想像してみてください。寝つきが悪く、ようやく眠れたと思ったら朝6時にアラームが鳴り出します。そう、今日はジムで朝トレの日でした。スヌーズ機能で何度目かのアラームで思います。

そこで再び悩むのです。 「もしかすると、眠りに戻って睡眠時間を十分にとったほうが健康にいいのではないか?」と。ですが数分後、その時点での体調次第で「運動することのほうが身体にいいはずだ」と意を決して、ジムへ向かった経験はありませんか? ですが、そのいずれかを突き詰めて調査したことはないでしょう。

そこで今回は、 「本当に必要なのは睡眠なのか?」「それとも運動なのか?」 を、科学的な文献から調査してみました。

◇数字で見る

・12%…睡眠

イタリアのフェデリコ2世・ナポリ大学医学部とイングランドのウェスト・ミッドランズ州コヴェントリーにあるウォーリック大学が実施した研究調査によれば、「毎晩6時間未満しか眠らない人は、推奨されている人よりも12%早く死亡する可能性がある」との結果が報告されています。 

・40%…運動

一方、医学誌『BMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)』は、「週に150分の有酸素運動と2回の筋トレを行っている人は、全死因死亡率が40%低下している」との研究結果を発表しています。

◇相互のメリット(睡眠と運動の関係・相乗効果)

  • 睡眠を優先するメリット

米国睡眠医学会(American Academy of Sleep Medicine)による、「1日の睡眠時間を6時間半から10時間に増やすと、短距離走のタイムが速くなるなど、運動能力が向上する」という研究結果が、科学に関するプレスリリースを集約して公開するサイト「ScienceDaily」で、2008年6月に発表されています。

  • 運動を優先するメリット

快適な眠りをサポートする情報を提供している非営利団体「スリープ・ファウンデーション(Sleep Foundation)」が運営するサイトには、「定期的な運動は、睡眠の持続時間と質を改善させる」と説明。エンドルフィンが急増しないように、就寝の少なくとも2時間前には運動を終えるようにすべきとしています。

◇浅い眠りの人は?

  • 睡眠を優先すべき?

栄養学と臨床栄養学の専門『アメリカ臨床栄養学会誌(American Journal Of Clinical Nutrition)』では、「睡眠不足の人は、8時間睡眠をしている人と比べて、深夜に炭水化物の多いスナック菓子に手を出しやすくなる」という研究結果を報告しています。

  • 運動を優先すべき?

肥満を医学的に研究している専門ジャーナル『国際肥満ジャーナル(The International Journal Of Obesity)』の研究によると、「正午前に運動する人は、午後3時以降に運動する人よりも体重が減る可能性が高い」と報告しています。

◇コスト(代価)

  • 睡眠を優先すべき?

アメリカのシンクタンク「ランド研究所(RAND CORPORATION)」が運営するウェブサイトで、2016年11月に「睡眠不足は、英国経済に年間最大400億ポンド(およそ6兆2207億円)のコストを負担させる」という調査した結果による推定額を発表。直近であればテレワークなどを有効活用して、ランチタイムに積極的仮眠(power nap=パワーナップ)をすることで認知機能を改善する可能性が高まると言えるでしょう。

  • 運動を優先すべき?

イギリスの国営医療サービス事業である『国民保健サービス(NHS)』は、「運動不足がNHSへもたらすコスト」を試算しています。毎食後、10分間のウォーキングを行うことを皆さん目指しましょう。血糖値のバランスを整えるのに役立ちます。

◇活力を得る観点から考察

  • 睡眠を優先すべき?

ある研究によると「1時間の睡眠負債を取り返すには、4晩かかる」と言われています。これは驚きです。アミノ酸の一種である「クレアチン」は、睡眠不足の人の脳のエネルギーを回復させることが報告されているので、そんな場合は活用するといいでしょう。

  • 運動を優先すべき?

カナダのウェスタン・オンタリオ大学(The University of Western Ontario)研究によると、「早歩きなどの中程度の強度の活動を20分行うと、コーヒー1杯と同じように認知力が高まる」という研究結果が「MedicalNewToday」に公開されています。

◇評決

「睡眠」は効果的な運動をもたらし、そして「運動」は良質な睡眠をもたらすというように、この2つは密接に関係していることを察していただいたでしょうか。

どちらかと言えば…運動よりも「睡眠」を優先したほうが良さそうです

しかしながら、早朝のトレーニングで疲れ果ててから仕事に向かってしまうと、精神的なエネルギーと免疫の健康が損なわれてしまいます。睡眠時間が6時間半に満たない日には、しっかりと眠り、翌日にトレーニングを行いましょう。

Source / Men’s Health UK
Translation / Kazuhiro Uchida
※この翻訳は抄訳です。