将来的に米国で起こり得るシナリオを少しでも予見したいというなら、ロシアを見るべきです。指導者個人が崇拝されるような権威主義的国家の共通点と言えば、指導者が自らの力強さや男らしさを公の場で示す必要に駆られることだからです。彼らは「自分は指導者にふさわしい男だと国民の不安を和らげる必要がある」と考えるのです。たとえば、中国の元思想家であった毛沢東氏の水泳による長江横断、あるいは北朝鮮の元総書記であった金正日氏が初めて出たゴルフラウンドでのエピソード(念のために言うと、金氏は5回のホールインワンを含めて38アンダーの「34」というスコアを出したと伝えられています)を思い浮かべてください。 

 
 ゴルフの話で言えば、米国のドナルド・トランプ米大統領も(彼の言葉を信じるなら)20度のクラブチャンピオンに輝いたことがあるといいます。スポーツ記者のリック・ライリー氏によれば、この優勝のうち1度はキャディに指示してズルをし、池ポチャした自らのボールと11歳の子どもが打ったボールを逆と主張させたといいます。大統領はその後、パットを決めてチャンピオンになりました。 
 
 いずれにしても、米国が現在のお気楽な道をこのまま進んで何が起こるかを知りたければ、ロシアのウラジミール・プーチン露大統領に目を向けるべきです。この大統領はあらゆるものを持った真の独裁者です。政敵や批判的なジャーナリストはときに死に追いやられますし彼が巧みな泥棒政治で築き上げた財産は世界一とも噂されます。また、彼は非常に抜きん出たアイスホッケープレイヤーでもあります(あるいは、少なくともそのように見えます)。毎年、プーチン大統領は旧友や元プロの選手たちとエキシビジョン・マッチを行い、この偉大な男はいつもMVPになります。「ザ・ガーディアン」紙は2018年、プーチン大統領がチームの12ゴールのうち5ゴールしか決められなかったとき、「スランプ」と表現したほどです。以下がそのときの動画です。

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 いかにも「興奮」した様子の観客たちをご覧ください。また、相手チームはなんと守備的なプレーなのでしょうか。彼らはプーチンに打たせるために突っ立っているだけのようでした。とはいえ、これらの選手たちの立場で考えてみてください。たとえば、足を滑らせてプーチン大統領にぶつかり、前十字靱帯の怪我でもさせてしまった日には、彼らにとっては間違いなくホッケー人生最後の日になることでしょう。 
 
 ちなみに、2019年にはさらなる活躍を見せました。プーチン大統領は8つのゴールを決め、例年通り素晴らしい時間を過ごしていたようです。以下の動画の瞬間までは...。

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 これには国民もがっかりでしょう。偉大なリーダーのかっこ悪い姿ほど見たくないものはありませんから。プーチン大統領は近々、上半身裸で馬に乗るパフォーマンスでもすべきかもしれません。あるいは、スキューバダイビング中に奇跡的に古代ギリシャの壺を見つける方がいいでしょうか。こうして威厳が回復できるというものです。 
 
 とはいえ、今回のニュースは米国を待ち受ける未来を垣間見せてくれるものです。なぜなら、2024年夏のある日曜日には、家族でテレビの前に集まり、トランプ大統領がパートナーのタイガー・ウッズとPGAプロアマトーナメントで大活躍する様子を目にすることになるかもしれませんから。NBCは大統領が間抜けなミスをするたびにコマーシャルを入れ、CM明けにはトランプ大統領が何食わぬ顔でフェアウェイのど真ん中で次のショットを待っていることでしょう。 

 

 

From Esquire US 
Translation / Wataru Nakamura 
※この翻訳は抄訳です。