ここでは「酒の肴に」ではなく、「酒を肴に…」過去を振り返る栞にしてみてはいかがでしょうか。初めてみるカクテルがあれば、そこには思い出もないでしょう。ですから、新しい年の思い出の栞となるよう、ぜひともチェックしておいてください。
もちろん、もっと伝統的な形のスモーキーリカーもあるのですが。典型的なスモーキーリカーは何か?の問いに応えるなら、人気上昇中の「メスカル」になります。
テキーラの仲間である「メスカル」は、数年前であればアメリカのドリンク賢者たちのレーダーに引っかかることなどほとんどありませんでした。が、今や市場は活発であり、過去4年間で2倍に…。さらに現在も、その勢いを失う兆候を見せていないのです。
特種なリュウゼツランが熟すのを待つ12年以上の期間、その後の収穫、低温で時間をかけた焙煎、自然発酵、そしてワインのような繊細なテロワールなどを含めた製造は実にスロー・プロセス。
そんな工程から作り出された「メスカル」は、イモムシ入りのお酒(なので編集部的には、あまり進んで飲む人は…)という特殊な部類に属し、さらに、ある種古臭さも薫る酒ですが、100種類以上のスピリットを誇るシカゴのレーニャ・ブラバのような名門バーからのプッシュのお陰もあり、新たなファンも増やしているのでした。とくに、この「オールド・スクール・スモーキー・カクテル」がおすすめです。
低温でゆっくり焼くバーベキュー…。それに似合いの酒なら、同様に深みのあるウッドスモークの薫り沸き立つドリンク以外ないでしょう。
バーテンダーやスピリット製造者は、2016年もそんなことを考えていたため、アップルウッド・スモーク、ペッパーコーン、キャラウェイのフレーバーをもつESPスモーク・ジンや、3種類のまきで燻製した大麦から作ったコルセア・トリプル・スモークアメリカンモルトウィスキーのような自慢のスモーク・リカーを紹介することになったのです。
ドリンクの全メニューをスモークに特化した、ニューヨークの“ボトル&バイン”のようなバーの仲間入りするところもあります。で、おすすめがこの「ノーマル・マン」です。
▼自家製スモーキー・カクテルの作り方
◇ノーマル・マンのレシピ
- スモーキー抹茶を注入したエライジャ・クレイグ・スモールバッチ・バーボン:2オンス
- リキッド・スモーク(できればアップルウッド)- 1振り
- ブラウンシュガー -0.5オンス
- ペイショービターズ ー3振り
◇作り方
材料すべてを混合容器に入れる。冷たくなるまでかき混ぜる(10〜15秒)。2インチ四方の氷を2つ入れたグラスに注ぐ。
「シールバック・カクテル」は、ケンタッキー州ルイビルにあるシーバックホテルのバーテンダー、アダム・シーガー氏がホテルの古い書類の中に隠されていた、禁酒法時代以前のレシピを見つけたと言ってメニューに加えて以来、再発見されたクラシックなカクテルです。
待望のカムバックと言われましたが、実はすべて彼の作り話だということが分かったのです。シーガーはこのことを、2015年「ニューヨークタイムズ」に「自分はバーのトレードマークになる美味しいカクテルを作っただけで、ちょっとした味付けにロマンティックな話を付け加えたのさ」と、打ち明けて説明しました。
この苦みとスパークリングワインをブレンドした美味しいバーボンベースのカクテルのレシピを知りたい方は、「ニューヨークタイムズ」に掲載してありますので、ご確認ください。
ここのところ消臭・浄水効果など、毒吸収性の有するチャコール(炭)が、スキンケア成分としてよく使われていますが、そのインクのような真っ黒な粉はカクテルにも進出しています。
庭でバーベキューをした記憶をたどってみてください。その情景よりも、パワフルな匂いがまず思い出されませんか? 実はその味、ほろ苦いスモークの効果でマイルドに仕上がっているのです。もちろん、その色だってドラマチックなものです。ただ、いくら健康に良いと言われていても、飲みすぎれば二日酔いは免れません。
真夜中のような色彩ですが、味はあなたの期待を見事に裏切るでしょう。フレーバーは、柑橘系マルガリータ風ですから。
「2度目の歴史的リバイバルの真っ只中にいるのが、この『クラリファイド・ミルク・パンチ』です。いまや世界中で、そのテクニックやスピリットを学びなおそうとしているところです」と語るのは、バカルディ大使を務めるコーリン・アザレ―アピア氏です。
「『ミルク・パンチ』は17世紀の英国にさかのぼり、パンチは外交官、王室、一般の人に関わらず好まれる酒だった」と続けています。「エッグノック」を簡単にしたようなベーシックな「ミルクパンチ」と違って、「クラリファイド・ミルク・パンチ」は全乳のホエー(乳清=乳から乳脂肪分やカゼインなどを除いた水溶液)のみを使い、軽くて明るい風味付けとなっています。
◇レシピ
ベース
- 乳清―2リットル
- パイナップルジュース-1.5リットル
- レモンジュース―1リットル
- アップルジュース―1リットル
- サファイヤ・スパイス・ブラックティー*-1リットル
- グラニュー糖-800g
- 水-800g
- クエン酸-30g
*スパイス・ブラックティー
- 水-1リットル
- ジュニパーベリー 50g
- オレンジピール 100g
- コリアンダー 25g
- アンゼリカ(できれば生で) 100g
- セイロン茶 50g
カクテル用
- ミルク・パンチ・ベース 40オンス
- ボンベイ・サファイア・ジン 60オンス
◇作り方
- 湯を沸かし、セイロン茶、ジュニパーベリー、オレンジピール、コリアンダー、生のアンゼリカを浸して、サファイア・スパイス・ブラックティーを作ります。そして、室温まで冷まします。
- 3つの液体容器の上に、ウルトラバッグを置いてフィルタレーション・リグをセットします。ひしゃくをフィルターの内側にかけて、液体の着地を和らげます。
- ミルクとレモン(酸性物質)以外のすべてをブレンドする。
- 焦がさないように常に混ぜながら、ミルクを沸騰直前まで温めます。
- ゆっくりかき混ぜてホエーからカードを分離させながら、少しずつレモン(酸性物質)をミルクに加えます。
- 素早く、サファイヤ・スパイス・ブラックティーとジュースを加えます。
- フィルターの内側のひしゃくの中に、カードのダムを作るようにゆっくり注ぐ。
- フィルターを通過した液体をまたひしゃくに注ぐ。
- 透明になるまでこれを繰り返す。
- クエン酸と簡単なシロップ(水に溶かしたグラニュー糖)で味付けをします。
- 冷凍させて、アルコールで安定化させる、または10日以内にお召し上がりください。
ミントとカクテルとの関係は、ピーナツバターとジェリーとの関係と同じです。あまりにもお似合いのコンビであり、もはや王道の組み合わせと言えるでしょう。
ミントが消えてなくなる心配はありませんね。でも、アーモンドとカシューバターがナッツ市場に割り込んできたように、バーの奥では他の若草色のハーブが参入しようとしています。
ミントより古いバジルも当然加わりますが、ディル、パセリ、ローズマリー、セージなど、その他のハーブ系も全国のカクテルメニューに突如現れ始めました。そして、緑色のジュースからイメージできる味わいを、驚くほどのレベルまで引き上げたのです。
最近のカクテルのメニューを見て、かつて一世を風靡したジャズダンスの映像などを思い出してしたりして…「俺も年を重ねたなぁ」と感慨にふけった経験のある方。それはあなただけではありません。
「70年代、80年代、カクテル専門店で生み出された様々なカクテルは、失敗作と言えるなものもそう少なくなかった」と語るのは、バカルディのトレード・エンゲージメント・ディレクター、エイドリアン・ビグズ氏。しかし、その続きは…「そんな彼らのほとんどは、いろいろ試してみて改作したものを紹介することに、多大な喜びを感じています」と話しています。
メジャーなバーテンダーは、古典的サワー「ネオン・マティーニ」などに加え、みだらな名前の付いた傘付きのドリンクのような、生ジュースやバランスのとれたフレーバーを足してモダンに進化さえているのです。昔の一口飲んだだけでも超甘いカクテルを、もはや忘れさせるぐらいです。
“ブルー・エプロン”や“ハロー・フレッシュ”など、食事配達サービスが成功するなか、バーテンダーもこの商売に参戦してくるのは時間の問題でした。
“スイッグ+スワロー”は、クラウドファンディングのキックスターター・キャンペーンで成功してから、注目のサービスとなっています。新鮮なフルーツを絞ったジュースと特製のシロップを混ぜ、あとはリカーを加えるだけなのです。
長年、ビールはカクテルとは別物で混ぜるものではありませんでした。が、それも変わってきており、従来の「ミチェラーダ」や「シャンディ」だけでなく、「ビアガリータ」、「カイピビアリーニャ」、「ビアサングリア」のような、大胆なカクテルが登場するバーメニューも増えています。
◇Caip-beer-inhaのレシピ
- カシャーサ 2オンス
- 4つ切りにしたライム ½個
- 砂糖 大さじ1杯
- IPA 1オンス
◇作り方
砂糖とライムを混ぜてカシャーサを加え、氷といっしょにシェークします。氷の入ったグラスに注ぎ、最後にIPAを加えて優しくかき混ぜてからサーブする。
「蝶ネクタイと口髭のプロのバーテンダーなしに、家のホームバーで手軽にしゃれたカクテルが作れればいい」とお考えのあなたへ。
とはいえ実際は、エネルギーを使い果たして家に帰ってきたら、「ボトルに入った酒をグラスに注ぐのが精いっぱいだ」という日もあることでしょう。できあいのカクテルが多く出回っているということは、そういう人が多いということの証明でもあります。
それでは、新しいものを試してみますか?
ウォーターシェッド・ディスティラリーのボトルの栓を抜いて、マラスキーノを2、3滴振ればいけます。それとも、特上のカンパリでサービスの「ネグローニ」を試してみますか? またはクラフトハウス・カクテルの「モスコミュール」にしますか? これで気楽に、バーテンダー気分を楽しむことができるのです。
フローズン・カクテルが決して「廃れた」とは言えませんが、フローズン・カクテルの年があるとすれば、昨年がまさにその年でした。
スラッシュマシーンを置いていない、高級なカクテルバーを探してみてください。いっそのこと、思いっきり大人バージョンな場所を子供の頃に行っていた場所に仕立てて、バーの椅子に身を投げ出せばいいのです。
例えば、ニューヨークシティにある“エル・キント・ピノ”の「フローズン・バジル・ジン・レモネード」、もしくは“マザーズ・ルーイン”の日替わりメニューにあるドリンクを楽しむのです。あるいは2016年夏の公式飲料であった、「フローゼ」を手軽に作ってみるのはどうでしょうか。
Source / ESQUIRE US
Translation / Spring Hill, MEN'S +
※この翻訳は抄訳です。