2020年9月11日(現地時間)、TikTokユーザー@flamecatcher2が、カリフォルニアで起きた火災旋風の動画を投稿して以来、この衝撃的な動画は拡散され続けています。

これはtiktokの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

 渦巻く災がこちらに向かってくる様子は、まるで地獄絵図です。専門家によると、「2020年だけでカリフォルニアでは、少なくとも3回もこのような火災旋風と呼ばれる現象が起きていた」と言います。

 ここで初めて目にした方も多いかもしれませんが、(悲しいかな)これは前例のない災害ではありません。

 2018年にはカリフォルニア州の消防機関「Cal Fire(カル・ファイア)」で、北カリフォルニアの学者陣が「どのようにして火災旋風が始まるのか」について論文を発表しています。そして2019年11月には、学者・研究者によるウェブメディア「The Conversation」にも、オーストラリアの山火事で発生した竜巻に関する同様の解説が掲載されているのです。

火災旋風とは何を指し、どのように形成されるのか?

  このような火災旋風は、火柱のように炎が渦を巻いて高く立ち上る現象であり、非常に大きくて激しい火の上に形成される傾向があると考えられています。

 「広領域を火が覆っている場合、熱気の上方への移動により、火がその上の大気と相互作用し、潜在的に火災積雲を形成する可能性がある」と、科学誌の「PHYS.ORG」には記述されています。

 しかし、その説明のような火災積雲だけでは、この動画のような現象までは至らないと推測されています。

 「条件がそれほど厳しくない場合でも、火災積雲と呼ばれる雲を生成する可能性があります。これは、火の上に形成される雲です。これらは通常、害は少なく、地上の状態に影響を与えません」「しかし、火が特に大きいか強烈な場合、または火の上の状態が不安定な場合には、このプロセスにより火災積乱雲が発生する可能性があり、これは最悪の事態を招きます」と、「The Conversation」では説明されています。

 この「火災積乱雲」という用語は正式なものではなく、世界気象機関の国際雲図帳では「Clouds from fires」(火災による雲)として紹介されているのみで、特別な用語は与えられていません。英語圏では「pyrocumulus」と呼ばれることもあり、これはラテン語のcumulus(「積み重なったもの」の意。転じて積雲の学名となっている)にギリシャ語のpyro-(火炎)を付加した造語になります。

 この火災積乱雲が、火の竜巻(火災旋風)を発生させることは非常にまれです。火は自然に火の渦を形成しますが、それははるかに小さく、動画のように大きな勢力を持つほどの威力はほとんどありません。2018年の論文には、以下のように記載されています。

「破壊的な火災旋風は、都市火災と山地火災の両方で発生する可能性があります。これらの渦は活発に回転する灰、煙、そして時に火のうず柱を特徴とします。ほとんどの火災旋風は小さいですが、一部の大きな渦は竜巻のような強風を発生させる可能性があり、非常にまれなケースではあります。が、火災旋風が上層の火災積乱雲とつながりを持った場合、竜巻が発生することがあります。例えば、2003年のキャンベラの山火事(オーストラリアの首都キャンベラの郊外と外側の地域に深刻な被害が発生しました)で起きた火災旋風では、巨大な火災積乱雲と重なったことにより、大型トラックが吸い上げられるほどのF2強度の竜巻を形成しました」

 専門家によると、2020年のカリフォルニアでは、山火事はこれまでにないほど極端に起きていると言います。

 「レーダーデータにもとづくと、大規模な火災は過去3週間の間に少なくとも3回は起きており、火災旋風は急増している」と、「ワシントン・ポスト」紙は報告しています。

Source / POPULAR MECHANICS