2018年1月17日(現地時間)より、アメリカのケーブル局FXは1997年に起きた「ジャンニ・ヴェルサーチ殺害事件」にフォーカスした『アメリカン・クライム・ストーリー』シーズン2の放送が開始されました。
ジャンニといえばご存じのとおり、「VERSACE(ヴェルサーチ)」の創設者でありデザイナー。そして、ドナテラ・ヴェルサーチの兄ということは有名ですが、実は初めてファッションショーに豪華セレブたちを招待したデザイナーなのです。
そんな彼は、それ以外にもさまざまな偉業を達成しています。そして今もなお、モード界に大きな影響を与え続けている存在なのです。 そんなジャンニについて、いまだからこそ知っておくべき8つのことをご紹介しましょう。
ジャンニが生まれ育ったのは、イタリアのレッジョ・ディ・カリブリア。米「ニューヨーク・タイムズ」紙によれば、彼はドレスメーカーとして働いていた母親から、洋裁に関する知識や技術を学んだということ。それからミラノへと引っ越しをし、ヴェルサーチを設立したジャンニ。その当時から兄サントがビジネス面、妹ドナテラがデザイン面をサポートしていたと、米「ワシントンポスト」紙は報じています。そして現在も、サントはヴェルサーチのCEO、ドナテラはクリエイティブディレクターとして活躍中です。
ヴェルサーチを語る上で欠かせないのが、マドンナやダイアナ元妃、エルトン・ジョンなど、ブランドを愛するA級セレブやアーティストたちへの対応に関して。それまでのファッションショーでは、ソーシャライツを招くのが一般的でした。しかし、そこでジャンニは新たな試みとして、そうした富裕層の女性たちの代わりに、セレブや親しい友人たちをフロントロウに招待したのです。英「テレグラフ」紙によれば、そうした演出を取り入れたのは彼が初めてだったということ…。当初、そのあまりに独創的なショーに対し、バイヤーたちは「あれでは売れないだろう」と口をそろえたものでした。しかしながら彼のエンターテインメント性あふれるショーは、やがてスーパーモデルブームを生み出し、他のデザイナーたちも彼のショーを参考にするなどなど…時代の流れを牽引したと、『ブリタニカ百科事典』に記されるまでになっています。
当時、恋人であったヒュー・グラントと一緒に映画『フォー・ウエディング』のプレミアに出席した女優エリザベス・ハーレイ。それまではほぼ無名の彼女ですが、ヴェルサーチのドレスを着用したことで一躍有名に! それ以来、ゴールドの安全ピンが施されたそのボディコンシャスなドレスは、ブランドを象徴するアイコニックなデザイン、そしてレッドカーペットスタイルに変革をもたらしたドレスとして歴史に刻まれるようになりました。ちなみにジャンニは友人であるヒューのために、エリザベスにドレスを貸したという裏話が後で明らかになったのでした…。
ヴェルサーチのコレクション以外に、ジャンニはフランス人振り付け家のモーリス・ベジャールとコラボレーションし、バレエの衣装もデザインしていました。また、イギリス・ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館によれば、ジャンニはエルトン・ジョンのワールドツアー「ザ・ワン」など、アーティストのステージ衣装もデザインしていたとのことです。
彼が射殺されるのは1997年7月15日。その1週間ほど前、ジャンニはリッツ・パリで生前最後となったコレクションを披露しています。ショーには、ナオミ・キャンベルとエリン・オコナーも出演。それから15年後、リッツ・パリで大規模な改装工事が行われるということで、妹ドナテラは兄への追悼の意を込めてショーを開催しました。そして2017年9月にミラノで行われたヴェルサーチのショーでも、ジャンニの没後20周年を記念して、90年代に活躍した元祖スーパーモデルのナオミ・キャンベル、シンディ・クロフォード、クラウディア・シファー、カーラ・ブルーニ、ヘレナ・クリステンセンの5人を再集結。圧巻のフィナーレで会場を魅了しました。
内耳にがんを発症したジャンニは、治療のため1995年から2年ほどブランドを離れていました。ドナテラは事件当時を振り返り、「がん治療を終えた半年後に、兄は射殺された。治療後は家族みんなでお祝いし、シャンパンで乾杯したわ。でも、その半年後に彼は殺されたの…」と、米『ニューヨーク・マガジン』誌に語っています。
「がんを克服することはできない」と考えたジャンニは、相続をめぐる争いを避けるために遺言書を作成していたそうです。英「ガーディアン」紙によれば、その遺言書には姪のアレグラがヴェルサーチの株式の50%を相続すると記載されていたそうです。そしてアレグラは、18歳になったときに、株式を相続し筆頭株主になりました。
2012年、ジョルジオ・アルマーニがジャンニに追悼メッセージを贈りました。「没後15年を迎えたジャンニ・ヴェルサーチ。今でも彼のあふれんばかりのパワーと揺るぎない生命力、それにさまざまなアイデアやトレンド、過去の思い出、アートなどをミックスした幸福感を鮮明に思い出すことができる。彼は、本当に素晴らしいクリエイターだった」と。
そしてジャンニの死後20年が経た今でも、ヴェルサーチはポップカルチャーやファッション業界に多大なる影響を与え続けています。ミーゴスやブルーノ・マーズは、ヴェルサーチからインスパイアされた曲を発表。M.I.A.はブランドとコラボし、さらにレディ・ガガがブランドの広告塔を務めたりと、話題が尽きません。
そしてランウェイには、ジジ・ハディッドやベラ・ハディッド、ケンダル・ジェンナー、さらにスーパーモデルのシンディ・クロフォードの娘であり、現在大ブレイク中のカイア・ガーバーなどなど、旬のモデルたちがいまでも大集合しているのです。ヴェルサーチ帝国のさらなる進化は、まだまだ続きそうです!
From Harper's BAZAARTranslation / Reiko Kuwabara
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