16時間断食のために朝食を抜き、夕食は炭水化物を控えた食事にし、週1~2回スイミングをしているのにおなかが痩せない、という相談に対し、筆者がアドバイスしたこととは?

16時間ダイエット+夜は
炭水化物を控える生活
しかしおなか周りが痩せない

今回、相談をいただいたのは「16時間断食を1カ月やったが、おなか周りが全然痩せない」とお悩みのKさんです。Kさんの具体的な悩みと生活スタイルを見てみましょう。年齢は58歳の女性で、身長160cm、体重75kg。目標として、体重よりもおなかの痩せ具合を優先しています。

Kさんは、16時間断食を1カ月続けています。朝食を抜いて、夕飯から昼食の間を16時間空ける形です。朝は7時に起床、水とサプリメントを摂取し、通勤は片道1時間くらい。仕事は事務職なので運動量は少なめです。昼食は13時、平日は日替わりの仕出し弁当、土日にはカレーやすしなどを楽しんでいます。

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※写真はイメージです。

間食は、チョコレートを1~3粒摂取しています。夕食は20~21時に取り、焼き肉やサラダチキン、野菜炒めなど炭水化物を控えた食事にしています。お酒は週末に、ビール350mlとワインハーフボトルを週1回程度楽しみます。運動もしており、週に1~2回、スイミングで各3000m程度泳ぐ習慣があります。

Kさんの生活スタイルや摂取食事の内容を考慮しながら、おなか周りの痩せ具合を改善するアドバイスを提供していきます。

おなか周りに脂肪が付く
「内臓脂肪型肥満」
内臓脂肪の増加要因は?

Kさんは、おなか周りを痩せさせたいがなかなかうまくいかないというお悩みをお持ちです。おなか周りに脂肪が付くタイプは「内臓脂肪型肥満」と言われています。

内臓脂肪とは、内臓の周辺についている脂肪のことを指します。日本では、ウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)が男性85cm、女性90cm以上で、かつ血圧・血糖・脂質の三つのうち二つ以上が基準値から外れると、「メタボリックシンドローム」と診断されます。体重ではなく腹囲で判定しているのは、腹囲を測ることで内臓脂肪の量を予測できるといわれているからです。内臓脂肪型肥満は心筋梗塞などの原因となる動脈硬化を進行させる要因になると考えられているため、腹囲を指標としています。

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※写真はイメージです。

内臓脂肪は、加齢とともに付きやすくなります。特に女性は閉経後、女性ホルモンの関係から、内臓脂肪が付くスピードが上がるといわれています。男性の場合は基礎代謝が加齢とともに減ることと、活動量が減り筋肉量が減るため、脂肪が蓄積されやすくなります。

おなか周りや体重を減らそうと食事制限を中心とした過度なダイエットをすると筋肉が落ち、基礎代謝が低下するため、逆に太りやすい体質となってしまうこともあるので注意が必要です。適切なアプローチで内臓脂肪を減らすことが大切です。

内臓脂肪を減らす食べ方
[Step 1]

糖質の質を見直す

内臓脂肪を減らすには、まず糖質の質を見直すことから始めましょう。糖質と言うと、ご飯やパン、麺類など主食を思い浮かべる方も多いかと思いますが、まず見直すべきは、主食以外の糖質です。甘いお菓子やチョコレート、スナック菓子、甘い飲み物やビール、酎ハイなど、食事以外の嗜好(しこう)品には多くの糖質が含まれています。

Kさんの場合、1日の食事のうち75%くらいチョコレートやビール、ワインなどの嗜好品で糖質を取っています。例えば、カレーライスの糖質は80gほどですが、カレーライスには、糖質以外にもタンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維など他の栄養素も含まれています。しかし、チョコレートやビールなどは、糖質以外の栄養素がほとんど含まれていないため、食べると血糖値も上がりやすく、脂肪として蓄積されてしまうのです。

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※写真はイメージです。

Kさんは、まず間食の内容やお酒の質を見直すとよいでしょう。最近では、低糖質のチョコレートやお菓子も販売されているので、そのような商品を選びましょう。また、ゼリーやヨーグルト、チーズは糖質が低く食べ応えもあり、満足感が得られます。また、オレンジやグレープフルーツなどのかんきつ系の果物は、糖質が低めでビタミン、ミネラルや食物繊維も同時に摂取できるのでおすすめの間食です。

朝食の重要性と
16時間断食の注意点

お酒を飲むときには、糖質ゼロのものを選んだり、焼酎やウイスキー、ハイボールなどは糖質が含まれていないのでそのようなお酒を選んだりするとよいでしょう。また、Kさんは朝食を食べていないことが、間食を食べる習慣につながっていたり、夕食の量が多くなったりしている可能性もあるので、朝食を取り入れることもよいでしょう。

16時間断食を行うため、朝食を食べないようにしている方は注意が必要です。16時間断食は、16時間の空腹時間をつくれば、残りの8時間は、基本的になにを食べてもOKとされていますが、その8時間で自分の消費カロリー以上に、食べてしまっては本末転倒です。また、空腹の時間が長くなればなるほど血糖値が上がりやすくなり脂肪がつきやすくなってしまいます。16時間断食をする場合は、16時間後の食事は、ゆっくりよくかんで食べることを意識しましょう。

1日の糖質量の目安と
目標糖質量の計算方法

1日に取るべき糖質量は、現在、明確には定められていません。日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、厚生労働省は、糖質を含む炭水化物から摂取する量について、1日の総摂取カロリーの50〜65%を目標量としています。炭水化物から食物繊維を引いたものが糖質に当たるため、例えば、1日に2000kcalが目安の方の場合、1日の炭水化物量が50%だと1000kcalを炭水化物から取ることになり、炭水化物は1gで4kcalなので1000kcal÷4kcal=250g。

食物繊維の基準量は、成人で約20gなので、20gを引くと230gの糖質を食事から摂取することが1日の目安量となります。ご飯1杯の糖質量が約64gなので、3食バランスよく食事を取り嗜好品を減らすことで、糖質の取り過ぎを減らすことが可能です。

内臓脂肪を減らす食べ方
[Step 2]

主食の質の見直し

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※写真はイメージです。

嗜好品を減らすことができたら、次に主食の質を見直していきましょう。白米や食パン、麺類を、茶色っぽい色の主食に変えていきます。玄米、雑穀米、胚芽米、全粒粉パン、全粒粉パスタ、そばなど。これらの食品には食物繊維が多く含まれているため、血糖値の急上昇を抑えてくれ、よくかんで食べることで満足感も得られます。最近では、コンビニや飲食店でも、このような主食を選べるようになってきたので活用していきましょう。

内臓脂肪を減らす食べ方
[Step 3]

血糖値の急上昇を抑えるには
食べる順番が大事

内臓脂肪を減らすには、血糖値を急上昇させない食べ方が大切になってきます。糖質を取ることで、血糖値は上がります。すると膵臓(すいぞう)からインスリンというホルモンが出て、血中の糖分を肝臓や筋肉、脂肪細胞へ取り込むように働きます。また、糖質はエネルギー源として使われ、私たちの生命エネルギーとして消費されます。しかし、取り込んだ糖質が余ってしまうと、体内にため込まれて脂肪として蓄積されてしまうのです。また、血糖値が急上昇することで、大量のインスリンが分泌されてしまうため脂肪が蓄積されやすくなってしまいます。

食べる順番を意識することで、血糖値の急上昇を抑えることができます。まずは食物繊維を多く含む野菜、キノコ類、海藻から食べ始め、次に魚や肉などのタンパク質を取り、最後に炭水化物や糖質を含むご飯やパン、麺類などを食べましょう。

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※写真はイメージです。

内臓脂肪を減らすためには、糖質や脂質を消費する筋肉を増やすことも大切です。Kさんの場合、週1~2回、各3000m程度泳いでいるといいます。運動習慣があることはとても良いことです。運動を続けて日常でも活動量を上げていくようにしましょう。早歩きや大股で歩く、姿勢を良くするだけでも日常の活動量は上がります。

続けられることをコツコツ積み重ねて内臓脂肪を減らし、おなか痩せを目指していきましょう。内臓脂肪を減少させるためには、食事と運動のバランスを大切にし、持続可能な習慣を築くことが重要です。

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