40％以下」と指摘しています。同委員会は消費者がスイカを無駄なく食べられるように、スイカの栄養素的な魅力やおすすめの食べ方、具体的なレシピなどを提案し、スイカを丸ごと消費するよう促しています。
スイカを丸ごと食べることは健康面だけでなく、フードロス（食品廃棄物）を減らすという目的をクリアすることにもつながるのです。
「スイカを丸ごと使おう」キャンペーン
同委員会のUSの広報担当者によると、「スイカを選ぶことは、メリットだらけだ」と言います。「『健康的』な食事が必要ならば、スイカを丸ごと使って食べるのが一番です。全て食べてしまえば、経済的にも環境負荷の面でも良いことづくしですので」と話します。
Watermelon.orgでは、スイカの栽培者の物語からレシピ、スイカを無駄にしないコツ、皮の切り方や使い方、ジュースのつくり方などの解説ビデオ等、スイカに関するさまざまな資料を見ることができます。
スイカに含まれる栄養素は？
スイカには、リコピン、ビタミンC、ベータカロチンなどの抗酸化物質とされる成分が含まれており、さらに91％が水分でできているため「水分補給に最適」とも言われています。また『Current Atherosclerosis Reports』誌に掲載された論文によると、「スイカを定期的に食べることで、正常な心血管および代謝の健康に役立つ可能性がある」と報告されています。他にも、ビタミンC、A、B6、亜鉛、カリウム、クロロフィル、フラボノイド、フェノール化合物などの栄養素も含んでいるとのこと。
そして最もチェックすべき内容が「水分をたっぷり含んだ、果実を包む緑の皮」であり、さらにそれがまるごと食べられるということになります。果皮には血圧を下げ、食物繊維が豊富、血管の拡張の促進、筋肉への酸素供給の改善などが期待できるとの報告もあります。
では、一体どうやって皮を再利用するのか？
ここからがキモです。それをまさにどう料理するか？ です。スイカの皮をピクルスのように漬けこむことで、「絶妙な酸味でそれがクセになるおやつ」として美味しくいただけるようになるとのこと。また、皮をメインに扱ったスイカの皮のガスパチョなど冷製スープも夏にぴったりです。もちろん、他の野菜と同じように細かく刻んで調理することも可能です。
他には、スイカの皮のキッシュやオルゾサラダなども、おすすめメニューとなっています。皮だけでなく果実を使ったレシピも、スムージーだけでなくサラダやスイーツなど幅広く紹介されています。
種はどうすばいいのか？
興味深いことに、スイカの種にも驚くほど多くの健康効果があるそうです。タンパク質、脂質、亜鉛を豊富に含んでいるので、免疫力を高めることに大いに役立つことが期待できるそうです。
「スイカは丸ごと食べられる」ことを知らなかった人へ、ぜひこの機会に食してみてはいかがでしょうか。
Source / ESQUIRE ES
※この翻訳は抄訳です。
