2021年3月11日、ジープによるフルサイズSUVとして「ワゴニア」および「グランドワゴニア」が発表された時点ですでに、ホイールベースの長いファミリー向けSUVには輝かしい未来が広がっているであろうことは誰の目にも明らかでした。事実、フォードもゼネラルモーターズも、そろって大型SUVを投入しています。

大型SUVの人気が堅調な状況にあって、ついにジープも多国籍自動車製造会社ステランティスとして初となる3.0リッターの新型ハリケーン直列6気筒エンジンを搭載した「ワゴニアL」と「グランドワゴニアL」を、ラインナップに加え大型SUV戦線に加わりました。

 
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2023年モデルとして登場することが発表された「ワゴニアL」および「グランドワゴニアL」の車長は、226.7インチ(約576センチ)にもおよびます。全長の7割ほど、つまり130インチ(約330センチ)がホイールベースという計算です。大型化したとは言え、フルサイズSUVのカテゴリーの中では競合他社のモデルと比べれば、ホイールベースに関しては短めとも言えます。

拡張された車長は、車内空間を広げるというよりも、荷室スペースとして充てられています。座席の配置方法にもよりますが、「ワゴニアL」であれば42.2~131.9立方フィート(約1286~4000立方センチメートル)という容積。「ワゴニアL」であれば、後部座席に113立方フィート(約3400立方センチ)のスペースを有しており、さらに座席3列目の後部に44立方フィート(約1340立方センチ)の空間が使用可能です。キャデラック「エスカレードESV」や「ユーコンXL」と比べても、これは大きな容積と言えます。

気になるエンジンとトリムは?

 
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ホイールベースが拡張した「ワゴニアL」に標準搭載されているのは、eTorgueシステムを搭載した5.7リッターのHemi(ヘミ) V8エンジンのツインターボです。ジープによると、ベースとなるV8エンジンの出力は392馬力に過ぎませんが、「ワゴニアL」用の標準型ツインターボエンジンの最高出力は420馬力、最大トルクは468 lb-ftを誇ります。

「グランドワゴニアL」の3.0リッターエンジンはさらに高出力となっており、最高出力510馬力、最大トルク500 lb-ftの実力です。つまり同カテゴリーにおいては、この「ハリケーン」の直列6気筒エンジンが最もパワフルなパワートレインを標準装備しているということです。

ギアボックスは8速オートマチックのみですが、トリムによって3種類の異なる4輪駆動システムが採用されています。ロングホイールベースの「ワゴニアL」であれば、6気筒のエンジンで最大1万ポンド(約4500キロ)まで牽引することが可能です。

標準仕様のエンジンであればHemi(ヘミ)より1mpgほど高い燃費効率を備えており、19mpgの評価が認められています。高出力のタイプも同じく6.4リッターV8エンジンと比べて、1pmg高い16mpgという燃費効率を実現しています。

 
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ジープはさらに、新型として「カーバイド(Carbide)」のトリムを発表しています。漆黒のホイールおよびエンブレム、独特な前面のデザインに加え、車内も黒一色で統一され、洗練されたデザインです。今春2022年モデルの「ワゴニア」に採用されていますが、今後2023年モデルの「ワゴニア」および「ワゴニアL」にも採用されることが決まっています。

今回の新型「ワゴニアL」および「グランドワゴニア」が発表される前からすでに、このSUVがジープのブランドにとって重要な意味を持つ存在となることは明らかでした。ジープの名を再び市場の前面に押し上げるべく設計されたのが、この大型SUVなのです。価格については不明ですが、低価格というわけにはいかないでしょう。すでに評価の確立したキャデラック「エスカレード」などから市場を奪うことができるか否か、今後目が離せない存在となります。

Source / Road & Track
Translation / Kazuki Kimura
この翻訳は抄訳です。