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日震災廢墟 台搜救隊歷艱辛-民視新聞
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蔡英文総統が
応援の動画メッセージ

 2021年1月23日、台北市の「Taipei 101ビル」の上層階の窓に「日台友情」というメッセージが映し出された。日本台湾交流協会が主催した東日本大震災10年目を「日台友情年」として感謝するイベントのスタートだった。式典には台湾の李永得文化部長(文化大臣に相当)も列席し、蔡英文総統も動画メッセージを寄せた。

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 同日の夜10時過ぎには蔡英文総統が自身のツイッターに日本語で「我々は世界に向けて、台湾と日本はいつまでも、固く結ばれている隣人だと伝えたい。台湾人と日本人は、心と心で深いつながりを築いています。その絆こそ、台日関係の最大の原動力であります。いつまでも日本を応援しています!」と投稿している。

 10年前、東日本大震災後に台湾からの「義援金200億円」が届いたことは、我々の記憶にいまだに深く刻まれていることと思う。このとき初めて台湾の存在と親日感情を知った方も多いだろう。しかし震災直後、台湾の人たちが日本の被災地に直接赴き、数多くの震災支援を行っていたことはあまり知られていない。

 その後も、日台友情の交流は続いている。新型コロナの感染が拡大する中、昨2020年4月21日には、台湾政府から「日本加油(日本頑張れ)」とプリントされたマスクが200万枚贈られ、成田空港に到着したニュースは記憶に新しい。

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被災地の人だけが知っている
台湾人の炊き出し隊と現金配布

 我々は「台湾からの200億円の義援金」ばかりを注目しがちだが、被災地の人が「忘れられないぐらい感動し感謝した」という逸話がある。

 震災から5日後の3月16日。白いズボンと白い帽子、紺色のジャンパーの背中に蓮のマークをつけた一群が茨城県の大洗町に到着した。台湾の慈済基金会(じさいききんかい)日本支部の人々が、トラックと自家用車を連ねて、被災地の人々に温かい料理を振る舞うためだ。

 この団体は、台湾の財団法人「佛教慈済慈善事業基金会」の日本の分会で、本部は台湾の花蓮市にあり、台湾の尼僧の証厳和尚によって1966年に設立された仏教系慈善団体だ。「慈済(ツーチー)」とは、「慈悲為懐、済世救人」(慈悲を懐にいだき、世を救済し人々を助ける)という意味で、実践を重視して世界で慈善活動を行っている。尼僧が中心の団体だが、多くの老若男女が賛同し、各地のボランティア活動に参加している。

 彼らは、夜が明ける前に東京を出発し、茨城県大洗町、岩手県大船渡・陸前高田市、宮城県石巻・気仙沼市など被害の甚大な場所に赴いて、気温が10度を下回る中、カレーライス、焼きビーフン、豚汁、みそ汁などの炊き出しを行った。

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02東日本大震災 大愛全球零秒差 上人開示
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 彼らが届けた救援物資は数十トンともいわれている。この炊き出しは、現地で知らない人はいないが、メディアで報道されることはほとんどなかった。

 この団体の被災地での救済支援はこれだけではない。彼らは独自に、被災住民に直接現金を配布していたのだ。役所、公民館や集会場に地元住人に来てもらい、一世帯あたり5万~7万円、一人暮らしの方にも2万円を渡した。配り漏れがないように現地の役所と協力し、お年寄りなど配布場所に来られない人には、直接訪問し、一人ひとりに現金を手渡して回っていたと聞く。

 実際に現金をもらった家族に、取材で話を聞いたことがある。

 「台湾の仏教団体が現金を配るので各世帯の代表者は公民館に集まるように、とのチラシが配られました。我が家は父が行ったのですが、世帯名簿のチェックをするだけで5万円をもらって帰ってきました。先が見えない不安の中、本当に心が温まる出来事でした。あのお金は私たちに安心を与えてくれました」と当時を思い出し、涙を浮かべていた。

震災後の東北への
最初の旅行客は台湾から

 震災発生から2カ月後の2011年5月から半年間、台湾政府交通部観光局は「台湾希望の旅」として、東北の岩手・宮城・福島県の被災者1000人を無料で、2週間台湾に招待する支援を行った。また、震災復興が本格化すると東北に直行便を飛ばし、震災後最初に旅行客を送ったのも台湾だ。

 震災後の復興建設においても、台湾からの支援は継続された。

 下記については、中華民国紅十字会(台湾赤十字)の義援金を活用し建設され、その支援は2018年まで続いていたといわれている。これらの建物の前には、台湾の“国旗”と「絆」という文字が刻まれ「台湾の皆さんありがとう」と書かれた石碑が置かれていて、東北と台湾の強いつながりを示している。

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【宮城県三陸町】
公立志津川病院、町立南三陸病院 (新名称:南三陸病院・総合ケアセンター南三陸
【福島県相馬市】

狐穴団地、南戸崎団地、細田東団地井戸端長屋
【福島県新地町】

被災高齢者共同住宅
【岩手県山田町】

私立大沢保育園(改築整備)
、わかき保育園(新名称:日台きずな保育園)、山田北小学校放課後児童クラブ、豊間根地区放課後児童クラブ
【岩手県大槌町】

吉里吉里保育園
(移転新築支援)、災害公営住宅

多額の義援金を集めた
2つの理由
murashima ikuyo l2, secretary general of cultural affairs
SOPA Images//Getty Images
2021年3月7日、日台交流会文化広報部事務局長である村島郁代氏(写真向かって左から2番目)が、両国の友好関係を代表する記念碑の除幕式に出席。2021年は東日本大震災から10年目となります。震災の翌年2012年のこと、日本人留学生が中心となり「謝謝台灣」イベントが開催されました。それがきっかけとなり、以降毎年3月に、台湾の人たちへの感謝の気持ちを届けると共に、被災地の現状を伝え、さらには日本と台湾の「心の絆」をより深いものにすることを目的にこの「謝謝台灣」イベントが行われてきました。そして2021年は3月7日に、淡水で10回目となる「謝謝台灣」イベントを開催。そこで「日台心の絆」記念碑の除幕式が執り行われたのでした。記念碑には、「日台・心の絆! 謝謝台灣 私たちは忘れない」と刻まれ、日本語と中国語で、「震災から10年の節目にあたり、私たちは台湾への感謝の思いを永遠に忘れないと誓い、その証としてここ淡水に『日台心の絆』の碑を寄贈いたします」と記されています。

 震災後、日本の被害が甚大であることがわかると台湾ではチャリティー番組を行い、日本への支援を訴え、義援金を集め始めた。

 学校では、子どもたちがお小遣いを集め、「日本加油(日本ガンバレ)」を連呼していた。「日本の平安を祈ります!」と手のひらに応援メッセージを書いた動画なども投稿され、お金以上に多くの気持ちが日本に届けられた。

 こうして集まった義援金は当時、200億円に上ったと伝えられていた。

 しかし、台湾外交部(外務省に相当)が公開している資料を見ると実際の金額は2014年末までで、68億5466万元、日本円に換算すると約250億円に達していたことがわかる。

 しかも、その資料には義援金の募金総額、募金の譲渡先、募金の使用用途などの明細が事細かく記載してある。その表には、先ほど紹介した「佛教慈済慈善事業基金会」22億445万元(約82億円)、「紅十字会」27億7776万元(約103億円)も記載されている。

 なぜこれほど多額の義援金を集めることができたのか。

 そこには2つの大きな理由がある。

 一つ目は、台湾のNPO法人や慈善団体(財団法人)の会計監査は、非常に厳格で、情報公開が徹底されていて、透明性が担保されていることだ。

 例えば、先の資料では2014年末時点で「紅十字会」の義援金残高が902万元(約3340万円)あることや募金活動費や業務活動費まで掲載してある。このように、募金活動を行う団体の活動報告書と会計明細書は一般公開され、活動に疑義があれば「市民の善意を無駄にしている」とオンブズマン(高い識見と権威を備えた第三者)がすぐに追及を始める。

 二つ目は、節税の制度だ。台湾では義援金などの募金行為はすべて税務署に報告され、所得税の控除に自動的に反映されている。例えば、「紅十字会」に募金をすると、その金額が紅十字会から税務署に報告登録され、確定申告時に自動的に控除対象額が引かれる仕組みになっている。これは台湾の国民IDと納税システム、そして募金行為がオンラインで結ばれているからできる優れた制度だ。

 この制度に関して、台湾の弁護士に取材したことがあるが、「(この制度を使えば)自分で納める税金の使い道をある程度、自分で決めることができる。しかも、募金を有効に使っているNPO法人や慈善団体が見える化できているので、良い団体にはお金も集まりやすい」と語っていた。

 台湾人の本来の助け合い精神とこの善意を有効に機能させる制度、そこに親日感情が加わり、250億円もの義援金が集まったのではないだろうか。

 台湾からの日本への想いは今も変わることはない。

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 2021年2月13日深夜に東北地方で地震が起きた際、蔡英文総統は翌日に「福島県と宮城県を中心とした震度6強の大きな地震が発生しましたが、日本の皆さんが無事でいることを信じています。今まで何度もお伝えしてきましたが、これからも日本を応援する気持ちが変わることはありません。日本の皆さんにとって支援が必要であれば、いつでも台湾はかけつけます。(旧正月)あけましておめでとうございます」と発信している。

 東日本大震災から10年、今後も日本と台湾の絆がさらに強まることを願うばかりである。

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