2020年5月25日(月)、ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイドさんが警官に殺害される事件が起きました。これがきっかけとなり、反人種差別運動「ブラック・ライブズ・マター(BLM)」が再燃し、世界的に広がりました。あの事件から、およそ1年が経とうとしています。

 そしてこのたび、フロイドさんを地面に押さえつけ、膝で首を圧迫して死亡させたとして起訴されていた元警官のデレク・ショービン被告に対し、12人の陪審員たちは事件が起きたミネソタ州ミネアポリスで3週間にわたって検討し、結審した後に隔離された状態で2日間評議を続けました。その結果、ショービン被告に対し起訴されていた殺人罪、過失致死罪など、3つの罪すべてについて「有罪」であるとの評決に至りました。無罪を主張していた被告は(逮捕後に保釈されていたものの)、すぐに再び勾留されました。

 有罪の判断が示されたことが知らされると、裁判所前に集まっていた方たちの間からは、歓声が沸き起こりました。

 フロイドさんの事件によって多くの米国人が、人種差別がいまだこの国に広くはびこっているかを再認識できたのではないでしょうか。そのためこの裁判は、米国にとって重要な意味を持つものとなっていたのです。

 フロイドさん(当時46歳)の逮捕時に撮影されたビデオの映像が広く拡散されたことで、BLMの抗議デモは規模が拡大。アメリカ史上最大の抗議活動になったとの見方もあります。

protests against police brutality over death of george floyd continue in nyc
Spencer Platt//Getty Images
フロイドさんの死をきっかけに、反人種差別を訴える抗議デモが全米各地で行われました。

 ショービン被告の裁判では、事件が起きた現場に居合わせた人や警察関係者、医療関係者など45人(検察側38人、弁護側7人)が証人として出廷。その中には、武力行使の専門家やミネアポリス警察署長、現場に駆けつけた救急隊員などが含まれています。

 証人たちが陪審員の質問に答えたほか、法廷では証拠として、何時間分ものビデオ映像が再生されたとのこと。

 『ロイター』は、「逮捕時に撮影された映像に写っていたのは、手錠をかけられたフロイドさんが、食料品店の前の地面に倒され、9分以上にわって膝で首を押さえつけられている様子。フロイドさんはこの店で、偽の20ドル札でタバコを購入したとされている」と報じています。

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

 またジョー・バイデン大統領は、評決が下される前日、電話でフロイドさんの遺族と話した後『CNN』の記者に対し、こう語っています。 「裁判は19日に結審し、陪審が現在、評議を行っている。陪審は評議中、外界からの情報が遮断される。」と、バイデン氏は、陪審の評議入り前であれば自身の見解公表は控えていただろうと強調した上で、異例の踏み込んだコメントを出しています。

 「遺族は素晴らしい家族です。評決の内容にかかわらず、平和と平穏が保たれることを求めているのです。私は、正しい評決が下されることを祈っています」「私の見解では、(示された証拠は)圧倒的なものです。現在、陪審員が隔離され、私の発言を聞くことができない状態です。そうでなければ、(判断に影響を及ぼす可能性があるため)このような発言はしませんが…」

Source / TOWN&COUNTRY
※この翻訳は抄訳です。

From: ELLE JP