19歳にして芸歴18年という経歴を持つ俳優、畑 芽育(はた めい)さん。1つの仕事に18年も従事しているという点において、彼女は大先輩でもあります。それと同時に、今後の活躍も大いに期待される若手俳優でもあるわけです。子役時代から活躍する彼女をテレビ越しに観て、「成長したなぁ」と感じる人も少なくないでしょう。
そんな彼女の成長っぷりを見ることができるのが、ドラマ「99.9-刑事専門弁護士-」です。同作品では、香川照之さん演じる佐田篤弘と、映美くららさん演じる妻・由紀子の1人娘、かすみ役を演じています。2016年に放映されたシーズン1のときは14歳、そしてシーズン2放映時には16歳と、成長期真っただ中。さらにこのたび、2021年12月30日(木)から公開される『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』では、同じくそのままの年齢19歳の姿で登場しています。
1歳の幼児期から仕事を始め、芸能界という特殊な環境で育ったということについて、彼女自身はどのように感じているのでしょうか? ストレートに質問を投げかけてみました。
「『仕事をしている』という自覚は、物心ついたときからありました。でも、それを苦に感じたことはなくて、自然と自分の生活の一部として考えてきました。仕事に対して初めて楽しく、ワクワクとした気持ちになったのが、小学3年生のときに連続ドラマ『グッドライフ〜ありがとう、パパ。さよなら〜』のオーディションに受かったときです」
「あのときは、『自分がいつも観ている作品は、こうしてつくられているんだ』っていうのもわかりましたし、制作スタッフさんや他のキャストの方々の真剣な雰囲気に、圧倒されたのを今でも覚えています」
常に周りには大人たちがいたことや、プレッシャーを感じる環境についてどのように感じていたか訊いてみると、「小さい頃から、『失敗しちゃいけない』という緊張感は持っていましたね」と言います。ここだけ切り取って聞けば、大人の重圧に耐える子どもという印象を受けるかもしれません。ですが、年齢というフィルターを取り外して、彼女がいちプロの俳優としての自覚を持っていることがうかがわれます。
「でも、現場で最年少とは言え、1つの作品をつくるメンバーの1人なんです。いまでも緊張しがちなところは治らないんですが、慣れることなく、いい意味で緊張感は持ち続けたいと思っています。もちろん、現場は大変なことも多いです。でも、同時に楽しいことや刺激的なこともたくさんあります。周りの同年代の子たちみんなが、そういう経験をしてきたわけではないので、特別な場所で特別な経験をさせてもらっていると思っています」
2021年3月に高校を卒業した畑さん。卒業後の進路について、他の同級生と同様にかなり悩んだと言います。
「今の仕事を辞めたら、普通に会社員になるのかな? それってどんな人生なんだろう…って考えたりしました。そこから『自分にできる仕事って何だろう?』って考えたときに、ずっとダンススクールに通っていたので、その道を極めるのもアリだなって考えたりもしたのですが…。でも、その根本にあるのは、『誰かに自分で表現したものを見せたり、褒められたりしたい』という思いなんです」
「そうやって、『表現者でいたい』と心から願う自分に気づきました」
熟考の末に、「俳優で食べていく」ことを選んだ畑さん。大人ぶるわけでもなく、焦ったり、無理をしたりするわけでもなく、等身大の19歳、そしてリアリストでもありました。
「進路について悩んだとき、不思議と焦りはなかったんです。それは、父も母も幼い頃から私がやりたいって言ったことを、拒否することなく応援してくれたからだと思います。それに加えて、周りの友だちも自分のやりたいと思うことを見つけて、進んでいく子が多かったのも理由のひとつだと思っています。いろんな考え方があるので、ひとつのカタチに囚われず、自由にやっていいんだって思えたんです」
「いま、あの選択に後悔はしていません。また、何か学びたいと思ったら、そのときにまた学ぼうと思います。『やりたいと思ったときがその時』くらいが丁度いい気がします。今はこういう考えが、すごく尊重されてますよね」
最新出演作『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』では、香川照之さんの娘役として、ツンデレな娘役を演じている畑さん。アドリブの多いことで有名な香川さんですが、同作品でも健在で、畑さんも「佐田ファミリーのかけあいは必見です」と話します。「お父さんである香川さんにお母さんと一緒につっこんだり、実は裏で息を合わせるために一緒に練習したりして(笑)そういう面白いシーンをみていただけるとうれしいです」と話します。
そして、同作品でヒロイン役を演じているのが、同じ事務所に所属している杉咲 花さんです。「撮影現場の最後日に杉咲さんとご一緒させていただいて、控え室が一緒だったんです。事務所トークで盛り上がりました」とのこと。
「事務所にダンスレッスンがあるんですけど、その名目とは裏腹に実はすごくハードなトレーニングプログラムが組んであるんです。そのハードなレッスンの話だったり、同じマネージャーさんについていただいたこともあったので、面白エピソードを話したりしました。同じ事務所とは言え、いつもテレビで観ている方なので、実際にお話して"人柄がにじみ出てる"ってこういうことなんだなって思いました」
すると、その横で話を聞いているマネージャーさんいわく、そのダンスレッスンには自らの志願によって参加したということ…。
「実は、そうなんです。1番最初に行ったときは『聞いてないよ』ってくらいハードなトレーニングばかりやって筋肉痛も辛かったんですけど…専門の先生が細かいアドバイスもくれるので、すごく参考になるんです。やっぱり役づくりやお仕事の基本となるので、身体づくりはすごく大事だと思っています。それになにより、精神面が鍛えられるんです」
「週に1回は、このレッスンに通うようにしている」と言います。「新たな役を手に入れたとき、それがどんな役でも耐えうる芯の整った身体をつくる」、ということから始めていると言います。「コツコツ続けられる人は大成する」という通説があります。あまり公にしていない彼女の密かな努力が、次第にスクリーンでもその存在を大きくしていくことでしょう。
“ネクストブレイク”が大いに期待できる畑さん。今後やってみたい役柄は意外にも、「性格の悪い役」だと言います。
「今まで、性格が悪い子や地味な役を演じたことがないんです。これまでやったことをない役をこなして、観てくれている方々にふり幅をアピールしたいです。もし、性格が悪い役をやって嫌われてしまっても、逆に『私、表現できてるんだ』って思えると思います。私も映画とかドラマをみていて、性格悪い人には思わず怒りの感情が芽生えたりするんですけど、そう思われるくらい役に憑依できたらベスト。なので、そこから生まれる悪口が聞こえてきたとしても、評価としてポジティブに考えたらいいと思っています」
「あとは、ラジオをやってみたいです! おしゃべりが好きなので、自分の好きな分野についてお話したり、視聴者さんからのお便りを読んだりしてみたいですね。それでもし、盛り上がったりしたら楽しいだろうなって憧れています…」
YouTube連載「Dice Chat(ダイス チャット)」に、畑さんにも挑戦していただきました。中でも、「スマホに欠かせないアプリは?」と言う質問で、ストリーミング配信アプリにすべて加入し、常にドラマや映画を観ていると話します。「緊急事態宣言が発令された時期は、1日3本…1カ月で100本ぐらい観たかもしれません」ということ。
さらに、映画の感想を書きとめるのも欠かさないと言います。動画撮影のあと、インタビュー中に「『Filmarks(フィルマークス)』ってアプリも、絶対欠かせないんです!」と魅力を語ってくれました。
「このアプリに出合って、知らない映画に出合えるだけではなく、この映画に対して他の人がどんな感想を持っているのかを読み取ることもできますし、好きな監督や役者さんが観ている映画が何かを知ることもできるんです。映画好きな人にとっては、欠かせないアプリなんじゃないでしょうか? こんなに素晴らしいアプリは、他にはないと思います。つくってくださった方、ありがとうございます!! 」
Model / Mei Hata
Photograph / Cedric Diradourian
Videograph / Hikari Homma
Styling / Natsuki Takano
Hair & Make / Yuki Ishikawa
Video Edit / Marin Kanii
Text & Edit / Mirei Uchihori