今知っておきたい世界の自動車業界のトピックを、ざっくりお届けする【WORLD CAR NEWS】。今回は、日本の電気自動車化への取り組みや、キャデラックの電動化に対する全米のGMディーラーの反応、そしてベントレーのGT3プログラム終了のニュースなど、全て電気自動車に関連したニュースをお届けします。

日本、2035年めどに全電化・ハイブリッド化を目指す?

nissan crossing in ginza
VW Pics//Getty Images

 ガソリン車に代表される内燃機関のみで走るクルマの時代は、ここで終わりを告げようとしているのでしょうか? 多くの各国政府が、電動化への移行を目指す時期を宣言しています。

 日本においては、2050年までにゼロエミッションの国家(あらゆる廃棄物を原材料などとして有効活用することにより、廃棄物を一切出さない資源循環型の社会システム)になることを目指しており、経済産業省は「2030年代半ばには新車の100%を電動車にする」という内容で検討をしています。

 従来の目標では、2030年までにガソリン車の新車販売に占める割合を30~50%に抑え、EVやハイブリッド車の販売割合を50~70%に引き上げるというものでした。今回の経済産業省の検討事項はまだ正式決定されていませんが、もし実現すればそれまでの目標を大きく上回るものとなると言って良いでしょう。

 ちなみに小池百合子都知事は2020年12月8日(火)の都議会代表質問において、「都内で新車販売される乗用車について2030年までにガソリンエンジンだけの車をなくし、すべて電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)などの「非ガソリン車」(電動車)にする」と政府の方針よりも早めた、新たな目標を明らかにしています。

 参考として、他国の動向を見てみると…

  • イギリス:2030年までにガソリン車・ディーゼル車の新車販売を禁止。2035年までには、ハイブリッド車の販売も禁止
  • カリフォルニア州(米国):2035年までにガソリン車・ディーゼル車の新車販売を禁止
  • ケベック州(カナダ):2035年までにガソリン車の新車販売を禁止
  • 中国:2035年を目標に新車をEVやハイブリッド車に(※中国専門家団体の工程表によるもの)

EV販売の設備投資を断念し、キャデラックを手放すディーラー約150社に

cadillac automobile dealership cadillac is the luxury division of general motors v
jetcityimage//Getty Images

 アメリカの経済紙「ウォールストリート・ジャーナル」が伝えるところによると、フランチャイズ契約のディーラーを通さず、顧客へ直接販売を行っているテスラの存在(他の新興メーカーもこの動きに追随しようとしている)がある一方で、従来の自動車メーカーは、ガソリン車の販売で多くの収益を得ている既存のディーラーに対してEV販売計画を追加する作業に追われています。

 そのような中でキャデラックは、全モデルが電気自動車(EV)化される最初のGMブランドとなるかもしれません。そしてそれは、ディーラーはEVを販売するために、およそ20万ドル(約2090万円)もの設備投資が必要になるということを意味します…。

 GM側はディーラーに対して、2つの選択肢を与えました。一つは、必要な設備投資のアップグレード(契約の更新・充電ステーション・修理キットなど)を行い、キャデラックの販売を続けること。もう一つは、キャデラックブランドのバイアウト(買取提案)を受け入れて、今後、キャデラックブランドの取り扱いを完全に停止するかというものでした。

 「ウォールストリート・ジャーナル」紙によると、約150のGMディーラーがバイアウトを受け入れ、キャデラックの販売契約を終了したとのことです。その買収金額はおよそ、30万ドルから100万ドル(約3130万円~1億400万円)と見込まれています。

 バイアウトに応じたおよそ150のディーラーは、全体の約17%に当たります。そのほとんどは、他にも複数のGMブランド車を販売しており、キャデラックの月別販売台数はわずかだったと見られています。

 それでも、GM自体が積極的にEVに参入しようとしている以上、ディーラーは遅かれ早かれ、電気自動車への対応を余儀なくされることになるかもしれません。

ベントレー、ファクトリーGT3プログラムを終了へ

pirelli world challenge
Brian Cleary//Getty Images

 ベントレーは、世界中のさまざまなシリーズで8年間にわたって戦ってきた「ファクトリーGT3プログラム」を終了するとのこと。ベントレーのファクトリードライバー6名は、今月南アフリカで開催されるキャラミ8時間耐久レースが最後のレースとなる見込みです。

 「現在、ベントレーがサステナブルなラグジュアリーブランドを目指して急速に動き出している中で、GT3というカテゴリーはもはやこの戦略をサポートするものではなくなってしまいました」と、ベントレーのモータースポーツの責任者であるポール・ウィリアムス(Paul Williams)氏は声明で述べています。

 しかし、今回のベントレーの撤退で、ベントレーが誇るレース専用モデル「コンチネンタル GT3」が消滅するわけではありません。顧客チームが「GT3」を走らせる場合、そのためのサポートをする可能性は残されています。

Source / Road & Track
Translation / Esquire JP
※この翻訳は抄訳です