2020年5月25日（月）、ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイドさんが警官に殺害された事件を受け、アメリカ各州で反人種殺別運動が大々的に行われました。あの事件からおよそ1年が経とうとしています。
しかし2021年4月11日（日）、同州ブルックリンセンターで、1歳の娘を持つダンテ・ライトさん（20歳）が、恋人の女性とクルマで走行中に交通違反の疑いで停車を求められ、その後、警官に撃たれて死亡する事件が再び起こったのです。
地元警察のティム・ギャノン署長は翌日に開いた記者会見で、ライトさんに向かって発砲したキム・ポッター警官（26歳）は、テーザー銃（電極を撃ち出す銃型スタンガン）を使うつもりが「誤って」銃を撃ったと説明。ポッター警官を「休職」扱いとしたことを明らかにしました。
公開された警官のボディカメラの映像には、警官の1人ともみ合いになったライトさんがクルマへと逃げ戻り、発砲を受け、そしてクルマが発進する様子が収められています。ライトさんはその後、数ブロック先で別のクルマに衝突。その場で死亡が確認されました。
ミネアポリス州の検死官は同日、報告書を公表。ライトさんは「殺害された」と判断していることを明らかにしました。死因は「胸部を銃で撃たれたこと」と書かれていました。
ブルックリンセンター市の警察が記者会見を開いた後も、警官が再び同じ過ちを犯したこと、つまり、別の黒人男性を殺害したことに対する市民の怒りは、収まる様子を見せていません。
ミネソタ州では今も、2020年殺害されたフロイドさんの死をきっかけとする反人種差別運動が続いています。フロイドさんの首をおよそ8分にわたってひざで押さえつけ、死亡させた元警官のデレク・ショーヴィン被告の公判も、まだ続行中という状況なのに…です。
ミネソタ州では同日から2夜続けて、正義を求める人々の抗議デモが行われました。事件が起きたブルックリンセンター市では翌12日、夜間外出禁止令が出されていましたが、それでも多くの人たちが集まり、抗議の声を上げていました。また、シアトルやNY、LAなどの都市でも抗議活動が行われ、夜通しで祈りが捧げられています。
ライトさんの死を受け、ジョー・バイデン大統領やカマラ・ハリス副大統領をはじめとする政治家に加え、ビヨンセやマイケル・B・ジョーダン、キム・カーダシアンなど数多くのセレブも、それぞれのSNSを通じて抗議の声を発表。
警官が黒人を殺害する事件が再び発生したことへの怒りをあらわにし、「警察や法制度、政治にはびこる制度的な人種差別が、ライトさんやフロイドさんをはじめ数多くの犠牲者たちの死を招いたのだ」と批判しています。
以下に、この事件でツイッターやインスタグラムに投稿した、セレブたちのそれぞれのコメントの一部をご紹介します。
ビヨンセ
「ライトさん、安らかにお眠りください」
マイケル・B・ジョーダン
マイケルは俳優・プロデューサーのヴィオラ・デイヴィスの投稿をシェアし、「黒人の命をないがしろにするな」と訴えました。
ケリー・ワシントン
「ダンテ・ライトさんは命を奪われるべきではなかった」
ジェイミー・フォックス
「ダンテさんのご家族、そしてこの小さな子に、神様の恵みがありますように」
レジーナ・キング
「こうした事件に慣れてしまうことは、決してない」
ジョー・バイデン大統領
「私たちがこれからすべきことは、わかっています。信頼を回復し、誰もが法の上に立つことのないよう説明責任を果たすことです」
カマラ・ハリス副大統領
「祈るだけでは足りません」「ダンテさんのご家族は答えを知るべきです」
ブラック・ライブズ・マター
「警察のテロ行為と白人至上主義は、偶然のものではない」
キム・カーダシアン
「ダンテ・ライトさんのための正義を」
全米黒人地位向上協会（NAACP）
「必要なのは、ハッシュタグなどではない」「思いやりのない法の執行に対して、願いや祈りを捧げることにはもううんざり」
バーニス・キング （キング牧師の娘）
「ダンテさんのお母さんが二度と息子さんに会えないこと、彼の名前がハッシュタグになってしまったことが、悲しい」
イルハン・オマル下院議員
「私たちはうんざりして、そして悲しみに打ちひしがれている」
メイム・ビアリク
「警察のテロ行為と白人至上主義は、偶然のものではない」
コモン
「われわれは快適に過ごせない」
トレバー・ノア
「警察は、自分たちの行動を録画していても気にしない。逃げ切れると思っているから。それが変わらない限り、彼らはずっと気にしないまま」
ナンシー・ペロシ下院議長
「不当な行為のエピデミックは止めなくてはならない」
Source / ELLE UK
※この翻訳は抄訳です。
