アメリカにおけるライドシェア業界最大手のウーバー(Uber)ですが、「ニューヨーク市の全てのタクシーをアプリに登録することで合意した」と、現地時間3月24日付けの「ウォールストリート・ジャーナル」紙が報じています。これによってニューヨークのタクシー利用者は、ウーバーのアプリを使用して直接タクシーを呼ぶことができるようになります。

ウーバーは同様の取り組みをすでに他の数カ国では導入していますが、アメリカではニューヨークが初の取り組みとなります。ウーバーやリフト(Lyft)といったライドシェアサービス拡大のあおりを受け、不況に陥っているニューヨークのタクシー業界にとっては明るいニュースと言えそうです。

ニューヨーク市タクシー・アンド・リムジン委員会によれば、ニューヨークでは1万3587台のタクシーが正式な営業許可を受けています。よってウーバーアプリに対抗するように、ニューヨークでは「アーロ(Arro)」というタクシー用呼び出しアプリが導入されています。

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SPENCER PLATT//Getty Images

今回の合意によってウーバー利用者は、ウーバーエックス(※編集注:2~3人用の乗用車)とほぼ同額で「タクシー」を選択できるようになります。タクシー運転手は乗車料金に関する情報に基づき、ウーバーからの乗車注文を受けるか否かの判断ができます。そして、タクシーの乗車にウーバーのアプリが使用された場合には、料金の一部がウーバーに支払われることになります(その料率は未だ公表されていません)。

ウーバー社のビジネス開発責任者は「ウォールストリート・ジャーナル」紙の報道を受けて、“かつてのライバルは今のパートナー”と題した声明を発表しました。その中で、「今回の動きは、ドライバーにとっての真の勝利です。オフピークの時間帯に利用客を探し回ることや、区外からマンハッタンに戻る際に乗客を拾うことをためらう必要がなくなりました」と述べています。

これは同時に、ここ最近におけるウーバーのドライバー不足や運賃の急騰に苦しめられた利用者たちにとっても「勝利」と言えそうです。

タクシーとウーバーとの連携はこの春から試験的に開始されており、夏には一般に利用できるようになるとのこと。ウーバーのグローバルモビリティ部門を統括するアンドリュー・マクドナルド氏は「ウォールストリート・ジャーナル」紙に対し、「ウーバーは2025年までに、世界中全てのタクシーを同社のアプリに加えることを目標としている」と語っています。

Source / CAR AND DRIVER
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です