フォルクスワーゲンは、アメリカ・ネバダ州ラスベガスで開催された世界最大のテクノロジー見本市CES(Consumer Electronics Show)において、同社の電気自動車用プラットフォームであるMEB(モジュラー・エレクトリック・ドライブ)を採用した初のセダンであり、初のBEV(バッテリー電気自動車)となる新型「ID.7」を展示しました。

展示されたモデルは、多層塗装によるデジタルカモフラ柄のティーザーモデルでした。量産モデルの発表は改めて、今年第2四半期に行われる予定となっています。

image
VOLKSWAGEN
image
VOLKSWAGEN

最大航続距離は約700キロ(WLTP)

「ID.7」は、フォルクスワーゲンが2026年までに発売を予定している10の新しいEVの内の一つです。2022年の段階で既に、中国で高級EVセダンのコンセプトカー「ID.AERO」が発表されておりますが、その量産モデルが今回発表された「ID.7」となります。

「ID.7」は、同社のEVシリーズ「ID.」ファミリーのデザイン言語を踏襲したスタイルで、エアロダイナミクスに優れたフロントセクションとルーフを備えています。それゆえエネルギー消費の削減と航続距離の延長に強みを発揮し、最大航続距離は約700キロ(WLTP)とのこと。また、MEBプラットフォームの特徴の一つに短いオーバーハングと長いホイールベース(2970mm)が挙げられますが、その恩恵としてゆとりある室内空間を実現しています。

人に寄り添う空調システムにも期待

従来のMEBモデルに寄せられたフィードバックを反映し、「ID.7」には多くのイノベーションも標準装備されています。空調システムにおいては、キーに基づいてドライバーが近づいていることを検出し、ドライバーが車両に乗り込む前に夏の暑い日には車内を冷やし始め、寒い日には車内を暖め始めるということ。

image
VOLKSWAGEN
image
VOLKSWAGEN

新設計の「スマート・エアベント」が空気の流れをコントロールし、ダイナミックに動くことで広範囲にできるだけ早く空気を分配します。車内に乗客がいる際には、空気を直接身体に向けたり、間接的に車内を換気することも可能になっているようです。

これらの機能は新しい大型ディスプレイで常に確認が可能な上、ユーザーごとに個別に保存することも可能とのこと。また、音声コマンドにも対応しており、例えば「ハロー、フォルクスワーゲン、手が冷たいよ」と言うと、「ID.7」がステアリングヒーター機能を作動して応答し、同時に暖かい空気が手に向けられる賢さを擁しているのです。

発光する車体でお披露目

CESで公開された車両は、その見た目のインパクトでも注目を集めました。独自技術によって電導性の塗膜と絶縁性の塗膜を含む多重塗装が施され、最上位の層の塗装の下に電気を通すことで発光する仕様で公開されました。

車体の22箇所で個別に表示カラーを制御することができ、サウンドシステムと連動させることで、それぞれの箇所を音のリズムと合わせて点滅・点灯させることも可能となっています。

image
VOLKSWAGEN