2019年9月から続いている、オーストラリアでの大規模な森林火災。

 森林火災は未だに落ち着いておらず、日々多くの生命を奪っています。数カ月間にわたり、森林火災に見舞われているオーストラリア大陸の様子を捉えた写真の数々は、バランスが崩壊した自然環境がもたらす災害の第一波を示すもののように思えます。

 空は真っ赤に染まり、煙は都市に降りかかって海へと渦巻いています。これは何カ月も続く記録破りの気温と干ばつが引き起こした、今までにない規模の火災とされており、ニューサウスウェールズ州とビクトリア州では少なくとも24名の尊い命が失われたと伝えられています…。

 そして1000軒以上もの家が破壊され、オーストラリア原産のカンガルーやコアラを含む5億匹近い動物の命が奪われたとのこと…。さらに、6つの州にまたがって約600万ヘクタール(東京ドーム128万3285個分、東京都の面積の28.5倍、日本全部の面積となると、0.16倍ほど)が炎に包まれたのです。

 さらにオーストラリアの動物植物群は、想像を絶する悲劇に見舞われているのです。例によって、今回のような災害から最も大きな影響を受けるのは、その原因に最も責任がないものたちなのです。

 シドニー大学の研究チームは、これらの森林火災が約4億8000万匹の動物に死をもたらしたと見積もっています。この破壊の規模は計り知れませんが、以下の動画からはその一端をうかがい知ることができます。

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パトリック・グリーンフィールド氏のツイート:
オーストラリアの森林火災で死んだ動物たちの死骸が、ニューサウスウェールズ州の道端に散らばっている衝撃的な動画。

 2019年9月以降、ニューサウスウェールズ州だけで、4億8000万以上もの哺乳類や鳥類、爬虫類が命を落とした模様、心が痛いです。

 科学者たちは、「気候危機が、オーストラリアの山火事シーズン激化に決定的な役割を果たしてきた」と指摘しています。が、その危機を被っても犠牲となったのは、動物たちだけではありません。オーストラリアは2019年、記録的な暑さと乾燥に見舞われ、2019年12月には一部地域で気温が約50度に達しました。この国の乾燥は2017年から続いており、植物や木々などの乾燥燃料はますます長引く山火事シーズン(かつてよりも2カ月以上長くなっています)のまさに格好の焚きつけ役となっているのです。これに風のパターンの変化や局地的な天気現象が組み合わさることによって、オーストラリア人のほとんどが住む沿岸部にまで到達する、極端な山火事気候がもたされているわけです。

 
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森林火災が続くなか、カンガルーは逃げ続けています。

 オーストラリアの保守的な政府は、その間ずっと炭素排出量が増加し、石炭輸出が続く政策体制を見守ってきただけです。米国やその他の国々と同じように、オーストラリアも間違った方向に進んできたと言えるでしょう。石油・ガス大手のシェブロンは、2019年第3四半期に26億ドル(約2850億円)の収益を上げましたが、森林火災復旧の取り組みへの寄付は、わずか100万ドル(約1億960万円)でした。また、エクソンモービル・オーストラリアの新年のメッセージは、さらに無責任とも言える内容でした。

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
エクソンモービル・オーストラリアのツイート:
今年も安全に楽しんで、エクソンモービル・オーストラリアより。

 主に人間の際限ない欲深さの結果として、5億匹近くの動物たちの命が失われたこのことは、単なる序曲に過ぎないでしょう。科学者たちは長年、私たちが地球史上6度目の大量絶滅の時代に突入しており、この主要な原因が地球の生態系を不安定にしてきた人間の活動にあることを示唆してきました。

 山火事以外でも、サンゴ礁の白化やますます猛烈な嵐が生物多様性を破壊しています。また、これを原因として、世界の食糧供給は将来的に脅かされる可能性もあります。そうして人類は、いずれ身を持ってこのことを目の当りにすることとなるでしょう…。

 そして、この森林火災の危機を目前に、多くの人が金銭的な援助を申し出ています。オーストラリアのコメディアンであるセレステ・バーバーが始めた消防局の募金活動では、開始から48時間で2000万オーストラリアドル(約15億円)以上を集めたとのこと。現在(2020年1月8日時点)は110万人以上が参加し、3000万豪ドルに達しています。バーバーさんは集まった資金を、ニューサウスウェールズ州の消防当局に寄付する予定だそうです。

 またオーストラリアの大企業や、同国出身の歌手カイリー・ミノーグ、俳優のニコール・キッドマンやクリス・へムズワースといったセレブたちからも、多額の寄付が集まっています。また、オーストラリア出身者ばかりでなく、アメリカのシンガーであるピンク、イギリスのエルトン・ジョンも寄付したそうです。

【寄付方法】
 オーストラリア火災の募金を募っているのは、オーストラリア赤十字社や、オーストラリア農家の団体、売り上げの100%を募金に使いたいとしているショップなどがあります。

 最後に、いくつかの寄付先をご紹介します。

オーストラリア赤十字社

ポートマッコーリーコアラ病院

農家支援団体「Buy aBALE」


Source / Esquire US
Translation / Wataru Nakamura 
※この翻訳は抄訳です。