インタビュー,原田知世

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ネオジャパンとは?

弊サイトのユーザーには、ポジティブなビジネスパーソンも数多くいるかと思うので、私の心配をよそに「株式会社ネオジャパン」という会社名を既にご存知の人も少なくないでしょう。例えこの会社名にピンとこない人でも、自身の仕事用PC内で毎日のように接しているかもしれません…。それは社内のグループウェアとして利用する「desknet's NEO(デスクネッツ ネオ/以降、デスクネッツと略します)」、さらにチャットツールとしての「ChatLuck(チャットラック)」です。実はこのようなITツールを開発・提供しているのが、ネオジャパンなのです。

ちなみに弊社(ハースト・デジタル・ジャパン)もデスクネッツを利用していて、私がバックオフィス(経理や人事、総務など)へくだらない質問を投げかけると、おおよそ「それならデスクネッツに載っていますよ」と丁寧に教えてくれる…という流れに。つまり、私に関しては耳にタコができるくらい聞きなれている…というわけです(笑)。皆さんはいかがですか?

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そうして改めてこのデスクネッツを使用すると、実に便利なことが再確認できます。これがあるとないとでは大違い(私の場合はバックオフィスに対して、大いなる余計な時間を取らせていたことでしょう…)、スケジュール管理やワークフロー、今ある業務の時短・合理化に大きく貢献してくれているのです。このデスクネッツの実績としては、現在では1000以上の官公庁・自治体が導入し、さらに金融機関そして一般企業に至るまで462万人以上という国内最大級の導入となっているそうで、この数字はそのまま信頼の証と言えるでしょう。

私は弊社バックオフィスからの指導もあり、いまやこのデスクネッツを有効活用する日々となったわけですが、ここでふと思い立ったのです。この、実に便利な国産グループウェア「デスクネッツ」は、どのように生まれたのか? そして、ビジネストレンドとして進化したデジタル技術を浸透させることで、人々の生活をより良いものへと変革する“「DX(Digital Transformation|デジタルトランスフォーメーション)」”時代と叫ばれて久しい中、数あるライバルから一線を画した存在となっているのはなぜなのか?

さらに知りたくなった私は、その本拠地へ取材依頼をお願いするに至りました。そして、その依頼を快諾してくれたネオジャパン。粋な計らいも加わり、いきなりこの会社を一代で急成長させた代表取締役社長 齋藤晶議(さいとう あきのり)氏に対してインタビューできることになった…というわけです。

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ネオジャパン創世記

Q:まずは齋藤社長自身、
どうのような経緯で
会社を創業したのか?

齋藤/私自身のことを言うと、高校卒業した後に日本電信電話公社に入社にしまして、その後東京・調布市にある現在の電気通信大学に入学しました。現在では国立大学として運営されていますが、当時は1918年創設された社団法人電信協会管理の無線電信講習所が起源とする学校で、そこから卒業後は現場には行かず、そのまま横須賀の電気通信研究所の光海洋研究室に配属されました。簡単に言うなら、光ファイバーの研究ですね。「中継に際して、どれだけ光を飛ばせばいいのか?」、そんな実験をしていました。

そうして1985年になると、日本電信電話公社は民営化され、日本電信電話株式会社(現NTTグループ)に変わります。すると研究開発がさらに活発となり、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校へ研修も兼ねて行くことになったのです。その際に一緒に行った仲間たちと「その前にベル研究所へ行こうよ」と盛り上がり、みんなでリサーチ訪問させていただきましたね。とは言え、そこもわれわれと同様に進めている研究は基礎みたいものばかりだったので、「なんだ、つまんないねぇ」という感じで帰っていったのを覚えています。生意気な若造だったというわけです(笑)。

バークレーでは大学の補助教員みたいな仕事もしていたのですが、そこで研究していたのが現在はインターネットで標準的に用いられる通信プロトコルで、TCP(Transmission Control Protocol)とIP(Internet Protocol)を組み合わせた「TCP/IP」というものでした。 そうして帰国後、国内中堅のソフト開発会社に入社します。そこで新事業部門であるUNIX関連の研究開発部門を任されると、TCP/IP通信技術のノウハウを評価されて、大規模ネットワークシステムの通信・インフラ部開発を受注し、プロジェクトの技術責任者を務めることになりました。

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Yohei Fujii
齋藤晶議(さいとう あきのり)/1961年(昭和36年) 宮崎県生まれ。宮崎県立小林高校卒業後、日本電信電話公社(現NTT)に入社し、企業内大学である「電気通信大学部」に入学。 卒業後は横須賀通信研究所で光通信方式の研究員として配属される。その後渡米し、当時最新のUNIX(1969年にAT&T社ベル研究所で開発が始まったオペレーティングシステム)の技術を学びます。帰国後はそこで得た知識と経験を活かして、日本におけるインターネット通信の基礎構築の一端を担う。そうして当時の同志と共に1992年、ネオジャパン設立。以来、代表取締役社長と技術開発事業部最高責任者を兼任している。

齋藤氏/当時の日本はまだインターネット創世記でもあったので、さまざまな実験的な仕事ができ、毎日がかなりエキサイティングでした。もちろん今でも、エキサイティングに仕事していますよ…(笑)。

すると、東京電力や中部電力などに所属する優秀な人たちがこぞって、インターネットの開発に注力するようになります。年代で言えば…1984年10月に東京大学、東京工業大学、慶應義塾大学の3大学を結ぶネットワークとして「JUNET(Japan University NETwork)が実験的に開始されましたが、そのあとだったと記憶していますので…1985年前後ということになりますかね。

そうこうしているうちに東京電力から、「日本で最大級のネットワークをつくろう」といったプロジェクトが舞い込んできます。で、手伝うことになるのですが、実はわたしどもネオジャパンの起源は、そこに集まってきた連中なのです。

東京電力での仕事は、3年ほどやっていました。やがてその仕事がひと段落すると、それぞれの会社へと戻っていくわけなのですが、その頃ちょうどバブル崩壊した直後でもあったので、会社に戻っても緩慢(かんまん)な動きになっていて面白さが感じられなかったのです。そんな中、仲間たちと話をしていくうちに「いつの間にか会社をつくっていた…」という感じで「ネオジャパン」が誕生したのです。言わば、「成り行きで…」と言っても過言ではないですね(笑)。

A:寡黙だけどユーモアに
満ちた「進化」に貪欲な
紳士でした

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「ネオジャパン」、
その名前の由来とともに

Q:創設は確か1992年2月29日…
なぜ、閏(うるう)日に?

齋藤氏/会社をつくるとなれば、会社名を決めなければいけません。当時の新橋のあたりで仕事をしていまして、周辺にはバブル崩壊期の風にさらされている証券会社など金融系の会社が点在しているわけです。そこで、なんかその陰鬱とした空気感が伝わってきまして…「このまま、日本は終わってしまうのでは⁉」みたいな雰囲気に私自身も飲み込まれそうな気配を感じたのです。そこで、「その逆境を跳ねのけたい」という想いが募りまして、「新しい日本」を目指す思いで「ネオジャパン」という名前にしました。

そうして1992年2月29日に、設立したというわけです。

ご指摘のように弊社の創設は1992年の閏年であり、そしてその年の閏日2月29日を創業日としています。これは次の閏年まで、「4年間経営が継続できる会社であるなら、社会に存在価値が示せた…“飛躍し続ける可能性のある良い会社”として自身納得できる」という戒(いまし)めにもしてのことです。あとは、「歳を取りたくないな」という想いもありましたね(笑)。創業記念日は4年に1回になるわけなので…。

A:その説明の陰には、
閏年の英語表記“Leap year”」…
“leap(飛躍)
”が感じられる

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必要に駆られ
誕生したグループウェア

Q:「デスクネッツ」開発の
発端は何だったのですか?

齋藤氏/現代の若き起業家の皆さんのように、「起業したからには市場価値を上げるよう、頑張ります!」みたいな、そんな目標を持つこともなく、ただ「なにか面白い仕事ができれば」と仕事自体にワクワク感を求めていたのです。先輩たちも、そういう雰囲気だったのを覚えています。

現在もそうですが、創業当時のネオジャパンは、そんな雰囲気で満ちあふれていましたね。アメリカで最先端のインターネット基礎技術を体感してきた仲間たちでもあるので、その後も東京電力はじめ、インターネットの基礎づくりに注力している電力会社…九州電力や中部電力やその周辺のネットワークプロジェクトのお手伝いをさせていただきました。あと、トヨタのネットワークのコンサルティングなどもやらせていただきました。当時、ネオジャパンの社員は10名ほどしかいないというのに、世界のトヨタのネットワークのコンサルティングをするなんて、今から思えばとんでもない話です…。

やがてそんな状況に慣れてくると、「面白くないな」と贅沢にも思ってしまうのです。そんな折、わたしどもの仕事のやり方が当時としては斬新なもので、さまざまな会社の人たちが集まってあるひとつのゴールを目指してプロジェクトを成し遂げていくというものだったのです。そこに結構、外国人も集まっているということもあり、一つ会議を組むに当たってもスケジュールの調整自体が非常に困難なものでした。そして、そこでそのスケジューリングをわかりやすくできるよう、まずは自らの仕事を合理化するためにシステムをつくり始めたのです。そこで開発したのが、われわれの事業の目指すところとなったと言ってもいいですね。つまり、これからの経済活動にグループウェアが必須であることに気づき、その開発に注力するという企業の方針をつくり上げる発端となったわけです。

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Yohei Fujii

齋藤氏/こうしてまずは自分たち用として開発したシステムなのですが、製品とする以前から東京電力などでも使用してもらうようになりました。インターネット上でスケジュール管理をする発想など、あり得ない時代だったので…。そもそもインターネットのブラウザを使用している人も少なかった時代です。

そのうち Eメールでのコミュニケーションも社会的に盛り上がってきたので、そのタイミングで、ブラウザを通じてスケジュールを調整し合うというシステムを本格的に開発することになったのです。社内にも、「こんなシステムがあったら、みんな喜ぶはずだよ。業務がスムーズになるでしょ!? 」と皆言うようになって、販売するまでに至ったというわけです。

当時、「グループウェア」という言葉もなかったわけですが、既にMicrosoft社には現在も存続している「Exchange」、IBM社にも同様に「Lotus Notes」という製品がありました。ですが、これらは非常に高価なものだったのです。例えば100人余りの会社で、例えば総額1000万円などと言われても、そうそう投資できる額ではないとわれわれは判断しました。そこで「安価で、このようなグループウェアを世の中に提供したい」という目標が社内にできたのです。その完成形のひとつが、「デスクネッツ」というわけです。ユーザー数は累計462万ユーザー(クラウド版契約ユーザー数とパッケージ版販売累計ユーザー数の合計<2022年1月現在>)の皆さまに使用していただいております。

とは言え、そこで邁進することもありませんでした。そもそもわたしどもは、プロダクトをつくるために結成した会社ではありません。「技術開発を目標にしている会社であり、ゴールの見えない頂上へ向かって、それぞれの知識と勘をフルに共有し合いながらテクノロジーという環境の中で面白いことをし続けていきたい」といった熱い想いを抱いている同志の集まりのようなものです。その仲間たちのそれぞれの才能を融合して、そのシナジー効果によってさらなる高みへと一緒に踏み込んでいくことが好きな連中ばかりでして…。

それは30年を経過した現在も、全く変わっていないと思っています。例えば、かつてNTTdocomoがiモードを出したときには真っ先に、「iモード対応」のシステムを開発したりなど、新たな開発の場を常に探し求めてもいます。なので今でも、「ちょっと無謀でしょ!」みたいなことを平気でやっていますね。

A:自社業務の最適化を
図って
開発したグループウェアが
「デスクネッツ」となる

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さらに想いは膨らみ…
より多くの人々に
ITテクノロジーによって
存分に仕事が楽しめる
時代にしたい

齋藤氏われわれネオジャパンが現在、新たに注力しているのがクラウドソリューションである『NEOREKA クラウドPC』です。こちらは“クラウド”と名前につくだけに、あらゆるデバイスから、いつでも、どこからでもアクセスできる、動的で高機能な仮想デスクトップの作成を支援するものです。1ユーザーからでも利用可能なお手頃なクラウドであり、もちろん企業単位でもお申し込み可能となっています。

いわば個人のデスクトップ環境を、クラウド上から仮想のデスクトップとして提供するサービス“Desktop as a Service”の頭文字をとった「DaaS」テクノロジー対応の集中管理システムです。企業のモビリティを強化するための高度なセキュリティ機能も備え、従業員それぞれがよりスマートかつスムーズに、「在宅勤務」モードへと切り替えることを目指したものであり、実際、それをかなえているとわたしどもは思っています。しかも、誰もが納得していただける価格で…。 

ここでdesknet's NEOの話に戻りますが、私どもは技術開発の会社なのでコマーシャルなども行わず、代理店を通じて販売を行っております。なので、一般の人でこの名を知っている人は少ないかもしれません。ですが、それでも代理店さんのほうで厚い信頼を得ることができているので、現在徐々に拡大していることが実感できています。

その中でも特に、国の官庁および地方自治体で数多くdesknet's NEOを使用していただいております。また大手企業の中でも、特に建設業界からの厚い信頼を得ている実感もあります。とは言うものの、わたしどもは大手での普及ばかりを目指しているわけではありません。その規模に関係なく、さらに業種も関係なくサポートしていきたい…そう願って日々精進しています。そのような製品は、他にあまりないとも自負しております。

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齋藤氏/もともとは従業員300人以下の、「ITのシステム系になかなか投資することが難しい企業をサポートできたら」と思って開発してきたものなのです。そこで実際につくっていく中で、社内で「なかなかいいよね」ということとなり、1000人単位から2000人単位、さらに1万人単位の従業員を有する規模の会社および団体でこれを採用していただくように拡張していったというわけです。

そもそも中小企業に向けて開発したものなので、コストパフォーマンスに関しても誇れるほど高くすることができています。スモールライセンス価格として、10人集まって6万4300円、5人ですと3万9800円で済む契約も用意しています。また、クラウドで運用しているのですが、クラウドも1カ月で1人400円という具合に低額で提供できてもいます。

ネオジャパンのビジョンは
創業以来同じ…
「ビジネスICTツールを
社会インフラに、
すべての企業にITメリットを」

齋藤氏/会社はこのコロナ禍、在宅勤務は日常化したということもあって好調と言ってもいいかもしれません。それも創業以来の企業理念、「リアルなITコミュニケーションで豊かな社会形成に貢献」を貫き続けていたからだと思っています。

技術革新はますます高みへと成長しています。ですが、そこで必ずしもそれぞれの新商品やシステムがユーザーにとって使いやすく、さらに安全なカタチで提供されているわけではありません。また、コミュニケーションの充実や仕事の生産性向上に貢献しているものばかりでもないのではないでしょうか。そこで新しい技術を、ユーザー本位のカタチで提供することを目指し、より質の高いコミュニケーションの創造を実現することこそがネオジャパンにとっての責務だと考えています。そうして情報化社会のより豊かな発展に貢献する…これこそが、ソリューションベンダーとしてのネオジャパンの真髄となるのです。

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齋藤氏/そうしてビジョンとして掲げているのが、「ビジネスICTツールを社会インフラに、すべての企業にITメリットを」です。「ICTツール」とは、ここ最近の働き方改革において欠かせないもので、Information and Communication Technology」の頭文字をとってICTとなるわけですが、その関連ツールとなるテレビ・WEB会議システム、チャットツール、ナレッジ共有ツール、ファイル共有ツールなどなどをスマートでスムーズ、さらに安全なものを提供させていただくことで今後もすべての働く人を支え、皆さまの事業運営に欠かせないインフラへと発展させていきたいと考えています。そうしたツールを世界中のビジネスユーザーに届けることこそ、当社の社会的な存在価値だと思っております。そんなワクワク感を忘れず開発に励み、その喜びを「スムーズな業務遂行」「業績アップ」といった違うカタチの喜びとして、皆さまに共有できたらと社員すべてが願っています。そうしてそれを積み重ねることで、ITテクノロジーを通した社会貢献ができればと願っている次第です。

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「この現状に戸惑いも…」
と齋藤社長は振り返る

Q:シリコンバレーのように
バイアウトは
考えなかったのか?

藤氏/会社を創業したときのわたしは、29歳でした。何もわからない状況の中で会社をつくって現在に至り、2021年12月に私自身60歳の還暦を迎えることになりました。そこで実際に、「ここまで来ちゃったのか」と、ちょっと怯え気味の驚きも実感しました(笑)。

バークレーで仕事した際に知り合ったアメリカの知り合いの中には、ある程度会社を大きくしてユーザーを膨らましたら、そのままバイアウトして次の仕事をやりましょう…みたいな者も実際います。ですが私はなかなか、そのような考えには至らなかったですね。結局いまの会社のまま、そこにいる仲間たちと一緒に成長することこそが一番の楽しみなのです。

社員として、同じ志を共にする者として、新たに1人会社に迎え入れるとします。すると、やがてその社員に子どももできるでしょう。そうして1人採用するということは、その家族も含め3~4人の人生を共にするということになるわけです。そのことを、忘れてはいけないっていつも思っています。会社としての“責任”も増えるわけですが、そこにはそれにも増す“喜び”の数も増えるわけですから…。

起業家の中には、自分の会社がある程度成長して価値を得たときに、または逆に危うくなった間際に、自分の取り分のお金を抱えて会社を手放す人も少なくありません。ですがわたしの場合は、なかなかそういう考えにはなれないタチなのです。もともとは宮崎の田舎出身だからですかねぇ、「ダメなら辞めればいい…」なんてあんまり考えられなくて。実家が農業をしていたこともあり、モノづくりが好きなのです。一から育て上げて、その実りを協力し合った家族全員で喜び…それこそ、この上ない幸せだと思っているのでしょう。

そのような想いでグループウェアの開発をもう20数年も続けているわけですが、挫けることなく現在までたどり着けたのも何より、「社員一丸となってつくり続けることを辞めなかったからだ」と思っています。ひとつのことを愚直に、失敗も繰り返しながらみんなで追求していきました。その都度、お客さまも少しずつ増えてきて、そこで増えた分だけ皆さまからの要求要望も寄せられます。その要求のすべてが、実に面白くてしかたないのです。お客さまが与えてくれた、ときに高くそびえ立つ壁を乗り越えたときの喜びとともに、そんなお客さまのお悩みを解決することができた達成感を同時に得ることができたときの幸福感はなんとも言い難く…まさに感無量です。

こういう製品ですと、全国からクレームが山ほど届きます。そのクレームを確認すると「なるほどな」って勉強になることばかりで、それに対してひとつひとつ真摯に対応してきた結果として現在に至ったと言っていいですね。つまり会社の現状は、お客さまに導かれたと言っていいです。またクレームというのは逆に、会社運営上、楽なところでもあるのです。なぜなら、お客さまがわれわれにゴールを指示してくれるからです。

「これがあるともっと便利だ」とか「これは駄目だよ」ってちゃんと叱ってくれるので、そこで進むべき方向が示されるだけでなく、発見や気づきをたくさん与えてくれるわけですから…。そんな日々が楽しくて、これまでの会社の内面…成長ぶりなど、ゆっくりと確認したこともなかったと言えますね。2015年11月に東証マザーズに上場し、2018年1月には東証マザーズから東証一部へ市場変更するまでになりました。周りからは「成功しましたね」って言われていましたが、わたしも含めて会社全体にはそんな雰囲気もなく、パーティをすることなどもないまま、ひたすら開発…モノづくりに徹していた気がします。

一方で、例えば建設会社を見ていると、とてもうらやましい部分もあります。それはビルを建てると、「これは俺がつくった」みたいなことが言えますね。「これはわれわれがつくったもの」という物体を確認することで、うれしさも具体的に感じられるはずで、さらにその物体を通して共感もたくさん得ることができるでしょう。しかしながらわたしたちはPCの中の、ある意味バーチャルな機能であるわけです。なので、お客さまが役立って喜んでいただいた声を聴くことが一番うれしいのです。

そんなわれわれの、今後におけるさらなる目標は「世の中の人たちがこれはなくてはならない…と実感してくれるインフラを構築すること」です。そうなるためには、もっと圧倒的なユーザー数が必要なのかもしれません。例えばDX化と叫ばれて久しい中、なかなかそれが進まないのが現状。でももしかすると、われわれのグループウェアがその糸口となって、ある程度のDX化ができるのでは?と思ったりもしています…。

【後編につづく】

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Yohei Fujii
齋藤晶議 株式会社ネオジャパン 代表取締役社長 兼 技術開発事業部最高責任者/趣味は、ゴルフとバイクとのこと。しかしながら趣味とは言え、勝負にこだわるタイプの齋藤氏。いずれもこの上ない情熱を注いでいるそうで、特にバイクは海外の長距離耐久レースにも多数出場。オーストラリアやヨーロッパ等で行われる、不眠不休の数千キロメートルを走り抜けるバイクレース等にも参加していたそう。仕事同様、趣味にも貪欲にチャレンジすることを怠らない情熱家であり冒険家でもある。

取材協力
ネオジャパン
TEL 045-640-5910
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