ショットグラスでテキーラを楽しんだ経験のある人は、きっと多いことでしょう。それは素晴らしい日の祝杯のためであったり、悲しみからの逃避であったかもしれません。中には、ゲームや罰ゲームの一環として楽しんだ経験もあるかもしれません…。
もちろん、テキーラをショットグラスで楽しむことは、歴史的にも文化的にも正しい作法のひとつです。テキーラは、そんな瞬発的に楽しめるお酒という顔を持っていますが、それ以外の表情を持っていることをご存知だったでしょうか。
ここでは、じっくりと時間をかけてテキーラを堪能する所作を推奨します。そう、「これはテキーラとの対話」と言っていいでしょう。つまり本記事は、テキーラの奥深さをめぐる旅路。まずは、テキーラについての基礎知識を踏まえてから、最高峰を誇る唯一無二のクラフトテキーラをご紹介していきます。
《目次》
- テキーラとは?
- テキーラを名乗れる8つの条件
- テキーラ5つの等級
- テキーラの製法工程を解説
- グラスで楽しむテイスティング手順
- 「クラセアスール」の魅力
- どこで飲める?|東京・中目黒
- テキーラを使用したカクテルレシピ5選
出典:テキーラジャーナル
◇そもそもテキーラとは何?
竜舌蘭(りゅうぜつらん)の一種、「アガベアスル(ブルー・アガベまたは、アガベアスルとも呼ばれています)」を原材料とするメキシコ原産の蒸留酒がテキーラになります。その由来は、メキシコ・ハリスコ州の地方自治体のひとつである町の名に起因しているとも言われています。
そして現在は、「テキーラ規制委員会(以下CRT)」によって厳正に管理され、テキーラに関する「メキシコ公式規則(以下NOMT)」を満たしたモノだけが正式に“テキーラ”と呼ぶことができるのです。
◇テキーラを名乗れる8つの厳粛な条件
「CRT」では、テキーラの主要規則を次の8つに定めています。
- 200種類以上あるアガベの中から、「アガベアスル」のみを原材料として使用する。
- 原産地呼称で保護されたメキシコ指定産地5州で育成したアガベアスルを使用し、製造・蒸留したものである。
- 蒸留回数は、単式蒸留の場合は2回以上。
- アルコール度数は、35%~55%以内である。
- メタノールの値は、3mg/ml以下である。
- 水以外の添加物(メローイング)は、1%以下。
- ボトルのラベルにNOM番号(4桁の生産者番号)を記載。例:NOM0000CRT
- 100%アガベテキーラ(*1) は指定地域内(原産地)限定であるが、テキーラ(*2)は国内外の登録済み業者によるボトリングは可能。
*1:100%アガベテキーラ(TEQUILA 100% AGAVE)は、糖分の100%がアガベアスル由来するもので、ラベルに“100% de agave”, “100% puro de agave”, “100% agave”, “100% puro agave”等のいずれかの記載がなされているもの。
*2 :テキーラ(TEQUILA)は、糖分の51%以上はアガベアスル由来でなければなりません。残りはサトウキビの糖蜜やショ糖、ブドウ糖、トウモロコシなど他の天然由来の糖分を用いてもよい。
◇テキーラには5つの等級がある
樽(たる)熟成の期間によって、CRTが下記5つの等級(クラス)に分類しています。
- 樽熟成期間:0~2カ月未満
2カ月未満の樽熟成されたものを、「プラタ(PLATA)」と呼ぶ場合もあります。アガベという植物本来の、フレッシュな味わいが楽しめます。
オロ(ORO)、ヤング(YOUNG)と呼ぶ場合もあります。ブランコに他のクラスの熟成したテキーラを合わせたものであり、またはブランコにカラメル色素で色づけしたものになります。
- 樽熟成期間:2カ月~1年未満
- 樽の容量規定:無し
- 樽の木の種類:オーク
軽い甘みとフルーティーさがあるソフトな風味。
- 樽熟成期間:1~3年未満
- 樽の容量規定:600リットル以下
- 樽の木の種類:オーク
樽由来のまろやかな甘味を感じられます。
- 樽熟成期間:3年以上
- 樽の容量規定:600リットル以下
- 樽の木の種類:オーク
奥深い味わいと、樽の個性が強く表れています。
◇テキーラの製法の仕方って?
◇グラスで楽しむ
テキーラのテイスティング手順
白い布、または紙を片手に置き、グラスを目の高さに持ちます。色、透明度、輝き、不純物がないかを観察しましょう。グラスをゆっくり回転させ、内側に広がるテキーラの粘度(涙・脚を呼ばれる)を確認してみましょう。
グラスを傾けながら数秒かけて鼻に近づけます。グラスの下部から始めて中央部、上部と移していき、異なったアロマをとらえましょう。
テキーラを少量口の中に入れて舌で5秒間くらい転がしたあと、ゆっくり息を吐きながらテキーラの香りを感じましょう。
口を閉じたまま鼻から息を出し、口中での接触などによる香りの変化を確認します。甘味、酸味、塩味、苦味、旨味、渋味などのバランスを観察しましょう。
◇「クラセアスール」の魅力
さて、そんな奥深いテキーラの伝統とDNAを受け継ぐ、プレミアムなテキーラブランドをご紹介します。
1997年に創業者アルトゥーロ・ロメリ氏(Arturo Lomeli)が生み出した、「クラセアスール」。製法からボトルまで“100%メキシコ”にこだわり、唯一無二のクラフトテキーラをつくっており、来年2022年で創業25周年を迎えるブランドです。
また、その美しく目を引くデザインのボトルはすべてハンドメイドで、陶器の成形からペイントまで1本の製作に約11日間も要するそうです。「クラセアスール」のデキャンタは、成形からハンドペイントまで 「サンタ マリア カンチェスダ(Santa María Canchesdá)」という小さな町の職人たちによって一つひとつ丁寧に作られています。
地域に受け継がれる技術を盛り込んだボトルは、一つひとつ個性のある唯一無二の伝統工芸品です。飲み終わって空(から)になった後でも、そのボトルは花瓶やキャンドルホルダーとして使用できることも推奨されており、サステナブルな取り組みにも役立っています。
◇どこで飲める? 東京・中目黒
70年代からの希少なヴィンテージテキーラを取りそろえ、中目黒の閑静な住宅街にひっそりとお店を構えるのが「ファラマーズラウンジ & ギャラリー(Faramarz Lounge & Gallery)」。
シェフによる日本の旬の食材をベースにした季節の料理は、テキーラとの相性(ペアリング)を考えられたウィークリーメニューが提供されています。
アガベのエキスパートで、日本メスカル協会会長も務めるカデム・ファラマーズ氏によるペアリングが堪能できます。
「ファラマーズラウンジ & ギャラリー」
住所:東京都目黒区上目黒2丁目48-10
TEL 070-1579-6969
公式サイト・MAP
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◇テキーラを使用したカクテルレシピ5選
一般の人でも自宅で可能なテキーラを使用したカクテルの中から、「エスクァイア」日本版おすすめをご紹介。ぜひ、試してみてください。