ポップカルチャーの歴史を再びたどってみても、現時点でマリリン・モンローに関する新しいネタはそう簡単には発見できません。彼女の生涯は、それほど多くの人々から注目されていたという証明でもあります。なぜなら、彼女について(自分だけが)知っていることを会話に盛り込むことが、ある種の自慢になるほどの威力を持ったいたから。

 そう、モンローの生涯に関しては、「語り尽くされている」と言ってもいいほどなのです。その流れは、彼女の死後(1962年8月5日没)およそ60年にもなる2021年でも同様のよう。ですが先ほどもお伝えしたように、真新しいネタには出合うことはできません…。

 地球上で最も世界的に有名な人物の1人であり、アンディ・ウォーホルの版画からエルトン・ジョンの歌まで、マリリン・モンローという1人の女性はあらゆる人々のミューズでした。もちろん、彼女を題材とした映画も数多く、ドキュメンタリー映画『マリリン・モンロー 瞳の中の秘密』(2013年日本公開)や『マリリン 7日間の恋』(2012年日本公開)などがあります。

 そしてこのたび、ノーベル文学賞候補として何度か報道されているジョイス・キャロル・オーツ氏による同名のフィクションを原作とした伝記映画『Blonde(原題:ブロンド)』が製作され、ノーマ・ジーン(マリリン・モンローの本名)に再びスポットライトが当てられています。

 この長編映画は制作に約10年の歳月を要しており、Netflixはこの映画を2021年後半にストリーミングサイトで視聴可能になることを発表しています。そこで配信が始まる前に、この映画についてわかっていることをまとめてみましょう。

マリリン・モンロー
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『Blonde(原題)』はどんな話なのか?

 2000年に発売されたジョイス・キャロル・オーツの著作『Blonde』は、マリリン・モンローの私生活について描かれたフィクションの小説です。同作はおよそ700ページで構成され、この作品はピュリッツァー賞にノミネートもされています。しかしオーツは、それが伝記ではなく架空のストーリーとして扱われるようになるとは意図していなかったようです。それは、すでに配信されているNetflixのオリジナル作品『ザ・クラウン』や、書籍をもとにO・J・シンプソン事件を描いた『アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件』のようなケースにも似ています。

 オーツは当初、中編規模の伝記にする予定でしたが、書き始めてみると執筆する手が止まらなくなったそうです。「時間が経つにつれて、私は彼女の世界に夢中になって、止まらなくなりました。結果的に、これほどまでの長編に仕上がりました。とは言え、最初に仕上がった下書きでは、最終的なものよりもさらに長編でした」と、オーツ氏は話しています。

 この小説は、マリリン・モンローの人生の多くの側面をカバーするように描かれています。大統領との関係(小説では直接的な名前を使用せず、イニシャルや仮名が使用されています)や、プロ野球選手ジョー・ディマジオと共に劇作家アーサー・ミラーとの結婚も含まれています。またこの書の中では、モンローの死因に関しては暗殺の可能性があると推測もしています。

映画化との関係性

 この作品の製作には、長い間、プロデューサーやキャストの変更といった多くの問題がついて回りました。この傾向は、あまり良い前兆とは言えないものです。

 当初、アンドリュー・ドミニクが監督を務め、ナオミ・ワッツが主演として2010年に発表されました。ですが、撮影は計画の2011年には始まってはいません。次に2014年には…主演はワッツに代わってジェシカ・チャステインが務めることとなり、ブラッド・ピットを含む新プロデューサーのホストも参加することが発表されたのですが…。

 再び時は流れ、2016年にNetflixが映画の権利を取得したことを発表。そして2019年には、チャステインがプロジェクトから外れたことを発表し、最終的にはキューバ出身のアナ・デ・アルマスが配置されたという流れになっています。

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『Blonde(原題)』の主演はアナ・デ・アルマス

 これまで、『ウォー・ドッグス』、『ブレードランナー2049』、『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』などに出演してきたアナ・デ・アルマスですが、彼女がこの栄誉ある役を演じるにあたって苦労したことについて、「タイムズ」紙にこう話しています。

 「彼女の訛りのある話し方を再現するためにコーチをつけて練習したり、ADRセッション(撮影後の会話の再録音)も多かったですね。心底辛くて、本当に疲れました…。疲れて、頭がまわらないほどにです」

 それでも、「この役を演じるために生まれてきた」と語るほど、彼女はこの役に陶酔していたようです。「『私なら、この役を演じきることができる』と信じながら演じてきました。私にとってマリリンを演じるということは、非常に画期的なチャレンジでもありましたので。マリリン・モンローを演じるキューバ人、これを私の手で成功裏に収めたかったのです。そして、こう感じることができました。代表的なポートレートの中で、彼女は常に微笑んでいます。ですが、それは彼女にとって実際に経験してきたことの中から言えば、一瞬の出来事にすぎなかったんです」と、アルマスは『バニティフェア』誌に話しています。

 そんな映画内での相手役には、マリリンの3番目の夫だった劇作家のミラーには、エイドリアン・ブロディが演じています。また、2番目の夫で元プロ野球選手をボビー・カナヴェイルが演じ、ジョン・F・ケネディをキャスパー・フィリップソンが演じています。

アンドリュー・ドミニク監督
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アンドリュー・ドミニク監督

アンドリュー・ドミニク監督が示すこの映画への思い

 監督は、2016年に映画専門サイト「Collider」で「過去10作品の中でも最高の映画の1つになる」と大胆な宣言をしており、「人間の本質に迫る映画です。それは、子ども時代のトラウマが公的自己と私的自己の間で分裂しながら、どのように大人へと形づくっていくかを描いた物語です。基本的にすべての人々に当てはまる物語ですが、メディアへの露出を通して、私たちが持ち合わせる非常に身近なものとの関連性を、大いに感じることができるはずです」と話しています。

『Blonde(原題)』の予告編

2021年1月の時点で、予告編は公開されていません。ですが、近いうちに公開されるでしょう。そして、ストリーミング開始時期についても、同じタイミングで発表されるでしょう。それも、もう間もなくのはずです。

 

『Blonde(原題)』はいつ公開?

もう、これは先ほど言ったばかりですね。現段階では、申し訳ありませんがわかりません!

Source / ESQUIRE UK