まだまだ完全な対等とまでは言えませんが、日本でも女性の進出が当り前となってきています。そろそろ日本も、女性の総理大臣が生まれるのではないでしょうか? そんな思いを込め、世界で活躍した女性リーダーたちを振り返ります。
日本には「女性大臣の日」という日があるのをご存じでしたか? それは7月19日になります。1960年(昭和35年)のこの日に池田勇人が第58代内閣総理大臣に任命され、第一次池田内閣が発足。このとき 故・中山マサ史が厚生大臣として入閣し、日本政府において初めての女性が大臣職に就くことに。在任期間は5カ月と短かったのですが、母子家庭への児童扶助手当支給を実現するなどの実績を残しています。
そこで今後のジェンダー平等と女性のエンパワーメントの加速を願って、これまでに歴史を変えてきた世界中のリーダーたちをチェックしていきましょう。
シニア層の読者にとっては、1963年の「クレオパトラ」といえばエリザベス・テイラーの顔を思い浮かべることでしょう。一方、ミレ二アル世代の皆さんは想像もつかないかもしれませんね。
クレオパトラは歴史上、古代エジプト・プトレマイオス朝最後のファラオ(君主)であり、最も有名な女性支配者のひとりになります。正しくは、クレオパトラ7世フィロパトル。
絶世の美女で類い稀なる知性や気品も備えていたと伝えられ、それを武器にエジプトの立場や経済を改善させたと言われています。カエサルやマルクス・アントニウスら、ローマ帝国の有力者と親密な関係になったことでも知られており、たびたび映画化されるなど神格化されているのはご存じのとおりかと思います。
ジャンヌ・ダルク
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15世紀フランスで、国民的ヒロインとなったのがジャンヌ・ダルクです。
農夫の娘でありましたが“神の啓示”を受けてフランス軍に加わり、わずか17歳のときに英国との戦い(百年戦争)で兵士の士気を高めてオルレアンの解放に貢献。この戦いがターニングポイントとなり、結果的にフランスは救われたとされます。
ですがその後、捕虜となって異端の烙印を押されます。そして19歳で、火あぶりの刑になってしまうのでした。
参考にミラ・ジョヴォヴィッチが演じた1999年公開の映画『The Messenger: The Story of Joan of Arc(ジャンヌ・ダルク)』を。
エリザベス1世
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英国の歴史上、最もパワフルな統治者のひとりになります。
「私はイギリスと結婚した」という名言どおり、独身を貫いてその生涯を国政に捧げ、宗教改革や自国の国際的な地位・経済力の向上を成功させるなど、イングランドの黄金時代を築きました。
その詳しい人生については、ケイト・ブランシェット主演の傑作映画『エリザベス』『エリザベス:ゴールデン・エイジ』をぜひご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=CwhefKVAKMo
エカテリーナ2世
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1762年から1796年に死去するまでロシアを治めたエカテリーナ2世は、18世紀における世界的な統治者のひとりです。
実はロシア人の血はまったくなく、生まれはプロイセン。ですが、権力志向と並々ならぬ努力で統治者の地位に登りつめ、ロシアの地位向上に貢献したとされています。
アートに造詣が深く、世界有数の美術館となったエルミタージュ美術館の膨大なコレクションは、彼女の治世に築かれたものです。
クララ・バートン
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1821年、マサチューセッツ州に生まれたクララ。同州で初の公立校(無料の学校)を創設したほか、ワシントンに移住後は米国特許局の職員となり、男性職員と同じ給料を得るなど、当時としては革新的な成果を残しています。
1861年に南北戦争が始まり、無数の負傷兵がワシントンに運び込まれるのを目の当たりにした彼女は、政府の対応の悪さに気づきます。そして自ら医療品を前線に運び、「戦場の天使」と呼ばれるようになったのです。
そして、その後渡ったスイスで赤十字の存在を知り、帰国後、アメリカ赤十字を設立するのでした…。
エメリン・パンクハースト
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1858年生まれ、イギリス婦人参政権の活動家グループ「Suffragette(サフラジェット)」のカリスマ的リーダーであったエメリン。
不当な状況に置かれていた女性の声を代弁し、社会を変えるべく、時に過激な手段で訴えることで女性の参政権や男女同権獲得に大いに貢献しました。
あの大女優メリル・ストリープがエメリンに扮したパワフルな映画、『未来を花束にして』は必ずチェックしておきたい推奨映画です。
https://www.youtube.com/watch?v=gFod95xP31E
ローザ・パークス
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アメリカで「公民権運動の母」と呼ばれているのが、ローザです。
1913年、黒人差別が激しかった南部アラバマ州に生まれた彼女は1955年、乗っていたバス内で白人に席を譲るようにとバスの運転手から命じられます。ですが、それを拒否した彼女は、人種分離法違反で逮捕・有罪となってしまうのでした…。
この事件をきっかけに、あのキング牧師も巻き込んで黒人が次々とバスをボイコットし、大規模な公民権運動へと発展していったのでした。
インディラ・ガンディー
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1966年、インドで初めての女性首相となったインディラ。彼女の名を冠した国際空港もあるので、聞き覚えのある人もいるはずです。父ネールも1964年にこの世を去るまでインド首相を務めており、彼女は後を継ぐかたちで首相となりました。
当初はお飾りかと思われていたのですが、のちに指導力を発揮。インド政治史上最も強力な指導者の一人に。1971年には東パキスタンの独立運動に武力介入し第三次印パ戦争を引き起こし、東パキスタンをバングラデシュとして独立させています。
ちなみに、あのマハトマ・ガンディーとは姓が同じだけで血縁関係はありません…。
マーガレト・サッチャー
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イギリス初の女性首相として、世界的に注目を浴びた人物です。1959年に政界でキャリアをスタートさせ、1979年から1990年まで第2次大戦後最長となる11年間在任しました。
その政治手腕には賛否両論あるものの、大胆かつ確固たる信念のもとリーダーシップを奮って、壊滅寸前だったイギリス経済を立て直したと評価する声も多い…。
2011年の映画『マーガレト・サッチャー 鉄の女の涙』では、メリル・ストリープが彼女を演じてアカデミー主演女優賞を獲得しています。
https://www.youtube.com/watch?v=IySwVtDRNbM
アウン・サン・スー・チー
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ビルマ(現ミャンマー)の独立運動の父と呼ばれる、アウン・サン将軍の長女として生まれます。
1980年代末から民主化運動のアイコンとして立ち上がり、長らくビルマを支配し国民に圧政を強いていた軍政権に抵抗し続けます。政府により約15年にわたり自宅で軟禁状態下に置かれ、夫の最期を看取ることもできないなど孤独な闘いを余儀なくされました。
そうして現在は、事実上の最高国家顧問に就任し、国民の期待を背負っています。1991年にはノーベル平和賞を受賞。京都大学の客室研究員だった経験もあります。
https://www.youtube.com/watch?v=IXJPiCd8NZY
エレン・ジョンソン・サーリーフ
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1938年生まれ。選挙で選ばれたアフリカ初の女性大統領で、リベリア共和国の大統領を2期(12年)にわたり務めました。
1961年に渡米し、2つの大学で学んだ後リベリアに帰国し財相を務めますが、1980年に軍事クーデターが起きてケニアに逃亡。1985年に一時帰国した際に、自宅軟禁となりやがて投獄されてしまいますが、その後解放。内戦時代には、UNDP(国際連合開発計画)のアフリカ局長も務めています。
内戦終了後の2005年に大統領に選ばれ、女性閣僚も数多く起用しました。2011年にはノーベル平和賞を受賞しています。
アンゲラ・メルケル
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2018年現在、最も影響力をもつ女性リーダーのひとりが彼女です。幼い頃から成績優秀で、物理学者の博士号も取得しています。
ベルリンの壁崩壊後に出馬し初当選すると、目覚ましい活躍を見せます。そして2005年、女性にして初めてかつ最年少(51歳)でドイツ連邦首相に就任し、現在第4期目を迎えています。
その合理的で強気とも言える態度から、サッチャーと対比して「鉄のお嬢さん」との呼び名も。かつて「国際女性の日」にロシアを訪問した際には、プーチン大統領に向かって、「今朝はもちろん、あなたが奥さまの朝食を準備なさったんですよね?」と聞いたのだとか…。
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