2代目:NBロードスター
[1999年~2005年]

 初代「NAロードスター」の登場から10年後。車体の軽さを維持したまま、よりパワーを増して登場したのが、2代目となる「NBロードスター」です。

 初代に採用された愛らしいリトラクタブルなヘッドライトがなくなったことは非常に残念ですが、よりシャープな運転性能を実現した「NBロードスター」は、安価でありながらさらに魅力にあふれた1台へと仕上がりました。

 「NBロードスター」は、「ロードスター」自体の魅力的なコンセプトはそのまま。ですが、1.8リッターのエンジンは140馬力にまでパワーアップされ、インテリアも大幅にグレードアップ。シャシーもより強靭なものとなりました。後年には特別仕様車も登場し、マイナーチェンジにおいては6速マニュアルも採用されています。

異色の存在だった
マツダスピード・ロードスター

マツダ「ロードスター」の歴史を振り返る【nb/1999年~2005年】
MAZDA

 2004年~2005年にかけて全米で販売された、「マツダスピード・ロードスター」については特筆しておく必要があります(編集注:マツダスピード(MAZDA SPEED)はかつて存在した、マツダのチューニングパーツやアクセサリーなどを開発しているスポーツブランド。その名を冠した「ロードスター」となります。日本国内での「マツダスピード・ロードスター」の発売は、2001年5月に限定200台で展開されました)。

 このモデルは178馬力と、とりたててパワフルとは言えないかもしれません。しかし、アメリカで販売された「ロードスター」としては初の、そして唯一となる、工場出荷時にターボチャージャーを標準搭載したモデルであり、トータルな仕上がりとして価値の高さを誇っています。17インチのレーシングホイールや標準の6速マニュアルなど、あらゆる点においてその魅力を余すことなく高めたのが、この「マツダスピード・ロードスター」というわけです。

マツダ「ロードスター」の歴史を振り返る【nb/1999年~2005年】
MAZDA

 「『マツダスピード・ロードスター』のボールベアリング・ターボをフル回転させれば、7.25psi(ポンド平方インチ)のブーストが出現。楕円形のノーズ・インテークに納められたエアトゥエア・インタークーラーが威力を発揮すれば、6000rpmで178馬力、4,500rpmで約225Nmのトルクが現われます。3500rpmあたりでブーストを体感でき、標準仕様の「ロードスター」よりも500回転低いとは言え、6500rpmのレッドゾーンまで力強い伸びを実感することになるでしょう」と、カーメディア「Road&Track」のダグラス・スコット氏はレビューを寄せています。

 そんな「マツダスピード・ロードスター」ですが、2004年から2005年にかけて生産された台数はわずか5400台に過ぎません。希少性が高いだけに、価格もそれ相応のハイプライスとなっています。アメリカ中古車市場においては、走行距離の少ない「NAロードスター」の次にコレクション価値の高い「ロードスター」と言えるでしょう。

マツダ「ロードスター」の歴史を振り返る【nb/1999年~2005年】
MAZDA
錆びにはご注意を

 「NAロードスター」同様、錆びやすいのが「NBロードスター」の数少ない欠点の1つと言えます。海に近い土地など、塩気の強い場所では錆びついてしまう危険性もあるので、入念なケアで労(いた)わってあげてください。

記念すべき75万台目は
「真紅のロードスター」

 製造50万台目と75万台目の「ロードスター」が誕生したのは、この「NB」の時代です。前者は日本チームの手によるベージュを基調とした充実オプションの1台。後者はアメリカチームの手によって製造された真紅の「ロードスター」でした。

豪州でも特別モデルが誕生

 そして、史上最強の「NBロードスター」とも言われるモデルがオーストラリアに登場しています。それが2002年モデルとして発売された、「MX-5 SP」。200馬力を誇るターボ仕様の「NB」です。100台の限定販売で、プロ仕様のチューニングが施されていました。

NBロードスターの歴史

マツダ「ロードスター」の歴史を振り返る【nb/1999年~2005年】
MAZDA

▼1998年

 ヨーロッパ圏においてはこの年、初代である「NAロードスター」の販売が終了すると同時に「NB」の販売が開始されました。つまり、1998年モデルには「NA」と「NB」がそれぞれ存在しています。北米では1998年モデルの「NA」は1台も販売されていません。

▼2000年

 「ロードスター」誕生10周年を記念した特別仕様車は高級感ある装飾が特徴ですが、それよりも重要なのは6速マニュアルトランスミッションが搭載されていることです。その後、「NB」の進化にともない6速仕様のオプションが一般化されていきました。

マツダ「ロードスター」の歴史を振り返る【nb/1999年~2005年】
MAZDA
マツダ「ロードスター」の歴史を振り返る【nb/1999年~2005年】
MAZDA

▼2003年

 この年、大きな話題を集めた「MX-5(ロードスター)」がアメリカに登場しました。それが「ミアータ・クラブスポーツ(Miata Club Sport)」です。SCCA(Sports Car Club of America:アメリカ合衆国の自動車レース統括組織)の要請により、50台のみの限定生産によるモデルです。販売店での値上げは許されず、一律1万9995ドル(約217万円)で販売されることに。カーステレオもエアコンも、パワステも装備されていません。

▼2004年

 「マツダスピード・ロードスター」がアメリカ市場に登場。2004年に4000台が生産されました。ところが工場火災が発生した影響で、2005年には1428台の生産台数に留まりました。

 次回は連載3回目。2006年~2015年までに活躍した3代目、「NCロードスター」をご紹介します。

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※マツダ「ロードスター」は、日本では発売当時「ユーノス・ロードスター」の名称で、北米ではマツダ「MX-5 ミアータ」(Mazda MX-5 Miata)の名称で販売されています。このページでは「ロードスター」の表記で統一しますが、文中に登場する日本国外のエディション名などを表す際は「MX-5 ミアータ」で表記しています。

Source / Road &Track
Translate / Kazuki Kimura
この翻訳は抄訳です。