世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスですが、その影響は自動車業界にも及んでいます。

 自動車用部品の製造を多く担っている中国と韓国では、新型コロナウイルスの影響で多くの工場が操業に支障をきたしています。自動車に組み込まれる細かな部品を始め、スペーサーやインジェクターなど、在庫は確実に減少傾向にあります。

 ご存知の通り、自動車はさまざまな部品を必要とします。

 何かの部品が欠損すれば、自動車の製造にも影響が及んでしまいます。理論上では、被害が及んでいないサプライヤーに製造をシフトすることも可能です。しかし、“再調達”となるとテストや検証が必要となり、常に品質が低下するリスクと隣り合わせとなります。

 おまけに、新型コロナウイルスの影響で世界の株式市場は急激に下落。資産が減少している投資家も少なくありません。自動車を購入しようとしている人が転落する財務指標を見て、クルマの購入を取りやめる事態も十分考えられます。

 自動車業界はグローバル化が進んでいるため、今回の新型コロナウイルスの発生などの健康危機に対して脆(もろ)さがあることは否めないでしょう。

 そして、新型コロナウイルスの影響はEVに対して活発な動きを見せているGM(ゼネラルモーターズ)、その中でもキャデラック(Cadillac)にも及ぶこととなりました。

 キャデラックが注目の電気自動車(EV)「リリック(Lyriq)」の発表をアナウンスしたのは、2020年3月4日のことでした。それからまだ1週間も経っていませんが、アメリカのテック系ニュースメディア「ザ・バージ(The Verge)」が伝えるところによると、キャデラックは4月2日に予定していたお披露目イベントを中心することを決定しました。

 延期の原因は言うまでもなく、新型コロナウイルスの影響です。

 2020年3月11日現在、アメリカ国内では35の州と首都ワシントンで合計600人以上の感染者が報告されています。「リリック」の発売で華々しくスタートする予定だったキャデラックの新EV戦略ですが、新型コロナウイルスに対する懸念から大規模な集会が推奨されていないため、無期限に延期せざるを得なくなってしまったのです。

 しかしながらこの決定は、フォードやフィアット・クライスラーが社員へのビジネス出張を一時的に全面禁止した措置を考慮に入れると、特に驚くべきことではないかもしれません。スイスで開催される予定だったジュネーブ国際モーターショーが中止となったことも記憶に新しいことでしょう。ニューヨークオートショーは、少なくとも今のところは予定通りの開催を予定していますが、延期や中止となる可能性も否定できません。

 新型コロナウイルスにまつわる状況は、刻一刻と変化しています。それだけにキャデラックとしても、ウイルスの鎮静化や大規模な集会を開催できる状況となるのを待つのか、もしくは先日ジュネーブで行われた記者会見のようにライブ配信に切り替えるのかは依然不透明な状況です。

 以前、バーレーンで開催されたF1グランプリは無観客でレースが開催されましたが、それと同様な奇策が検討される可能性もあるかもしれません。

 「リリック」のデビューイベントは、ひとまず延期となってしまいました。ですが、このクルマがGMによる新型バッテリー「アルティウム(Ultium)」を搭載したクロスオーバーであることは、多くの方の知るところにあります。

 最大200 kWh(キロワット時)のバッテリーパックに対応し、フル充電で最大航続距離400マイル(約640km)、0~60mph(約96km/h)への加速は3秒以内といった性能が見込まれています。これらのデータはあくまでも新型バッテリーのアルティウムのスペックとなります。果たして、それを搭載した「リリック(Lyriq)」がどのような一台に仕上がっているのでしょうか? 現時点では、その発表を楽しみにしながら待つ他はなさそうです。

これはpollの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

Source / Road & Track
Translate / Esquire JP
この翻訳は抄訳です。