2022年も堅調な業績を達成したフォルクスワーゲン グループ。2022年3月6日(月)[※現地時間]に発表された事業報告によると、供給不足と一時的な生産停止が原因で、全体の販売台数は前年比7%減の830万台ながら、売上高は前年比12%増の2792億ユーロ(約3兆1960億円)。バックオーダー(当初用意していた数以上に注文が入り、在庫がなくなったときに行う注文のこと)数は180万台を維持しています。

特に目を引くのが、バッテリー式電気自動車(BEV)の成長です。販売台数は前年比でなんと26%増となる57万2100台(2021年は45万2800台)。BEVのシェアは前年の5.1%から6.9%に上昇し、グループ全体における自動車販売台数の7%にまで増加しています。

グループの盟主と言えば、その名のとおりフォルクスワーゲンですが、現時点で同社が日本に導入しているBEVは2022年11月に導入開始となった「ID.4」のみ。同グループのEV専用プラットフォーム「MEB(モジュラー エレクトリック ドライブキット)」を採用した5ドアハッチバックです。ちなみに以前「eゴルフ」も限定販売されましたが、プラットフォームは内燃機関搭載モデルのものを応用しており、サポート体制なども鑑みれば、「本格的なBEVは『ID.4』から」と言えるでしょう。

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フォルクスワーゲングループのEV専用プラットフォーム「MEB」。もちろん「ID.3」もこのプラットフォームを使用しています。

2035年に内燃機関を持つ車の販売を事実上禁止することを可決した欧州委員会の動きもあり、フォルクスワーゲンは「ID.4」の他に「ID.3」「ID.5」「ID. Buzz」の販売をヨーロッパですでに開始しています。その中で、「ID.」ファミリー最初のモデルとして2020年からヨーロッパで発売開始となったCセグメントBEVが「ID.3」です。 セールスも好調で、初年度は5万6500台でこの年のヨーロッパにおけるEV最多販売台数を記録。2021年には7万5500台を記録し、「ID.4」に次ぐヨーロッパでの販売台数を記録しています。

2代目「ID.3」が新たに登場。
日本市場への導入は?

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日本導入を望む声も多く聞こえてくる「ID.3」ですが、初代発表から2年半が経過し、第2世代となる新型「ID.3」が2023年3月3日(金)[※現地時間]に発表されました。

エクステリアはフロントガラス下の黒いストリップが取り除かれたことで、ボンネットが長く美しく展開され、よりシャープなデザインに仕上がっています。また、「エア カーテン」として知られる前輪周辺の気流を改善し、空力特性の最適化を図るなどエアロダイナミクスにも改善の手が入れられました。インテリアにはサステナブルかつアニマルフリーな素材が部分的に採用され、モダンな見た目以上にその先進的な精神を宿したつくりとなっています。

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使い勝手を向上させるデジタル化・ドライバー支援システムもパワーアップされ、最新世代の「トラベルアシスト」やバッテリーの効率性を最大限に高めながら走行できる「ルートプランナー」も搭載。さらに、充電ケーブルが充電ステーションに差し込まれると、車両がそれ自体を認証して充電プロセスを開始するプラグ & チャージを標準機能として装備するなどデジタル化が進み、よりインテリジェントな使い心地に進化しています。

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フォルクスワーゲン取締役セールス・マーケティング・アフターセールス担当のイメルダ・ラベ氏は次のように話します

「第2世代に当たる新型『ID.3』は、間違いなく『ID.』ファミリーの成功の系譜に続く1台となります。デザインの完成度はさらに高まり、インテリアの素材は大幅にアップグレードされました。新しい『ID.3』は、フォルクスワーゲンが目指す高い品質とデザインや操作性を体現し、お客さまからいただいている要望を徹底的に反映して誕生した新たなBEVとなります」

なお、「ID.3」の日本導入については、今だ明らかになっていません。