【 INDEX 】

自重トレーニング=自らの肉体のウエイト(体重)を負荷にして行うトレーニングこそ、「最も優雅なエクササイズ」と言えるかもしれません。ジム通いのトレーニングマニア(上級者)から未経験者まで、自らが「したい」と思ったときに、誰でもすぐに実行できるトレーニングなのです。  

現役のプロトレーナーが記事を監修

今回の記事作成にあたり、プロトレーナーでC.S.C.S.(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)のポール・スカラー先生に効果的なトレーニングをご紹介いただきました。

instagramView full post on Instagram

自宅でできる効果的な自重トレーニング3種類

スカラー先生による、自重トレーニングとしての筋トレメニューにおけるお手本をご覧ください。身体を動かすのに十分なスペースと、各トレーニングをやり遂げる強い意志のほか、必要なものは何もありません。

【1】「レネゲードロウ」効果的なやり方

まずは、「ボディウエイト レネゲードロウ」から始めましょう。

存在しない画像
Courtesy of @paulsklarxfit

■「レネゲードロウ」― どの筋肉に効くか?

  • バック
  • 両肩
  • 腹筋
  • トライセプス(上腕三頭筋)

両足を肩幅に開き、ハイプランクのポジションを取ります。全身の緊張状態を維持することに意識を向けつつ両肩をできる広げるようにして、「片腕で腕立て伏せ(シングルプッシュアップ)」を行ないます。

片方のウエイトを身体の脇に引いて持ち上げ、反対側の手と両足でバランスを保ちます。そして、トップの位置で1秒保ちましょう。そして、ゆっくりとウエイトを最初の位置に戻し、反対側で繰り返します。

腕立て伏せを一回行うごとに上半身の重量を片腕だけで支え、もう片腕は腰に添え、そしてまた両腕で身体を支えます。それを交互の腕で行ってください。

《注意点》

肩を前かがみにしないようにしましょう。肩甲骨を引き寄せることを忘れないように。

《アドバイス》

スカラー先生の手本どおり、腰の力を抜かないようにして全身の運動を行うことが、効果を最大化するコツになります。さらなる負荷を求める上級者なら、両脚を離さずにそろえる姿勢をお試しください。

【2】下半身を強化する「スクワット」効果的なやり方

次は「スクワット」です。が、1回ごとに左右に重心を移すランジを加えます。

ランジとは、足を前後に開いた姿勢で、股関節や膝(ひざ)関節の曲げ伸ばしを行うトレーニングです
存在しない画像
Courtesy of @paulsklarxfit

ランジとランジの間に、スクワットを行う要領です。なによりもまず、しっかりとしたフォームを維持することを優先すれば、左右の順序はさほど重要ではありませんので、自分なりの方法を試したいという方にも向いています。

体幹を引き締めつつもニュートラルな姿勢を心掛け、重心を下げる際には身体を十分にコントロールすることを意識します。

存在しない画像
Courtesy of Men's Health US

そして「ジャンプスクワット」で、下半身のトレーニングを仕上げます。

【3】「プランク プッシュアップ」効果的なやり方|プランクと腕立て伏せを交互に行う

存在しない画像
Courtesy of @paulsklarxfit

自重トレーニングメニューを締めくくるのは、前腕部を使った「プランク プッシュアップ」です。 

■「プランク プッシュアップ」― どの筋肉に効くか?

  • 腹筋
  • 大臀筋大胸筋
  • 三角筋
  • トライセプス(上腕三頭筋)

両腕をそろえるようにして、なるべく地面に近い高さでプランクの姿勢をつくります。正しい姿勢を取れたら両腕を伸ばし上体を持ち上げ、上腕三頭筋を使って肘をまっすぐに伸ばします。

そこでひと呼吸しましょう。

《注意点》

また上体を下ろしますが、その際にはコントロールすることを意識しましょう。身体を下げた体勢においては、そろえた上腕と前腕とが直角になるようにしてください。

理想の筋トレ回数は?

全身を使ったトレーニングとなるよう、すべてのトレーニングを連続して行った後、1分間の休憩をはさみます。そして各トレーニングが合計5~10セットとなるよう、一連の流れで繰り返してください。

ちなみに参考までに、スカラー先生の1セット数はそれぞれ「レネガードロウ」10レップ、「スクアットとランジ」3ラウンド、「プランク プッシュアップ」10レップです。

自重トレーニングのメリットとデメリット

自重トレーニングについて考察してみましょう。まずは自分の体重で行うことによるメリットから…。

【メリット】

  1. 安価にトレーニングが開始可能
  2. いつでどこでもトレーニング可能
  3. 実戦に近い感覚でトレーニング可能

以上の3つに「可能」がそろいます。基本的に器具は必要ありません(中には、補助器具を使うと効率的なものもありますが…)。そのため、割と面倒な器具類を購入・準備するといった手間が必要ないことは、スタートするにはグッとハードルは下がることになります。

同様に、時間も場所も割と自由に選べます。会社や学校の昼休みにトレーニングすることもできます。つまり、ここで一番必要となるのは、「鍛えたい」という気持ちになるわけです。最後に、アスリートの方ならではの発想で言うと、スポーツ競技の実戦に近い感覚で筋肉を鍛えることができるということになります。これが自重トレーニングにとって最大のメリットと言えるでしょう。

実際に競技を定期的に行っていない方でも、日ごろの動作の延長上で鍛えることができるので、実生活における動きの中で必要とする筋肉同士の連動性を高めることができるのです。つまり、階段の上り下りなどの基本的な動作も楽になることが期待できるわけです。

では、デメリットは何でしょう? 簡単に言いますと、以下の2つになります。

【デメリット】

  1. モチベーションを維持しにくい
  2. 自宅にある程度のスペースが必要
  3. 負荷の調整が難しい(負荷が分散する)

1に関しては、筋トレ仲間の有無といったことになります。ジムなら、知らない人でライバル想定をして、がんばることもできるでしょう。しかし、それが自宅なら…そう、つまり孤独なわけです。

そこで、SNSに自撮りをアップしたりしてモチベーションアップをするのが最善の策かもしれません。ですが、中にはすぐにそれも面倒となる方もいることでしょう。結果的に、孤独な戦いになります。要は、これも勉強と同じかもしれません。これを機に、一人でコツコツ積み重ねる根気を身につける機会にするようにしましょう。

2に関しては、いつもより自分の時間があることでしょう。その時間を有効につかって、部屋の模様替えと整理整頓をして、ひとまず、腕立て伏せができるスペースをつくってください。それだけのスペースがあれば、今回ご紹介する自重トレはすべて実施できるでしょう。とは言え、自宅に庭や駐車場があるなら問題ありません。また、近くに公園などのパブリックスペースがあるなら、そちらを有効活用すればいいのです。

3に関しても、すぐにイメージできることかと思います。ウエイトトレーニングの場合、重さを変えれば負荷の調整は簡単です。例えば自分の筋肥大に合わせ、10回を限界となる負荷を日ごろのメニューのマックスとするなら、それを目標として徐々に調整してメニューがつくれます。ですが、自重トレーニングの場合に最適な負荷に調整することは少々難しくなります。例えば腕立て伏せですが、1セットの目標を100回としましょう。

そこで簡単に100回できる人にとっては物足りず、逆に100回もできない人にとってはこの負荷は大きすぎると言えます。そして、ありがちな間違いと言えるのですが、100回が簡単だからと言って連続で200回と回数を増やしても、使う筋肉は肥大が期待できる速筋繊維よりも遅筋繊維へと負荷がかかる割合が増えることとなり、筋肥大が期待できなくなるわけです。

筋肥大を目的とする筋トレにおいては、回数ではなく負荷の強度を上げることが重要となるわけです。例えば腕立て伏せなら無反動に徹し、一回一回本気で身体を押し上げるよう努めれば、仮にマッスルアップができなくても限界を感じことができるでしょう。逆に負荷が大きすぎる場合には、上げられる回数上げられるところまで上げるカタチで、100回頑張るといった感じで限界までチャンレンジしてください。

いずれにしても、目標の数だけ継続して行えるようにできたのち、その回数を増やしたり、お子さんに背中に乗ってもらったりして、さらに負荷を上げるようにすればいいでしょう。

このように自重トレーニングは工夫さえすれば、いくらでも強度が上げられるとも言えるのです。それでは、そんな楽しさもメリットにしながら、以下の種目を根気強く取り組んでください。

まとめ

トレーナのレップ数を参考にしつつ、個人の能力に応じた回数を意識して、十分にハードに感じられるだけのトレーニングとなればOKです。常に正しい姿勢を保つことに集中すれば、経験豊富な人にとってもじゅうぶんな燃焼を感じられるトレーニングとなるでしょう。

Source / Men's Health US
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。

◇PROFILE
トレーナー / ポール・スカラー(Paul Sklar)

ニューヨークの「プリスクリプティヴ フィットネス」というジムのオーナーで、現役のプロトレーナー。元「デュアスロン(複合競技の一種で、ランニング、自転車ロードレース、ランニングを順に行い順位を競うスポーツ)」のプロ選手。インスタグラムでは69万のフォロアーをもち、SNSでも日々トレーニング方法を配信。