Netflixの大ヒット韓国ドラマ『イカゲーム』。シーズン1は配信開始以来、4週間で1億4200万世帯が視聴し、日本ばかりでなくアメリカ、ブラジル、フランスなど世界94か国で“今日の総合TOP1”を獲得した大ヒット作品です。さまざまな境遇により困窮した人生をおくる大人たちが巨額の賞金獲得を目指し、昔ながらの子どもの遊びに命がけで挑む究極のサバイバルスリラーです。

2022年1月には、シーズン2の制作が公式に発表しています。さらにNetflixは、スピンオフとしてドラマをそのまま再現するリアリティ番組『Squid Game: The Challenge』の制作を進めていることをエスクァイア日本版でも記事で紹介しています。しかし、この番組に対しては懸念の声も上がっています。特にこのドラマの原作・脚本・監督・演出を手掛けた…まさに「イカゲーム」ヒットの立役者であるファン・ドンヒョク監督は、このリアリティー番組をめぐる不安を一掃したいと考えています。

現地時間2022年9月13日(月)に開催されたプライムタイム・エミー賞(夜間のプライムタイム に放送される優れた テレビドラマ やバラエティ番組を表彰する賞)の授賞式で、ドラマシリーズの最優秀監督賞を受賞したドンヒョク監督。この式でレポーターにリアリティ版に関してコメントを求められると、「私が望むのはリアリティ版の製作陣ができる限り、私のビジョンと意図を受け継いでくれることです」とコメント。

その上で「イカゲーム」のようなディストピアを描いた重い作品を、リアルな状況で再現することに対する懸念や不安を示す意見があることを認めました。このことに関しては、ウェブサイト「TVLine」が報じています。

「私たちが制作したこのドラマには、極めて重いメッセージが込められています。そういった作品を賞金付きのリアリティ番組としてスピンオフすることは、世間から必ずや懸念が示されることでしょう。たからと言って、あまりにも深刻に捉えるのもエンターテインメント業界にとって最善の方法でもありません。そういった意味からも、この試みによって『本当に素晴らしい前例ができる』とは言い切れないのです」と、ドンヒョク監督。

さらにこう言います。

「ですが、このような取り組みを敢えてチャンレンジすることは、この業界に新しい道を示すことになるすばらしいチャレンジです。これが業界全体にとって、新しい方向性を切り拓いてくれることを切に願っています」

イカゲーム
Myung J. Chun//Getty Images
エミー賞受賞時のファン・ドンヒョク監督(Hwang Dong-hyuk)

リアリティ版制作のニュースが最初に流れたとき、ドンヒョク監督は「クリエイティブチームからセットデザインや服装がドラマと同じになるように図面を描いてほしいと頼まれています」とコメント、チームが「原作の世界観に忠実であろうとしている」ことを明かしていました。

Netflix史上最高の視聴者数を記録した「イカゲーム」です。メディアにおけるコンテンツの移り変わりも激しく、先が見えない時代とも言えます。よってこのスピンオフが、オリジナルの記録を塗り替える可能性もゼロではないのです…。

「イカゲーム」シーズン1は、現在もNetflixで配信中です。

※この記事は抄訳です

Translation: Yoko Nagasaka

From: Digital Spy