世の中にはいろいろなクルマがあります。ちょっとスーパーまで出かけるのに便利なクルマもあれば、大陸を横断する壮大なロードトリップにぴったりなクルマもあります。
 
 後者のカテゴリーにおいて、ベントレーの新型「コンチネンタル GT」は2018年に発表されたクルマの中でも最も印象的な1台でした。

 前モデルからあらゆる点で大きく進化したこのクルマは、設備の整ったキャビンに信頼性の高いドライブ体験を秘めており、「いつかはその座席に腰を落ち着けてリタイアしたい」と思わせるような1台です。総合的に言って、「コンチネンタル GT」は欠点を見つけるのが不可能なほどのグランドツアラーなのです。 
 
 ただし当然ながら、通常のクルマにはルーフというものがあります。ですので5月に絶景となる、アルプスを運転していてもこのルーフに視野が制限されるわけです。「いっそのこと、その場でノコギリで切り落としたい…」と思った方も少なくないでしょう。「絶景に包まれながら、髪を風になびかせながら愉快にドライブしたい」と思った人はたくさんいるはずです。

 そんなわけで多くの人にとってコンバーチブルは、自由度や柔軟性から独自の運転体験をもたらしてくれるものなのです。

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 そんなストレスを可能な限り排除しようと誕生したクルマが、このベントレー「コンチネンタル GTC」であり、Cは「Convertible(コンバーチブル)」を意味しています。

 今春にリリースが予定されているこのモデルですが、「エスクァイア UK」編集部はマラガ・セビージャ間の日当りのいい丘で行われた試乗セッションに参加し、早速その乗り心地を体験してきました。 
 
 まず、あるクルマのコンバーチブル版を開発する方法については、単純に「クーペからルーフを取り除けばいい」と考えてしまいがちではないでしょうか。

 しかし実際の開発では、これよりも少し複雑です。クーペもコンバーチブルも一貫性を確保し、デザイン上の特徴がはっきりとわかるように比較しながら設計する必要があるためです。 
 
 この2つのモデルのデザインは、英クルーのデザインチーム5〜6年間の大変な苦労の末に完成させたものです。2019年に100周年を迎えるベントレーは、あらゆる些細なディテールにこだわって徹底的に試行錯誤を繰り返したきたのです。 
 
 「われわれは洗練や性能、精密さという点で最高でなければなりません」と語るのは、「コンチネンタル GTC」の製品ラインディレクターを務めたピーター・ゲスト氏。 
 
 「ベントレーとして、単にあるクラスで競争力のあるモデルを出すわけにはいきません。クラスを定義するようなクルマでなければならないんです」と、ゲスト氏は話しました。とは言え、実際にそのようなモデルを開発することが容易なはずはありません。 
 
 このクルマはルーフ(ツイード仕上げのほか、7種類のカラーから選択できます)を上げた状態では、コンバーチブルに乗っているとは到底思えません。Zフォールド型のデザインは極めて遮音性が高く(前モデルのクーペと同程度に静か)、アルミスーパーフォーミング技術で成形されたアルミパネルや力強いボディスタイリングには、デザインディレクターのステファン・ジーラフ氏の手腕が存分に発揮されています。 
 
 そしてルーフを下ろせば(19秒で開閉します)、このクルマはその存在感を保ちながらも、まったく異なる姿を見せてくれるのです。ジーラフ氏は、全体のバランスの重要性ばかりを強調したがっていましたが、実際にこの金属に包まれたクルマを見れば、それも笑顔で納得できるわけです。

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 インテリアについても、その仕上げと快適さは異次元のレベルです。ウッドとレザー、クロームを用いたこのプライベート空間を味わってみてください。ここでの時間を重ねれば重ねるほど、ディテールへのこだわりに対しさらなる驚きを感じることでしょう。 
 
 例えば20通りで調整可能なシートやネックウォーマー、ドアパネルのダイヤモンド・ローレット加工はその一例です。また、ローテーション式ディスプレイはタッチスクリーンとアナログメーター、基本のウッドパネルの3面を切り替えられます。バックカメラさえ非常にできがよく、「自宅のテレビと交換したい」と思わせるほどです。 
 
 長距離ツーリングに必要な快適性やスタイルが確認できたところで、後は実際の運転面です。パワーを送り込むのは6.0リッターのW12 TSiエンジンで、エアーサスペンションとコンピューター制御の優れたロールコントロールシステムとの組み合わせにより、ロードトリップの気楽さや心地よさにおいては他の追随を許さないレベルと言えるのです。 
 
 もちろん世界は常に変化していますから、V12エンジンを搭載しながらこのレベルの快適性をもたらすようなクルマが「将来出てこないだろう」とも言いきれません。とは言え、ベントレーがこのクルマをあらゆる面で最高のものとするために力を尽くしたことは一目瞭然です。 
 
 長距離のドライブに適した「コンチネンタルGT コンバーチブル」は、皆さんの男旅をこれまで以上に楽しませてくれることでしょう。 

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Continental GTC: Epitomising the Spirit of Grand Touring
Continental GTC: Epitomising the Spirit of Grand Touring thumnail
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◇詳細  
ベントレー
「コンチネンタルGT コンバーチブル」

販売価格2831万7600円(税込) 
 

 

 
 
 From Esquire UK 
Translation / Wataru Nakamura 
※この翻訳は抄訳です