2018.10.09

連載:ココロの行脚 with 松山大耕

絵本と道徳

ダボス会議への出席や、ローマ教皇への謁見、ダライ・ラマ14世と会談するなど、世界各国で宗教の垣根を越えて活躍する退蔵院の松山さん。地元の京都では外国人に禅体験を紹介したり、京都でアジア初の宗教間交流駅伝を主宰するなどその活動も幅広く面白い。そんな松山さんから、今を生きる秘訣をお届けします。

絵本と道徳

 
Episode 11

 上の娘が3歳になる。寝る前にはだいたい絵本や昔話を読み聞かせるのだが、最近、困ったことが起きている。今の時代に合わない話が結構多いのだ。
 
 もともと、私はディズニーの世界観があまり好きではない。中東風の装束に身を纏った登場人物を「野蛮人」と言ったり、いじわるなおじさんはたいていロンドン訛りの英語を話す。子供の中で知らず知らずのうちに、そういうイメージが固まってしまうからだ。道徳観やものの見方は、子供のころに読んだ絵本や童話に大きく影響を受ける。
 
 古典の童話を読むことも多いが、実は、世界で広く読まれている童話も国によって微妙に内容が異なっている。例えばイソップ童話に、「ライオンと鼠」という物語がある。
 
 「ある鼠が、度胸試しに寝ているライオンに登った。するとライオンが、急に目を覚まして捕まってしまう。鼠はライオンに平身低頭謝って許しを請い、お情けで放してもらう。後日、猟師のわなに引っかかったライオンを見つけ、ご恩返しにと鼠が罠の縄をかみ切って助ける。そして、ライオンと鼠は生涯の友となる」。
 
 記憶の片隅に、そんな話もあったなと思う人も多いはずだ。

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《Profile》

 
    
松山大耕さん(妙心寺退蔵院・副住職)
…1978年京都市生まれ。2003年東京大学大学院 農学生命科学研究科修了。政府観光庁Visit Japan大使、京都観光おもてなし大使を兼任。2016年『日経ビジネス』誌の「次代を創る100人」に選出。前ローマ教皇やダライ・ラマ14世との会談、ダボス会議に出席など世界各国で宗教の垣根を超えて活動中。

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