各座席に2つの大きな舷窓(げんそう)を擁し、乗客はこのウィンドウから「VSS Unity」がたどる宇宙旅行の一部始終が観察することができます。この極上の未来旅行へのチケットは、1人あたり25万ドルの費用がかかりますが、その価値はあるでしょう。この宇宙旅行の具体的なフライト日程は決まっていませんが、すでに600人以上が搭乗費用の25万ドル(約2600万円)を支払い済であると発表されています。ヴァージン・ギャラクティックCEO ジョージ・ホワイトサイズによると、今後さらに一人あたりの費用は増加する可能性があるそうです。なお、最初のフライト予定は「数カ月先」とのこと…。

 船内は乗客6人と乗組員2人の座席を擁し、乗客用の席の横と上に2つづつ計12個に加えて、前方に5個で計17個の窓と、16個のカメラが備え付けられているので、地球を可能な限り最高の眺めで見ることができるよう設計されているのです。これらに加え、キャビン後方には巨大な鏡が設置されており、自分が宇宙を“飛んでいる”ことが確認できる予定となっています。

 各旅行者に合わせてつくられる予定のアームチェアは、宇宙服と同様に「アンダーアーマー」と共同で設計されたもの。4つの異なるサイズからパーソナルに調整することが可能で、5つの異なるベルトはゼログラビティー(無重力状態)でも取り外しが簡単にできるようになっています。

 これらの内容は、ヴァージン・グループ会長のリチャード・ブランソン氏自身もトップマネージャーやデザインマネージャーと一緒に参加したバーチャルツアーで明らかにされました。しかし、前術した内容はヴァージンギャラクティックのSpaceShipTwo2号機「VSS Unity」の内部機能のほんの一部にすぎません。

 ここでは、プレゼンテーションで発表された内容についてお話していきます。活字ではなく映像でご覧になりたい方は、下の動画をご覧ください。

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Virgin Galactic Spaceship Cabin Design Reveal
Virgin Galactic Spaceship Cabin Design Reveal thumnail
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 「VSS Unity」がたどるのは、重力による向心力の影響を受けて地球を周回する「軌道飛行」ではありません。軌道には入らず、弾道のように弧を描く飛行形態「準軌道飛行となります。機内には2人のパイロットと6人の乗客が搭乗できます。

 この宇宙船「VSS Unity」自体は、「WhiteKnightTwo」と呼ばれる輸送用のジェット航空機によって、高度5万フィート(約1万5000メートル)まで運ぶことを計画しています。その後、そこから離脱して数秒後にロケットエンジンを作動。準軌道へと向かう運びになります。

 実際の弾道飛行の前に「WhiteKnightTwo」は、数秒間の無重力状態を体験できるプレビュー飛行も行う予定も考えられており、乗客にダークブルーの空を提供。これにより乗客は、本当の飛行の前に訓練を行うことができる狙いも兼ねているそうです。ちなみに「WhiteKnightTwo」は、およそ6万フィート(18km)の実用上限高度を持つとのこと。

 内部の話に戻ると、「VSS Unity」はヴァージン・ギャラクティックの旅客機からいくつかのアイデアを継承しています。例えば、自分がいまどの段階にいるのか、色で点灯するLEDが前方の座席に設置されています。最初の上昇は白、ロケットエンジンが始動するとオレンジ、(ほとんど)宇宙に到着すると黒になります。座席はほぼ完全にリクライニングすることができ、機内で無重力を体験しながら飛ぶことも可能とのこと。

 「多くの点で、デザインはこの革命的旅行の中枢を担っています」と、元ウォルト・ディズニーのテーマパーク部門の責任者であり、現ヴァージン・ギャラクティックのMichael Colglazier(マイケル・コルグラジエ)CEOは説明しています。「何百、何千人もの人々に向け、彼・彼女らの人生で最も忘れられない旅を提供することができる…それがこちらのキャビンなのです」と続けています。

 またブランソン会長は、Virginは50年前に生まれたものであり、Virginが行うは常にユーザーエクスペリエンスを変革し、ビジネスの利益のために推進することを目的としている」と説明しました。

virgin galactic
Virgin Galactic

 このユーザーエクスペリエンスを、格別なカタチへと仕上げるための工夫もなされています。機内に設置された16のビデオカメラにより、1秒ずつ体験が記録されているように設計。輝く星々や映画でしか見たことのないような惑星の輪郭に目を奪われ、ユーザーが見落としてしまったことに後悔しないための配慮です。各舷窓には、宇宙空間の写真を撮るためのカメラが設置され、床と天井にはキャビン内の撮影用として使用されます。地上に戻ったときに、それらのコンテンツをダウンロードすることができるので、宇宙服を着た自分の姿を記念にプリントすることもできるのです。

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 しかし、この近未来的な乗り物の運用開始までは、まだしばらく時間がかかります。「VSS Unity」のセットアップを完了することに加えて、他のテストフライトを実行する必要があります。過去数年間のうちに成功した2回のフライトは、カリフォルニア州のモハーベ航空宇宙空港から離陸しました。しかしグループの空港は、ニューメキシコのいわゆるSpaceport Americaにあり、宇宙船「VSS Unity」とその保護者である「WhiteKnightTwo」はまだそこでのテストに成功していないのです。

 ちなみにこのタイプのもう1つの宇宙港は、イタリアの航空宇宙企業SitaelとAltec(イタリア宇宙庁が管理)とのグループの署名により、プーリア州のグロッターリエで誕生予定です。

virgin galactic
Virgin Galactic

 「Spaceport Americaからのフライトが1回以上成功したら、乗客と一緒に出発します。それはこれまでにないほど、最高の旅になるでしょう」と、グループの新しいCHIEF SPACE OFFICER(宇宙事業最高責任者)であるGeorge Whitesides(ジョージ・ホワイトサイズ)氏は話します。

 彼の最初で最大のミッションは、「キャビンに施した設計の選択すべてが正しいかどうかを確認するため、乗客と同乗すること」とのことです。

Source / ESQUIRE IT