世界有数の人気を誇るイギリスの高級車ブランドと言えば、ベントレーもそのひとつ。「コンチネンタルGT(Continental GT)」「フライングスパー(Flying Spur)」、そして「ベンテイガ(Bentayga)」の3 車種の設計から研究開発、エンジニアリング、製造までを一貫して本社で管理しています。

 そのベントレーが、初代「ベンテイガ」を発売したのは2015年11月のこと。開発費に8億4000万ポンド(約1130億円)が投資され、そのスピードやパワー、圧倒的な高級感によって世界最高峰のラグジュアリーSUVとしての地位を確固たるものとしました。職人の手によってこれまでに2万台以上が生産され、完成度だけでなく販売面においても大きな成功を収めています。

ベントレー ベンティガ
Bentley

 そして2020年6月30日、その先代モデルをさらに改良し、究極のパワーと圧倒的なラグジュアリーさとユーザビリティを提供する、新型「ベンテイガ」の詳細がイギリス中西部の都市クルーにあるベントレー本社にて発表されました。

 エクステリアは、ベントレーのデザインDNAを継承しながら誕生した新デザインを誇ります。最新の車載テクノロジーを搭載し、キャビンの快適性がさらに向上するなど、外見も中身も大幅な進化を遂げています。

 もちろん、設計からエンジニアリング、そして職人の手による製作まで、その全てが英国クルーにあるベントレー本社にて行われています。高性能グランドツアラー、ラグジュアリーリムジン、広々としたファミリーカー、そしてオフロード車といった性能を全て持ち合わせ、先代モデルの特長も継承しています。

さらなる磨きがかかった
新型「ベンテイガ」の魅力

ベントレー「ベンティガ」
Bentley

 まず注目すべきは、驚くほどにダイナミックなルックスにあります。第3世代の「コンチネンタルGT」と新型「フライングスパー」にも導入された、ベントレーの新しいデザインコンセプトからインスピレーションを得たデザインは圧巻。大胆なスタイリングによって堂々とした存在感を生み出しつつも、フロント部分の全パネルの設計を見直すことによって、すっきりとモダンな外観に仕上げられています。

 大型化されたマトリクスグリルはより垂直にそそり立ち、インテリジェントな新設計LEDマトリクスヘッドライトには、クリスタルカットガラスをイメージした独自デザインが採用されています。アグレッシブな印象のフロントバンパーからは、このクルマの驚異的なパフォーマンスが伝わってくるかのよう…。フロントガラスに初導入となったウェットアームワイパーは、各ワイパーアームに22個ものウォッシャージェットを内蔵しています。

 リアデザインも全面的に見直しが施され、車幅いっぱいに延びたテールゲートに溶け込むように新設計のリアライトを配置しています。ライセンスプレートはバンパーへと移動され、すっきりとした印象に。また、分割型のワイドなテールパイプは、このクルマの強力なパワーを主張しています。

 リアトレッドを20mm拡張したことによってダイナミックさが強調され、ホイールアーチ内のホイール位置も変更され、このクルマの佇まいが向上しています。ちなみにホイールも、「ベンテイガ」専用の新デザインとなります。

ベントレー「ベンティガ」
Bentley

 新型「ベンテイガ」では、もともと定評のあったインテリアにも一層磨きがかかっています。主にセンターフェイシア、ステアリングホイール、ドアトリムなどが新設計となり、シートも一新されています。5シート(オプション)の場合、リアシートにもベンチレーターが付属。シートの設定によって異なりますが、リアキャビンの足回りスペースが最大で100mm広くなったことで、ゆったりとくつろぐことができるでしょう。

 次世代インフォテインメントシステムは、ベントレーの翼をイメージしてハンドクラフトされたダッシュボードにシームレスに組み込まれ、10.9インチディスプレイが搭載されています。このデジタルディスプレイは完全なる新設計な上に、超高解像度を誇ります。しかもドライバーの好みに合わせて設定の変更も可能です。

 リアシートには、新型「フライングスパー」に導入されたものと同様の、便利なタブレット(タッチスクリーンリモート)が配置されています。コネクティビティも大幅に改善され、USBタイプCポートとワイヤレススマートフォンチャージャーが標準設定。

 まずはスーパーカーのパフォーマンスと、日々の使い勝手の良さをバランス良く兼ね備えたV8モデルが2020年8月6日に発表される予定です。それに続き、プラグインハイブリッドとW12エンジン搭載のスピードモデルの発表を2020年内に予定されています。

ベントレー ベンティガ

 ベントレーモーターズのエイドリアン・ホールマーク会長兼CEOは、新型「ベンテイガ」について次のように話します。

 「約5年前に発売した初代モデルは、ラグジュアリーSUVの先駆けとなりました。『コンチネンタルGT』がそうであったように、初代『ベンテイガ』もまた、全く新しいセグメントを創出したのです。当社がセグメントのベンチマークを確立して以来、競合他社の進出が相次ぎましたが、ベンテイガほどの万能性を誇るクルマは他にはありません。当社は新型『ベンテイガ』によって、ラグジュアリーSUVセグメントの頂点を引き上げ、ライバルのさらなる引き離しを目指します。私たちはお客様の声に耳を傾け、お客様が最も大切だとお考えのポイントに対し、改善を重ねて参りました。新型『ベンテイガ』は、先代モデルの性能と魅力をモダンかつ美しく進化させた結晶です」


偉大なる初代「ベンテイガ」のDNA

ベントレー「ベンティガ」
Bentley

 今回発表された新型「ベンテイガ」を語る上で欠かすことのできない初代「ベンテイガ」は、自動車史上例のない幅広い性能を目指して設計されました。ベントレーが誇るクラフツマンシップやラグジュアリー、クオリティの高さを受け継ぎながらも、スーパーカーのパフォーマンスとリムジンの乗り心地を両立することが求められたのです。 

 そればかりか半自動走行を可能とし、パワートレインには複数のバージョンをそろえ、最高のプレミアムSUVに匹敵するオフロード性能を発揮することも初代モデルの至上命題でした。

 そうして完成した「ベンテイガ」は、ガソリン、ディーゼル、ハイブリッドのどのエンジンにおいてもクラストップのパフォーマンスを誇ると共に、いくつもの国際的な賞を受賞。2019年には、ベントレーの世界販売台数の45%を「ベンテイガ」が占め、ベントレーの中で最も人気の高いモデルとなっています。

 そして、このクルマの素晴らしさは、販売実績だけではありません。これまでに、地球上のあらゆる地形を走破しています。デンマークのビーチでカイトサーファーとスピードを競い、チリとボリビアにかけて広がる不毛な砂漠を横断し、アイスランドを駆け抜け、中東では砂丘を疾走しました。

 そして、米国コロラド州パイクスピークで開催されるヒルクライムレースのパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムレースでは、量産型SUVにおける新記録を樹立。スペシャルエディションについても、フライフィッシング やフィールドスポーツに特化したモデルの他、鷹狩りの道具を備えたものまで発売されました。現在もなお、「ベンテイガ スピード」は最高速度305km/hを発揮する世界最速SUVです。

 こうした偉業を成し遂げ、今もラグジュアリーSUV分野をリードする「ベンテイガ」。2020年の高級SUV市場は、エクステリアの存在感やリアシートパッケージなどを一新した新型「ベンテイガ」が、再び新風を巻き起こしそうな予感に包まれています。

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