フェンダーミュージック株式会社は2019年6月15日(土)、原宿・表参道エリアの2会場でフェンダーが誇るトップラインブランド「FENDER CUSTOM SHOP」のイベント「FENDER CUSTOM SHOP EXPERIENCE」を開催。

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Fender Musical Instruments Corporation

 最新のFENDER CUSTOM SHOP製ギター200本の展示に加え、アーティストが所有する実機コレクションを間近で見ることのできる展示会場&トークステージが設けられたラフォーレミュージアム原宿と、アーティストによるトーク&ライヴが行われるステージ会場が表参道ヒルズ スペース オーに設けられ、約1万2000人のギターファン音楽ファンたちが駆けつけることに…。この日、この2会場は大盛り上がりとなりました。

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左から/本社から来日したシニアマスタービルダーのトッド・クラウスさん、同じくシニアマスタービルダーのジョン・クルーズさん、フェンダーミュージック株式会社社長 アジア統括のエドワード・コールさん、FENDER CUSTOM SHOPセールスディレクターのジョー・レイノゾさん、FENDER CUSTOM SHOP 製品開発VP マイク・ルイスさん、そして表参道ヒルズ スペース オーで行われたオープニングセレモニーに集まったフェンダーファンの皆さんです。

 もちろん展示会場は、多くのファンたちの熱気とため息であふれていました。それもそのはず、実機を展示した12人のアーティストにはINORANさん(LUNA SEA)、岸谷 香さん、Kenさん(L’Arc〜en〜Ciel)、斎藤宏介さん(UNISON SQUARE GARDEN)、Jさん(LUNA SEA)、新藤晴一さん(ポルノグラフィティ)、Charさん、ハマ・オカモトさん(OKAMOTO’S)、春畑道哉さん(TUBE)、水野良樹さん(いきものがかり)、MIYAVIさん 、山内総一郎さん(フジファブリック)など錚々たるメンバーが名を連ねているのです。

 そして、それらのギターやベースなどの実機には、それぞれのアーティストたちのこれまでのプレイの歴史が刻まれているわけですからたまりません。お目当てのアーティストの愛すべき癖が想像できる生々しい打痕や傷、さらに個性的なカラーリングや仕様、そして思いを込めたステッカーやメッセージなど、普段は間近で確認することのできないディテールの数々が、この日は間近で見ることができる絶好の機会なのです。これを逃さず写真に収めるようとするファンたちで、長蛇の列ができていました。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
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ファン垂涎の最新200本超が並ぶ、「FENDER CUSTOM SHOP EXPERIENCE」ギター展示場
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 また、展示会場に特設されたステージでは、春畑道哉さん(TUBE)、岸谷 香さんが登場し、自身のFENDER CUSTOM SHOP製ギターと音楽についてのエピソードを語る時間も…。春畑さんは曲名にまつわる秘話に加え、特別に生演奏で2曲披露。岸谷さんも現在に至るまでの音楽遍歴からギターとの出合いや思いを語り、駆けつけたファンたちを楽しませてくれました。

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実機コレクションを間近で見ることのできるラフォーレミュージアム原宿内の展示会場。そこに隣接するカタチでステージが特設され、春畑道哉さん(TUBE)、岸谷 香さんが登壇。自身のFENDER CUSTOM SHOP製ギターと音楽についてのエピソードを語ってくれました。

 今回、このイベントのために最高峰の職人であるシニアマスタービルダーのトッド・クラウスさん、ジョン・クルーズさんのお二人が来日。それぞれこだわりのセットアップをワークショップ形式で実演し、普段見せることのない、その高い技術を惜しみなく披露してくれました。

 そして、「表参道ヒルズ」スペースオーで展開されたステージ会場で行われたトークイベントでは、新藤晴一さん、斎藤宏介さん、長岡亮介(ペトロールズ)が出演し、自らが目指す「最高の1本」をシニアマスタービルダーのトッドさん、ジョンさんにステージ上で直接オーダーしました。

 それぞれの想いを直接トッドさん、ジョンさんに伝えるその様子は、ギターに対する愛情に満ちあふれていました。それに対して、会場に詰め掛けたファンの皆さんもステージ上では決して見ることのできないアーティストたちの姿を、食い入るように楽しんでいました。

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 そうしてこの日限りのイベントを最後に締めくくったのは、LUNA SEAのINORANさん率いるバンドに、L’Arc〜en〜CielのKenさんがスペシャルゲストとして参加するという、ここでしか見ることのできない贅沢なライヴでした。

 前半はFENDER CUSTOM SHOPからシグネイチャーモデルを出しているINORANさん、そしてKenさんというフェンダーエンドーサーの2人ならではのトークからスタートし、後半にはINORANによる熱いライヴが繰り広げられたのでした。

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 そして、それだけでは終わりません…。さらにステージは最高潮に盛り上がったのが終盤、Kenさんも交えた2人のフェンダーギタリストによる夢の共演が実現。その後、フェンダーミュージック株式会社の代表取締役 社長 アジア統括のエドワード・コールさん、来日したシニアマスタービルダーのジョン・クルーズさんもステージに飛び入りし、全員でLED ZEPPELINの「ROCK AND ROLL」を熱演することに…。ギターを軸にした音楽への愛に満ちあふれた大団円に、会場は割れんばかりの拍手と歓声で幕と閉じたのでした。

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「表参道ヒルズ」スペースオーで展開されたステージ会場にて、長岡亮介さん(ペトロールズ)がシニアマスタービルダーのトッド・クラウスさんにステージ上で「最高の一本」を直接オーダー。そして長岡さんがオーダーしたのはなんと‼

 そこでエスクァイア編集部では、その中でもシニアマスタービルダーのトッド・クラウスさんをクローズアップ。長岡亮介(ペトロールズ)とのトークショーを覗かせていただきました。トッド・クラウスさんと言えば、エリック・クラプトンやボブ・ディランなど、世界のトップアーティストたちの楽器を数多く手掛けてきたFender Custom Shopを代表するシニアマスタービルダーです。 

  彼のギタークラフトマンとしてのキャリアを訊けば、「1981年にJackson/Charvel社で始まります。1991年にフェンダーに入社し、ワンオフ・プロジェクト・クラフトマンやR&Dモデル設計、木工機械工など多様な職務を経て、1997年にCustom ShopのMaster Builderになりました」とのこと。

 また、ギターづくりのポイントを訊けば…、「デザインで最も重要なのは、フォルムと機能です。サウンドの良さはもちろんですが、手に取った瞬間に湧き上がってくるフィーリングが最も重要と言えるでしょう。ロックンロールの楽器である以上は、ルックスは最高に格好いいことが大前提にあるけれど、手に持った者が自然と弾きたくなるような衝動を与えるものではなくてはいけないと思うのです」と、トッド流のギターづくりの哲学をほんの少し教えてもらいました。

 そんなトッドさんにオーダーしたいと名乗りを挙げたのが、王道のテレキャスターから一風変わったビザールギターまでを愛し、弾きこなす長岡亮介さん。そんな彼がトッドさんにどんなギターをお願いしたのかと言うと…。

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長岡亮介さんがトッド・クラウスさんにお願いしたモデルは、「Mandocaster」。もはやギターではなく、エレクトリックマンドリンだったのです。

 長岡さんの指定したのは、「Mandocaster」なるモデル。1956年にストラトキャスターのボディ材をアッシュからアルダーに変更した際に、その仕様変更と同時に入門機種である「デュオソニック」、「ミュージックマスター」とともに開発された「エレクトリックマンドリン」であり、当時のフェンダーの主要な音楽市場であったカントリーミュージックやブルーグラスを主眼に置いた製品であったとのこと。

 この長岡さんの突飛な要望に対してトッドさんは冷静に、「ボディは通常のマンドリンのようにボディ内に空洞を持たせない、ストラトキャスター等と同様の一枚板によって構成されるソリッドボディを採用したものです。専用に開発されたシングルコイルピックアップによって、アンプで出力するというもの…」と、専門的でちょっと難しい話を続けてくれました。

 また、「こんなモデル、頼んだ方は今までいますか?」と言う質問に対し、「僕はつくったことはないけど、時折、FENDER CUSTOM SHOPにオーダーが入ることは知っているよ。僕にとってもいい機会になるので感謝しているよ。初めてのモデルをつくることで、自分にもまた新たな発見があるかと思うとワクワクする…」と、このモデルの製作に対しての意気込みを表明してくれました。

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Takahiro Yamazaki

 そして最後に長岡さんが、「で、トッドさん、これどのくらいの期間でできますかね?」という質問に対してトッドさんは、「んん~、3カ月くらいかな…笑」というジョークで会場を沸かせてくれました。知らない人なら、「あ、そんなもんでできるのか…」と流していたことでしょう。ですが会場は、ギターファンでいっぱいなわけです。トッドさんは多くのトップミュージシャンから指名を受けて、ギターづくりをしていることは有名な話であり、彼にオーダーしたら完成まで2年から2年半はかかることはこの世界では常識…。長岡さんも、こうなることを察知しての、フリだったのかもしれません。

 とは言え、2~3年後の長岡さんのステージでトッド・クラウス作の「Mandocaster」のお披露目を心待ちにしたいと思います。さて、どんな音色を放ってくれるでしょうか?

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Takahiro Yamazaki


Todd Krause

トッド・クラウス

フェンダーの最高峰の職人であるシニアマスタービルダーの一人。ジェフ・ベック、エリック・クラプトン、ボブ・ディラン、デヴィッド・ギルモア、ロビー・ロバートソン、ケニー・ウェイン・シェパード、ロビン・トロワー、ロジャー・ウォーターズをはじめとする、世界のトップアーティストたちの楽器を数多く手掛けてきた、Custom Shopを代表するSenior Master Builder。

※さらに詳しい情報は
公 式 サ イ ト