2021年は、東日本大震災から10年を迎える年になります。「継続的な支援を続けていくことが大切」と説くアンカーパーソンの藤﨑さんは、この動画シリーズを通して、何かポジティブなサポートができないかと考え、全国どこにいてもオンラインで購入できる福島・宮城・岩手の食材を使って、ワインとのペアリングを3回にわたって紹介してくれました。
動画連載「satokoの一杯逸品」の第6回目では、岩手県産のグルメにクローズアップし、ワインとのペアリングを考察していきます。
皆さんは「岩手県」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか…。「釜石ラグビー」「中尊寺金色堂」「わんこそば」「南部鉄器」と、いろいろと具体的なイメージが思い浮かんできます。ですがそこで、グルメの部門に関して「わんこそばだけで片づけていいのだろうか? 他にたくさんあるのでは…」という探求心が芽生えました。
なにせ岩手県は、海あり山ありの1万5280平方キロメートルのという広大の面積を有しています。「岩手には、われわれ編集部が知らない美味しいグルメがたくさんあるはず」、と思ったのです。そこで今回は、岩手県出身の有識者として、「いわて銀座プラザ」と「岩手県東京事務所」にご協力いただき、直接教えていただくことにしました。
藤﨑さん:こんにちは、「satokoの一杯逸品」のお時間です。今回は、皆さんに味わっていただきたい「岩手県」のグルメをご紹介していきます。
そこで、ゲストをお呼びしております。地下鉄「東銀座駅」歌舞伎座の向かいにあります「いわて銀座プラザ」店長・朴舘(ほうのきだて)さん、「岩手県東京事務所」小野寺さんのお二人です。岩手を代表する案内役として、ご出演していただきました。
朴舘さん、小野寺さん:よろしくお願いいたします。
藤﨑さん:岩手県は、本当に広大な土地ですよね。
朴舘さん:山海珍味が広いエリアでたくさん名物になっています。
藤﨑さん:今日は、「いわて銀座プラザ」からたくさんの岩手県産食品を持ってきていただいたのですが、バリエーション豊かで選ぶのに迷ってしまいます。
朴舘さん:「いわて銀座プラザ」では、およそ1500点くらいの商品を陳列しております。
藤﨑さん:すごい数ですが、その中でも、お二人がおすすめする岩手県ならではの美味しい食品をご紹介していただきたいと思います。
▼楽しみ方がひろがる『サヴァ缶』
藤﨑さん:“岩手の味を知りたい!”という方にまず、何をご紹介していただけますでしょうか?
朴舘さん:岩手県と言えば、三陸海岸…海岸線だけで、200km以上ございます。豊富な土地柄ですので、特に今注目されている『サヴァ缶(Ça va缶)』をご紹介します。
こちらは、岩手県釜石市に工場を持つ「岩手缶詰(株)」と「岩手県産(株)」によって、東日本大震災で衰退した被災地三陸からオリジナルブランドの加工品を発信しようと、国産サバを使用したオリジナルの洋風缶詰として誕生しました。
▼香り豊かで濃厚な『UNI & 岩手産バター』
藤﨑さん:次に、小野寺さんのおすすめ商品をお願いたします。
小野寺さん:北三陸ファクトリーが手掛ける『UNI & 岩手産バター SPREAD』です。
この商品は、県北沿岸に洋野町(ひろのちょう)というエリアがあるのですが、そこで取れた「キタムラサキウニ」を使用した商品になります。ウニ含有率は70%で、たっぷり瓶詰めされているので、開けたときに香りが広がります。
生ウニの旬なシーズンは、6月~8月上旬と限られた時季だけになってしまうのですが、『UNI & 岩手産バター』は年中通して購入して堪能していただくことが可能な商品になっています。
◇岩手県産ワインとペアリングを考察
藤﨑さん:では、おすすめいただいた商品2種類と一緒に、私が「いわて銀座プラザ」にうかがって注目した岩手県産ワイン2本をご紹介していきます。
岩手県盛岡市から20キロメートルほど南に位置する「紫波(しわ)町」で、町内で栽培された良質な葡萄のみを使用する意味の「自園」、町内のワイナリーで醸造する意味の「自醸」を合わせた「自園自醸」をコンセプトに、2005年から醸造開始。それを「自園自醸ワイン紫波ワイナリー」と命名し、栽培から醸造、熟成に至るまで、全てに手間をかけて、紫波の風土を感じさせるワインづくりを目指しています。 その中の1本、自園自醸ワイン紫波の『紫波ルージュ』です。
日本固有のブドウ種をマスカット・ベーリーAと、ヤマ・ソービニオンが使用されている赤ワインになります。このブレンドの実力と味わいは、「すごいな…」と素直に思いました。丁寧にブドウを栽培している証拠でもありますね。
もうひとつが、岩手県花巻市にある小さなワイナリーで展開されている『ロゼッタ・スパークル2020』です。自社畑を開園して植樹した、(黒ぶどう品種)マスカット・ベーリーA、(白ワイン用ぶどう品種)ゲヴュルツトラミネールが使用されています。
岩手県は特に、「ブドウを大切に育てている農家などの生産者がとても多い」と感じています。そこで今回注目した2本のワインは、海の食材や山の食材、濃厚が味がしっかりした食品とも、きっと合う要素を持っているはずです。
では、朴舘さんがご紹介してくださった『サヴァ缶』と、小野寺さんがおすすめする『UNI & 岩手産バター SPREAD』と合わせてどうなるか? 試してみましょう。とても楽しみです。
藤﨑さん:まずは、『ロゼッタ・スパークル2020』で乾杯しましょう。お味はいかがですか?
朴舘さん、小野寺さん:おいしいですね。
藤﨑さん:マスカット・ベーリーAって若いブドウの場合、一般的に少し苦みがあったり雑味があったりするのですが、この『ロゼッタ・スパークル2020』は見事にまとまっていて、おいしいです。
小野寺さん:爽やかさもありますね。
藤﨑さん:では、『サヴァ缶』と合わせてみますね。黄色缶のオリーブオイル漬けを試してみます。濃厚で美味しい鯖(さば)です。
小野寺さん:食べなれた美味しい味です(笑)。
藤﨑さん:贅沢ですよね! 処理もしっかりさているので、骨も柔らかくて丸ごと全部堪能できます。
小野寺さん:ひと缶丸ごと無駄なく食べれちゃいますね。
藤﨑さん:『サヴァ缶』は5種類の味があって、それぞれ特徴があるのですよね?
朴舘さん:いまいただいたのが、黄色の缶でオリーブオイル仕立てです。ですから、薄塩味になっています。それ以外にレモンバジル味、パプリカチリ味、アクアパッツア風、ブラックペッパー味があります。
藤﨑さん:一般的なセオリーだと、白ワインを合わせたくなると思う方もいらっしゃいますよね。でも、私はこの『ロゼッタ・スパークル2020』をテイスティングして、この軽やかさは魚介類でも楽しめると思いました。赤ワイン用の黒ブドウを使用していますが、タンニンもおだやかなので。
朴舘さん:赤(ロゼ)でも合いますね。
藤﨑さん:5種類の『サヴァ缶』とロゼのスパークルを合わせてみて、お二人はどれが好みでしたか?
朴舘さん:ブラックペッパー味(黒色缶)のスパイシー感が相まって、ロゼと合うと思いました。
小野寺さん:私は、もともと味が濃いパプリカチリ味(赤色缶)とブラックペッパー味(黒色缶)が好きで食べていたのですが、今回ロゼと合わせてみて、爽やかで優しさのあるアクアパッツア風(青色缶)の味わいが合うなと思いました。
藤﨑さん:アクアパッツア風味は、鯖本来の味わいに、さらに旨みが混ざり合っていますね。例えば、何かお魚料理をしていて何かアクセントをつけたいときに、これを一切れ入れるだけでも使えますね。骨は柔らかいから気にする必要もないですし。塩おにぎりの中に入れるだけってのも良いんじゃないかと…。
藤﨑さん:それでは、二品目のペアリングをひも解いていきましょう。まずは、小野寺さん、ご説明をお願いします。
小野寺さん:私がおすすめする『UNI & 岩手産バター SPREAD』ですが、個人的に考案したアレンジ方法としましては、「じゃがバター」のバターの代わりに、このウニバターを乗せていただくと、ウニの香りと濃厚さを味わうことができ、いつもと少し違った“リッチな”「じゃがバター」になるのでおすすめです。 「おつまみに良いのでは」と思っています。
藤﨑さん:では、自園自醸ワイン紫波の『紫波ルージュ』の赤ワインで合わせてみましょう。
赤ワインって、濃厚で重みのある複雑な味わいを持つのが魅力的な一面でもありますが、『紫波ルージュ』のような軽さのあるフレッシュな仕上がりだと、食事と一緒に楽しみやすいですよね。
ウニバターをいただきます。お…、ウニだ! すごい美味しいです。お二人も『紫波ルージュ』と試してみてください。
朴舘さん:おいしいです。小野寺さんのアレンジ方法も最高です。赤ワインも、爽やかな味わいで合わせやすいです。
小野寺さん:「じゃがバター」を自宅ですると、どんどんこの『UNI & 岩手産バター SPREAD』が無くなっちゃうんです。
藤﨑さん:海産物って、磯(いそ)の香りがしますが、それをどのようにしてワインを合わせるかって難しいですよね。しかも赤ワインとなるとさらにハードルが上がってしまいます。でも『紫波ルージュ』を飲んだときに、「この軽さとブレンドなら、海産物とでもマッチするな」と確信しました。
朴舘さん:先入観で海のモノには白ワインって思いがちですが、赤ワインでもいいんですね。
藤﨑さん:ワインとウニ、お互いの味を主張しながら、尊重しあっている良いペアリングになっていると思います。
◇まとめ
今回、朴舘さんと小野寺さんにご紹介いただいた商品は、オンラインはもちろん「いわて銀座プラザ」でも購入ができます。
小野寺さん:(画面に写っている)こちらの商品はすべて、「いわて銀座プラザ」で購入が可能です。「岩手 短角牛」など食品の他に、伝統工芸品の漆器や南部鉄器なども販売しております。もっとたくさんの商品があるので、ぜひ足を運んでいただければ幸いです。
藤﨑さん:今回は、岩手県の食材についてフォーカスしてみました。岩手には海のモノ、山のモノとたくさんの美味しい食材があることを改めて学ぶことができました。
日本固有のブドウ種を使用した岩手産ワインやワイナリーもたくさんあります。どうペアリングを楽しめるのか? もっと挑戦してみたくなりました。
朴舘さん、小野寺さん、本日はありがとうございました。
《Information》
いわて銀河プラザ
住所/東京都中央区銀座5丁目15−1 南海東京ビル1F
営業時間/10:30~19:00(月末最終日は、17:00まで)
年中無休(年末年始を除く)
アクセスマップ
《Profile・経歴》
藤﨑聡子(Satoko FUJISAKI)
ワインスタイリスト
…1997年ワイン専門誌「ワイン王国」創刊、編集・作家担当・広告業務を担当。2003年ワインスタイリストとして独立。以後、男性ファッション誌、女性ファッション誌でシャンパン、ワイン、料理制作、スタイリング、レストラン紹介などを連載・執筆。
世界的に発刊されているワイン漫画『神の雫』では、シャンパン女番長としてワインと食材のマッチングコラムを2年半にわたり執筆。これはフランス、上海、北京、香港、台北、ソウル、アメリカで翻訳され現在も発売中。単行本では24巻から36巻まで収録されている。
レストランのワインリスト作成、メニュー開発、またスタッフに対するワインセミナーもジャンルを問わず手掛ける一方、ファッション撮影ではインテリアコーディネート、フードスタイリングなども担当構成。2014年12月、シャンパン100種類、メインディッシュは餃子、唐揚げをリスティングするラウンジ・Cave Cinderellaを東京・西麻布にオープン。
フランス・シャンパーニュ生産者組合団体・シャンパーニュ騎士団より2007年シュヴァリエ・ド・シャンパーニュ、2009年ジャーナリスト最年少でオフィシエ・ド・シャンパーニュを叙任。シャンパン、餃子、唐揚げ、ポテトフライ、ゴルフをこよなく愛する。
Video Photograph & Edit / Kazune Yahikozawa
Director / Yusuke Hama, Kie Soeda
Hair and make-up / BOTAN