テイラー・スウィフトのおかげか? 実際のところ、何の効果かは明確に判断できません。すべてが臆測とも言えるでしょう。ただ事実として、2024年2月11日(現地時間)に行われた第58回NFLスーパーボウル(Super Bowl LVIII)はフットボール史…いや、エンターテインメント史から見ても“偉業”と言える結果を成し遂げました。
この試合、ニールセン・メディア・リサーチ*¹によれば全米で史上最高の視聴率の一つを記録したとのこと。 平均視聴者数に関しては、「推定1億2370万人が視聴した」と言います。放映した「CBSテレビ」単独での平均視聴者数は1億2030万人で、単一ネットワークでの放映としては過去最大の視聴者数に。
さらに230万人の視聴者が(スペイン語のテレビネットワークの)「ユニビジョン」のスペイン語放送を視聴。加えて、ケーブルテレビチャンネルの「ニコロデオン」と「ニック・アット・ナイト」の子ども向けの放送を、120万人が視聴したということなのです。
今回の対戦はサンフランシスコ・49ers対カンザスシティ・チーフス、両者の力は拮抗(きっこう)し、4Qを終えて同点。大会史上2度目の延長戦となった時間帯では平均視聴率43.5%となり、テレビを視聴している世帯から視聴率を割り出す合算型の「世帯シェア」に関しては、なんと83%に。前年比視聴率は、2023年から7.4%上昇したと言うのです。
ちなみにNFL公式X(旧ツイッター)が、試合開始の約2時間前にスタジアムに到着したテイラー・スウィフトの様子の動画で投稿すると、30分ほどで閲覧数は200万回を超えたそうです。
ちなみに「USAトゥデイ」の記事*²によれば、試合時間約4時間18分中でテイラー・スウィフトがカメラに映ったのは約55秒。つまり、合計1万5480秒かかった試合の中の55秒であり、スウィフトが画面に映っていた割合で言うなら約0.0035%ということになります。
2023年のスーパーボウルで優勝をはたしたのも、フィラデルフィア・イーグルスに38対35で勝利したチーフスでした。2019年に続き、ここで2回目の第57回スーパーボウル(Super Bowl LVII)制覇を経験したこのタイトエンド*³、トラビス・ケルシーは以降、私生活でも波乱の1年を過ごしてきたと言っていいでしょう。
そうして迎えた2024年2月11日(現地時間)、ラスベガスで開催された第58回スーパーボウル(Super Bowl LVIII)では見事、三つ目のスーパーボウルリング*⁴を獲得したトラビス。もちろん、これまでと同じように背番号87番をつけて、フィールドに立ちました。
現在、トラビスと交際中のテイラー・スウィフトは、歌詞にさまざまな意味をイースターエッグのように隠していることで有名です。同じように彼も、自分の背番号にとても個人的な意味合いを込めていました。
それは、兄のジェイソンへの“敬意”であり、ケルシー家の“誇り”でもあります。
昨年のスーパーボウルの前に、トラビスは「自分の背番号が兄への想いを表すためにあえて選んだものだ」と告白しました。ジェイソンも2011~2023年までフィラデルフィア・イーグルスに所属していた選手であり、ポジションはオフェンスライン(その中でもセンター)*⁵として活躍していました。
つまり、2023年の第57回スーパーボウルでは史上初の兄弟対決だったのです。
トラビスは、「もし『ケルシー家のレガシーは何か?』ってなれば、それは兄弟が2人そろってNFLで活躍していることだね。だから、1987年に兄が生まれた年に、この物語はスタートしたってことになるでしょ」と、NFLフィルムズのインタビューで語っています。
そしてジェイソンのほうも、そうした想いを再確認すると「とてもクールなことだね」と感謝と歓喜を示すコメントで応えます。
この背番号に関するエピソードを、試合前に視聴した一部のファンは大興奮。この年のスーパーボウルを「ケルシーボウル」と呼ぶほど、ヒートアップしたということ。
ちなみに第57回スーパーボウルの試合結果は、前述のとおりチーフスの勝利。ジェイソンは敗北をさらっと受け止め、試合が終わるとすぐに弟の耳元で「くたばりやがれ、おめでとう」とメッセージを送り祝福したと伝えられています。
この兄弟はフットボール以外でも仲が良く、ポッドキャストプログラム「ニューハイツ」を一緒に配信。その週の試合のプレーについて話したり、人生や家族について語り合ったりしています。
2024年スーパーボウル開催後としては初となる最新回の配信では、どんなトークが繰り広げられるのでしょうか…最後にお楽しみください。
英語が苦手でも、雰囲気だけでも十分楽しいです!
[脚注]
*1:Nielsen Media Research マーケティングROI分析、広告効果測定、マーケティングのコンサルティング、 市場調査などを行っています。参照は、日本にある合同会社ニールセン・メディア・ジャパンからニュースから。
*2:USA TODAY 1982年に創刊された全米に向けた日刊新聞。2024年2月11日公開の記事を参照
*3:Tight End(TE) それぞれのチームはボールを確保する攻撃側(オフェンス)と、守備側(ディフェンス)に明確に分かれゲームが進行するアメリカンフットボールにおいて、オフェンス側のポジション。最前列で敵のディフェンス選手をブロックしてボールキャリアを守るOL(オフェンスライン)と役割とともに、パスされたボールをキャッチするWR(レシーバー)の役割も求められるポジション。基本的にランプレーではブロック、パスプレーでは昨今ではメインターゲットとしてパスを受ける比率も高い。NFL JAPANの用語集を参照。
*4:Super Bowl ring アメリカのプロアメリカンフットボールリーグ「NFL」の優勝決定戦、スーパーボウルで優勝したチームのメンバー全員に褒賞として贈られるチャンピオンリングのこと。ジャスティンズ社が製造、これまでのリングを参照。
*5:OFFENSIVE LINE(OL)日本語では、主に「オフェンスライン」と呼ばれる。自らの身体を犠牲にして、ディフェンス側の選手をブロックすることが主な役割。 ポジションはセンター(C)1名、ガード(G)2名人、タックル(T)2名による5人のユニットを基本とする。これにチームの戦術によって、*3のタイトエンド(TE)を加えることもある。NFL JAPANのルール解説:ポジションを参照。
Translation / Yoko Nagasaka
Edit / Minako Shitara
※この翻訳は抄訳です