ぶっちぎりで首位の
バービーが
ビリオンダラークラブ入り

2040億円。

この数字が何かおわかりだろうか。驚くようなこの額は、2023年における映画『バービー』の全世界興業成績の数値なのだ。

2023年の興業成績では、ぶっちぎりで『バービー』が首位。米国内では6億3621万56ドル。全世界では14億4181万56ドルの売上となった(共に2023年12月18日の時点で、BoxOfficeMojoより。※この数値は日々更新される)。

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ちなみに2位が『スーパーマリオ・ブラザース』。このトップ2がズバ抜けて興業成績が高く、続いて全世界では3位が『オッペンハイマー』、米国内では『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』となっている。

知名度の高い『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』や『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』もまったくかなわないという結果に終わった。

公開17日後に、1ビリオンドルの売上に達成したグレタ・ガーウィグ監督は、女性の単独監督では初めてのビリオンダラークラブ入りという快挙をなしとげた。

女性をエンパワメントする
バービーの功績

今年のエンタメを代表する作品となった『バービー』は、女性をエンパワーするフェミニズム映画と評される。

その成功の秘訣は、諧謔(かいぎゃく≒ユーモア)をまぶしたコメディで、痛烈に社会を風刺しながら、セットも色彩も歌やダンスもとびきり楽しいミュージカルであるからだろう。

バービーが住むバービーランドでは、さまざまなバービーたちが政治や会社のトップにいて、一方ケンたちはルックスの魅力だけでボーイフレンドでいるという、いわばお飾りの存在。現実社会のミラーリングと言える。

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Barbie Escapes Mattel Scene
Barbie Escapes Mattel Scene thumnail
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だが、バービーが現実の人間世界に行ってみたら、そこは正反対、男性がトップを支配する社会であり、バービーを作るマテル社の重役は男性ばかり。

そしてZ世代である人間のサーシャは、バービーに向かって「あなたはジェンダー・ステレオタイプを助長する人形だ」と批判する。そこでバービーが自分探しをしていく展開となるのだが……。

ひと言で言えば、わたし自身が今年観た映画の中でも、断トツに面白かった。バービーはコミカルにミソジニー(女性蔑視)や不平等を描いたり、ピンクやハイヒールに象徴されるジェンダーステレオタイプを揶揄(やゆ)したりしながら、女性の生き方と多様性を訴えるテーマが、人々に刺さった快作だと言えるだろう。

『フォーブス』誌の
「最もパワフルな女性」に
バービー入選
 

おかげでバービーは、『フォーブス』誌が選ぶ2023年版「The World’s Most Powerful Women(世界で最もパワーのある女性たち)」リストにランクインをした。

女性初のEUトップとなったウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長や、欧州中央銀行(ECB)総裁であるクリスティーヌ・ラガルド氏、アメリカ副大統領のカマラ・ハリス氏といった政財界のそうそうたるメンバーにならんで、100位にバービーが入選。

「女性のエンパワーメントの象徴としてだけでなく、奪われた力を取り戻す戦いの必要性の象徴としても登場した」という理由で、初めて「生きた人間ではない」存在としてリスト入りした。

おもしろいのが、リストの人物たちには年齢が併記されており、バービーは64歳。このリストに入っている大半の女性たちのように、熟年世代なのだ。

たしかにバービーは主演のマーゴット・ロビーにとっての当たり役というよりは、「バービー」自体が社会現象だったと言える。当たり役で言えば、ケン役を演じて忘れられない印象を残したライアン・ゴスリングのほうがふさわしいだろう。

経済を動かして
『タイム』誌に選ばれた
テイラー・スウィフト

そして2023年の『タイム』誌で、「Person of the Year(パーソン・オブ・ジ・イヤー)」に選ばれたのが、テイラー・スウィフトだ。

前述の『フォーブス』誌の「世界で最もパワフルな女性」リストでは、堂々の5位にランクイン。33歳と、リストの中でも一番若い。

名門ハーバード大学では、2024年春から「Taylor Swift and Her World(テイラー・スウィフトとその世界観)」を学ぶ授業が行われる。ニューヨーク大学やテキサス大学、スタンフォード大学やアリゾナ州立大学、カリフォルニア大学バークレー校でも「Artistry and Entrepreneurship: Taylor’s Version(芸術と起業家精神:テイラー・スウィフト」を学ぶ授業ができるほど、まさに社会現象となっている。

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The Eras Tour(ジ・エラズ・ツアー)』では全米で66回のショーを打ち、2023年の10月にテイラーはビリオネア入りを果たした。このツアーのチケットは全米で価格が高騰して、一時期は日本円で換算すると400万を超えるほどの金額にもなって、連邦議会でも問題視されたほどだ(東京ドーム公演は、2024年2月7、8、9、10日の四日間)。

そしてツアーをそのまま映画とした、『Taylor Swift: The Eras Tour』も大ヒット。このドキュメンタリー映画も米国内の興業成績で、1億7921万2969ドルもの額(12月18日時点で、BoxOfficeMojoより。※この数値は日々更新される)をはじきだしている。これは米国内の成績では11位だ。

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TAYLOR SWIFT | THE ERAS TOUR Concert Film Official Trailer
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なんと『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』や『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』、そして「ワイルド・スピード」シリーズ最新作『Fast X(邦題:ワイルド・スピード/ファイヤーブースト)』よりも売上が高く、それでいてアクション映画のように莫大な製作費がかかっているわけではない。

しかも配給会社を通さずに、映画館に直接売り込めるという、製作費に対する利益率がズバ抜けて高い作品なのだ。この成功をみて、「今後、コンサート映像を映画館配給するようになるアーティストは多くなるだろう」と推察できる。

そして、テイラー・スウィフトが持つ“テイラー・エフェクト”のもうひとつの側面が、政治的発言力だ。彼女は政治的発言にも積極的なアーティストであり、その声が前回の大統領選でも、若者有権者を民主党に投票させる力となった。

2024年には大統領選が控えており、若者を動かせるテイラーの影響力を、共和党陣営は警戒しているとも言われている。

女性の権利が、
50年以上も逆戻りしている
アメリカ

ことに争点となるのが、“中絶”をめぐる問題だろう。

アメリカでは、女性の中絶権利を認めた1973年の「ロー対ウェイド」判決が、2022年6月に、アメリカ最高裁判所によってくつがえされた。そのため州によって、それぞれ独自の州法によって中絶を禁止できるようになったのだ。

中絶,ny,黒部エリ,生声,ニューヨーク,テイラースウィフト,バービー,エンターテインメント,ビヨンセ,エンパワーメント,ミソジニー,女性蔑視【黒部エリのNY生声23】より
YOKO KOBAYASHI

これはキリスト教保守派にとっては、最高歳判事を任命したトランプ前大統領の功績とされている。州によっては、レイプや近親相姦による妊娠であっても、一切堕胎を禁じているところも含めて、堕胎を禁じている州は14州。さらに6〜18週間以降の堕胎を禁じている州が7つある。

日本では母体保護法によって、妊娠22週未満(約5カ月半)までは中絶が可能なことを考えると、驚くような法律だ。

女性が自分の妊娠を、自分でコントロールできないという、他の先進国からしたら、あり得ない状況であり、50年も歴史を逆戻りしていると言える。アメリカは決してフェミニズムの先進国ではなくて、むしろ保守の力が強い国でもあるのだ。 

この影響を一番こうむるのが、妊娠する世代の若い女性たちであり、その世代はもろにテイラー・スウィフトのファン層と重なる。女性票を握るテイラーの影響力がどう出るか、24年の動向が気になるところだ。

有色人種、LGBTQ、
多様を推す
ビヨンセがすごい

さて、もうひとり23年に突出したエンタテイナーとしては、ビヨンセを挙げたい。『フォーブス』誌のリストでは、35位にランクイン。

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今年行った彼女の『RENAISSANCE(ルネサンス)』ワールドツアーを観にいったのだが、セットの規模、映像のセンス、演出、ダンスチーム、ヘアメイクとファッション、どれをとってもズバ抜けたレベルだった。こちらも『RENAISSANCE: A FILM BY BEYONCÉ(ルネサンス:フィルム・バイ・ビヨンセ)』として12月に公開されたが、ビヨンセ自身が監督を勤めており、その出来がすばらしい。

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RENAISSANCE: A FILM BY BEYONCÉ | Official Trailer
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映画に出てくるダンサーたちのレベルも圧巻で、以前に取りあげた島津 藍さんも多く映っているので、ぜひご覧いただきたい。日本では12月21日(水)から上映される。

この『ルネサンス』では、ドキュメンタリーが盛りこまれ、ビヨンセの生い立ちや、娘のブルーアイビーのこと、あるいは故郷であるテキサスなど、ビハインドも語られていく。ビヨンセの「ヒーテッド」という曲には、

Uncle Jonny made my dress

(ジョニーおじさんは私のドレスをつくってくれた)

That cheap Spandex, she looks a mess

(その安いスパンデックス、ひどい恰好だった

という歌詞が出てくるのだが、このジョニーおじさんは、実在の人物で、ビヨンセとソランジュ姉妹にとても近しかった存在だったけれど、エイズで早くして亡くなったらしい。当時、ブラックでゲイというのは、かなり生きづらい立場だったろう。

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Beyoncé - HEATED (Official Lyric Video)
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デビュー当時はデスティニーズ・チャイルドとしてステージに立つのにも、デザイナーは服を貸してくれないし、衣裳を買うお金もない。そこでビヨンセの母親と、ジョニーおじさんが衣裳をつくってくれたという。コンサートの観客の中には、

「ジョニーおじさんが、あなたのことを誇りにしているよ」

と書いた応援ボードをかかげている人がいて、思わず胸が熱くなり涙が止まらなくなった。ツアー映画で感動して泣くという体験を初めてしたのだが、まわりでも「泣いた」という感想を多く聴いた。それは、「誰もが自由に生きる」世界をビヨンセが強く打ち出しているからだ。

映画の中では、さまざまな体型と人種と性自認のあふれるダンサーたち、マイナーだったストリートカルチャーの立役者たちが出てきて、多様性と自己表現のセレブレーションになっている。

このメッセージが大きな意義を持つのは、アメリカでは反動も強いからだ。

現在、共和党大統領候補としてフロリダ知事であるロン・デサンティス氏が出馬しているが、その政策は極端に保守よりだ。フロリダでは、公平(Equity)という言葉が入っている州内の学校の教科書も撤去された。それは「白人が人種差別について罪悪感や羞恥心、心理的苦痛を感じないようにするため」という。

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そのため全米黒人地位向上協会(NAACP)がフロリダ州の保守化に懸念を示していて、少数派に注意を促す渡航情報を出している。

デサンティス州知事は、LGBTQに対しても非寛容な政策を打ち出しており、実際にわたしの知人のケースでも、若い女性がノンバイナリーであるため、フロリダ旅行を取りやめた例がある。

自分の性自認によって旅行をするのが不安になるというのは、今までにないことだ。それだけに、「誰もが自由に生きる世界をめざす」「誰もが自分であるように」というテーマを掲げたビヨンセのメッセージの力強さが響くのだ。

グラミー賞ノミネートは
女性が支配的で、
エンタメ地図も塗りかえ

女性アーティストが目立った年だけあって、グラミー賞の最優秀アルバム賞とレコード賞候補も圧倒的に女性が多くて、男性アーティスト候補はジョン・バティステひとりだ。

候補の中でも女性3人によるバンド、ボーイジーニアスは6部門でノミネートされるという快挙をはたしている。女性だけのバンドなのに名前に「ボーイ」をつけたのは、音楽業界における男性優位性を揶揄して「天才男子(boygenius)」としたと言う。

メンバーのひとり、フィービー・ブリジャーズはソロのシンガーソングライターとしてもキャリアを築いてきているが、中絶した自身の体験を公表し、中絶禁止法や反LGBTQ法に怒りを表明する「モノ申す」アーティストでもある。

ラップの世界でも、今や牽引しているのがプエルトリコ人のバッド・バニーで、ラテントラップやレゲトンが潮流になってきており、エンタメの世界地図が塗り変わっている。かつての、英語ラップ一強時代ではないのがわかる。

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カントリーが王道である
アメリカで、
保守ソングが台頭

その一方、アメリカであいかわらず根強いと感じたのがカントリーで、今年爆売れしたと言えばカントリーシンガーのモーガン・ウォーレンだろう。

わたし自身、モーガンを見たときに、「え、こんなフツーの恰好で、売れるのか」と驚いたものだが、ベースボールキャップにネルシャツを着ているような、ごく平凡なスタイルの白人男性なのだ。ポスト・マローンのように、顔にタトゥを入れているといったこともない。ある意味で、ひさびさに見る、ごくふつうの男性像だと言える。

そしてもうひとつ今年の意外なヒット曲が、カントリー歌手ジェイソン・アルディーンの「Try That In A Small Town(トライ・ザット・イン・ア・スモールタウン)」だった。

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Jason Aldean - Try That In A Small Town (Official Music Video)
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ジェイソンはキャリアの長いカントリーロックシンガーなのだが、今回の曲で全米ビルボードにおいて自身初の首位を獲得。この曲が物議をかもしたのは、テーマが、おのれの町の秩序はオレが守る、という自警ソングだからだ。

歌詞の大まか内容は、暴行や乱暴がはびこっている、警官をバカにするのをカッコいいと思っているヤツらがいる、

Try that in a snall town

(だけど、この小さな町でそんなことをやってみろ)

Got a gun that may granddad gave me

(俺は祖父からもらった銃をもっている)

…と、立ち向かうという内容なのだ。いや、「それを歌にするか?」 というのが、聴いたときの正直な感想だった。

この歌は、ブラック・ライブス・マター運動に対するカウンターソングとも言われているのだが、暴動に対する怒りがあったとしても、市民が銃を取って立ちあがっては法を超えてしまう。

1969年の名作『イージーライダー』では、長髪でバイクにまたがるピーター・フォンダ扮するキャプテン・アメリカ(ワイアット)のことを南部の農夫が撃ち殺すという衝撃のラストシーンがあったが、まさにそれとあまり変わらないわけで、「一体、いつの時代の話だろう」という気持ちになる。

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Easy Rider (8/8) Movie CLIP - The End of the Road (1969) HD
Easy Rider (8/8) Movie CLIP - The End of the Road (1969) HD thumnail
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エンタメの世界を見ているだけでも、アメリカにおける文化の分断を実感するところだ。

女性デザイナーに
焦点を当てた展覧会が
メットで開催

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Anna-Marie Kellen / The Metropolitan Museum of Art
会場の入り口には、2つの支柱の上にそれぞれ、この美術館で個展が開催された女性デザイナー、マダム・グレのガウン(左)と川久保 玲のセーター&スカート(右)が飾られていた。

さて最後に、メトロポリタン美術館服飾研究所の新しい展覧会が『Women Dressing Women(ウィメン・ドレッシング・ウィメン)』という、まさにタイミングが良いものだったのでレポートしよう。

この展覧会は20世紀初頭から現在にいたるまでの女性デザイナーと、女性主導のファッションハウスにスポットを当てた展覧会で、70以上のドレスメイカーの手による80点の作品が展示されている。

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Hanifa runway presentation excerpt, May 2020
Hanifa runway presentation excerpt, May 2020 thumnail
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まず無名であるドレスメイカーとして多くの女性たちが貢献してきた時代から始まって、パリのオートクチュールで活躍した女性デザイナー、そして1960年代から女性の主体性に結びついているファッションを展示。

有名デザイナーでは、おなじみのガブリエル・シャネル、アン・ドゥムルメステール、ジャンヌ・ランバン、ミウッチャ・プラダ、エルザ・スキャパレリ、サラ・バートン、イリス・ヴァン・ヘルペン、ノーマ・カマリなどの作品が並ぶ。

さらに今展覧会では、あまり知られていないデザイナーの作品も紹介しているのが特徴で、例えば有名なフォルチュニーの「デルフォス」ガウンのデザインに貢献した、妻のアデル・アンリエット・ニグリン・フォルチュニーなどが挙げられる。

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Anna-Marie Kellen / The Metropolitan Museum of Art
コラボレーション、サステナビリティ、そしてダイバーシティなど…女性クリエイターたちの「Creative agency(創造的主体性)」と「Artistic legacy(芸術的遺産)」を強調する、車椅子のモデルにデザインされた「コリーナ・ストラーダ」のデザイナー、ヒラリー・テイモアによるアンサンブル、秋冬2021-22コレクションより。このマネキンのモデルは、車椅子の黒人トランスジェンダーモデルのアーロン・ローズ・フィリップだ。

また展示作品には、「Collina Strada(コリーナ・ストラーダ)」のデザイナー、ヒラリー・テイモワが手がけた車椅子に乗るモデルのための服も展示。そして、デンマークのジャスミン・スーが手がける「CUSTOMIETY(カスタマイエティ )」による、軟骨無形成症(低身長を示す骨系統疾患)の女性のためのゴーイングアウトドレスも展示されている。

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Anna-Marie Kellen / The Metropolitan Museum of Art
中央に配置されたのが、デンマーク発のブランド「CUSTOMIETY」のデザイナー、ジャスミン・ソーが軟骨無形成症の方々に向けデザインしたドレスだ。

ファッションの世界にも「見えない」存在があったこと、それはつくり手にも着る側にもあったことであり、そしてそれを丁寧に掬(すく)いあげるキュレーションにも意義を感じる展覧会だ。

チャンスがあれば、ぜひご覧いただきたい。

「Women Dressing Women」展ギャラリー
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◇案内

「Women Dressing Women」展

期間/〜2024年3月3日(日)
会場/
メトロポリタン美術館
住所/
1000 5th Ave, New York, NY 10028

公式サイト


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写真提供:黒部エリ

黒部エリ

Ellie Kurobe-Rozie

東京都出身。早稲田大学第一文学部卒業後、ライターとして活動開始。『Hot-Dog-Express』で「アッシー」などの流行語ブームをつくり、講談社X文庫では青山えりか名義でジュニア小説を30冊上梓。94年にNYへ移住、日本の女性誌やサイトでNY情報を発信し続ける。著書に『生にゅー! 生で伝えるニューヨーク通信』など。