ジョーカーを演じた歴代の俳優を(勝手に)ランキング|映画からアニメまで
バリー・コーガンは最終的にどのような演技を見せてくれるでしょうか? 少なくとも、ジャレッド・レトよりマシなことを願います。
※この記事には『THE BATMAN-ザ・バットマン-』のネタバレが含まれます。
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2022年の『THE BATMAN-ザ・バットマン-』で見せたマット・リーヴス監督が描くバットマンの特徴は、悪役がこれまでのシリーズとは少し異なるという点です。ポール・ダノのゾディアック風のリドラーと、ジョン・タトゥーロがスムーズに演じたカーマイン・ファルコーネ、主役のヒーローにとって異なるカタチの敵として、互いに邪魔をせず、引き立て合う2人の悪役を登場させました。ですが、これはあくまでバットマン映画。リーヴス監督は何らかのカタチで、皆さんもご存知のあの悪役を登場させるつもりでした。
映画の終盤、投獄されたリドラーは刑務所で友人をつくります。不快な笑い声を響かせる狂人で、映画のクレジットには「顔の見えないアーカムの囚人」とだけ出てきますが、これが誰かは明らかです。これは『エターナルズ』で知られるアイルランド出身の俳優、バリー・コーガンが演じるジョーカーです。
公開から数週間後に監督は映画のカットシーンを公開し、バットマン(ロバート・パティンソン)と、この傷だらけの不気味なジョーカーには過去があり、『羊たちの沈黙』のような関係にあることが明らかになりました。とても奇妙ですが、納得のいく設定で、みんな続きを楽しみにしています。
もちろん、たった1回の短いシーンと最終的にカットされたシーンだけでは、この役を演じた他の俳優たちと比べてコーガンの演技がどうか評価するのは困難です。しかし、このキャラクターが文化的に与えた影響について考えてみるのは、興味深いものがあります。『ウエスト・サイド・ストーリー』のアーニタはこれまで複数の俳優が演じてきましたが、2022年には、異なる俳優たちが同じ役でアカデミー賞を受賞した史上3人目のキャラクターとなりました。もう1人は、映画『ゴッドファーザー』のヴィトー・コルレオーネ。そしてもう1人はジョーカーです。
ホアキン・フェニックスがジョーカーを演じてアカデミー賞を受賞したのは2年前で、ヒース・レジャーが伝説的な演技で死後にアカデミー賞を受賞してからわずか10年余り後のことでした。将来3人目が賞を手にすることは考えにくいですが、何が起きてもおかしくない世界です。
ということで、ここでこれまで見てきたさまざまなジョーカーを振り返ってみたいと思います。もちろん、特に秀でていた人もいれば、イマイチだった人もいます。コーガンが描くジョーカーはどこに収まるでしょうか? この問いに対する明確な答えを得るには、10年近くかかるかもしれませんが、彼はいいスタートを切ったと言ってもいいでしょう。
未定:バリー・コーガン(『THE BATMAN-ザ・バットマン-』)
「まだ十分に観ることができていない」というのが正直なところです。バリー・コーガンは、『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』などの映画で、不気味な役を演じてきた経験があります。そして、『THE BATMAN-ザ・バットマン-』での2回の出演(カットシーンと短いシーン)から考えると、全く新しい(そして、とてもおぞましい)ジョーカーを演じてくれそうです。
しかし、しっかり彼が演じたジョーカーを観るまでは、どこにランクインするかは未定にしておきましょう。
9位 ジャレッド・レト(『スーサイド・スクワッド』)
ジャレッド・レトがふざけた演技で見せたジョーカー役(マーゴット・ロビー演じるハーレイ・クインには、ミスターJと呼ばれています)の唯一の救いは、彼が映画にそれほど出てこないということです。
『マンマ・ミーア!』のメリル・ストリープのように地面に寝そべってポーズをとるシーンから、額の「Damaged」のタトゥー、ド派手なティーンエイジャーのようなオーラまで、レトのジョーカーはこれまで存在したキャラクターの中でも群を抜いて最下位だと言えます。
ザック・スナイダー監督の『ジャスティス・リーグ』には少し姿を見せましたが、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』には良くも悪くも登場しませんでした。
8位 キャメロン・モナハン(『GOTHAM/ゴッサム』)
若き日のブルース・ウェインを描いたFoxのドラマシリーズには、「ジョーカー」というキャラクターは正式には登場していませんが、ジェロームとジェレマイアのヴァレスカ兄弟はジョーカーを表現したものです。
シリーズのエンディングでは、「J 」と呼ばれる3番目の兄弟がジョーカーになったのか、それとも彼らが別のカタチで実際のジョーカーにインスピレーションを与えたのかは不明なままでした。
いずれにせよ、『GOTHAM/ゴッサム』は私たちが想像するジョーカーの狂人的なエネルギーをうまく表現していたと言えます。
さらに、ジェロームが自分の顔をホッチキスで留めるシーンはワイルドだったと思いませんか? 「ジョーカー」と呼ばれることはないため、このリストでは下位となっています。が、面白い描写だったのは間違いありません。
7位 シーザー・ロメロ(『怪鳥人間バットマン』1966-1968年)
メイクや衣装はともかく、このジョーカーは、現在私たちが想像するキャラクターとは別物です。
シーザー・ロメロ扮するジョーカーは、ベタな設定とドタバタ劇の笑われ役で、基本的にシットコム(シチュエーションコメディ)の脇役でした。しかもロメロは、メイクの下にある口ひげを剃らなかったため、ほぼ全ての映像や静止画ではっきりと見てとれるのが傑作です。
6位 ホアキン・フェニックス(『ジョーカー』)
ホアキン・フェニックスが演じたアーサー・フレック/ジョーカーは、これまでで最も深く、多面的に描かれたキャラクターでした。
他の映画では、ジョーカーはヒーローであるバットマンに対する闇として描かれていますが、映画『ジョーカー』では彼がどのようにして現在の姿になったのかが描かれており、メインキャラクターとなっています。そして、いつも通り、フェニックスは素晴らしい演技を披露しました。
この映画は、一部の批評家が過剰な暴力だと見なしたために論争に巻き込まれましたが、特にフェニックスの演技は彼の歴代ベストの1つとして挙げられるほど素晴らしい作品です。この役でアカデミー賞主演男優賞を受賞しましたが、このランキングでは彼を上回る候補者がいるためこの順位になりました。また、この作品は私たちの知る犯罪の首謀者ジョーカーという感じではなく、暴走している病人のように感じられたというのも理由の1つです。
5位 ザック・ガリフィアナキス(『レゴバットマン ザ・ムービー』)
『LEGO ムービー』のスピンオフで、ウィル・アーネット演じるバットマン(彼もとてもよかったです)と対峙するザック・ガリフィアナキスの演技が素晴らしい作品です。
重すぎないこのジョーカーは、バットマンの気を引きたいだけで、バットマンとスーパーマンのライバル関係に嫉妬しているかのようです(「悪い奴じゃないんだ!」とジョーカーも言っています)。
ジョーカーの暗さに焦点を当てた描写が多い中、ガリフィアナキスはジョーカーをネタにすることが可能だと証明してくれました。
同5位 アラン・テュディック (『Harley Quinn』)
アニメ『Harley Quinn』のジョーカーは、信じられないほど過小評価されているアラン・テュディックが素晴らしい声で演じ、このジョーカーにぜひともやってもらいたいあることを実現しました。
それはもちろん、良いジョーカーになることです。ジョーカーの新しい側面は彼が悪人であるだけでなく、かなりひどいボーイフレンドであるということをハーレイ・クインが主人公のこのアニメで示しています。そして、かなり嫌なやつです。ぜひジョーカーが“治る”この短編をお楽しみください。
2位 ジャック・ニコルソン(『バットマン』1989年)
20年近く、ジャック・ニコルソン演じるジョーカーは代表的存在でした。
このバージョンでは、ジャック・ネイピアというマフィアから始まり、バットマンとの戦いで化学熱傷と顔の傷跡を負った後にジョーカーになります。
フェニックスとレトは、ジョーカーを完全に新しいキャラクターに変えようとしました。ですが、ニコルソンの描写はよりシンプルで、「悪いジャック」という感じです。
ニコルソンの伝説的なカッコよさとティム・バートン監督のダークな想像力が、このジョーカーを80年代、90年代を代表する悪役にしました。
1位 ヒース・レジャー(『ダークナイト』)
『ダークナイト』の公開から11年経った今、「この作品はもう時代遅れだ」と言う人もいますが、「そんなことはない!」と断言します。バットマン役のクリスチャン・ベールを超えるには長い時間がかかるでしょうし(ロバート・パティンソンが挑戦しているのは確かですが)、何より、ジョーカーを演じたヒース・レジャーを超えることはかなり難しいと言えるでしょう。
レジャー扮するジョーカーは、ニコルソンのような冷たさも、レトのようなわざとらしさもなく、純粋に強烈な生き様を見せています。これは、クリストファー・ノーラン監督の手腕によるところもあります。
『ダークナイト』にはジョーカーに100%釘づけになる瞬間がたくさんあり、唇をなめたり、脂ぎった緑っぽい髪を顔からはらったり、犬のように走行中のクルマから頭を出したりと、細部にまで悪魔が宿っています。
死後にアカデミー賞を受賞したレジャーの演技(そして彼のキャリアを決定づけた役柄)は、誰にも超えられないかもしれません。
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Source / ESQUIRE UK
Translation / Yuka Ogasawara
※この翻訳は抄訳です。