人類が宇宙(ときに空だけ)に向けて発射しているものをすべて覚えていられないほど、宇宙開発は進化を遂げています。
そこで宇宙旅行や惑星探査、移住計画など、この先10年で予定されている、ぜひチェックしておきたい重要な15のミッションをまとめました。
NASAが火星探査車を打ち上げ(2020年)
NASAは2020年7月14日から8月5日のローンチウィンドウ(打ち上げ可能な時間帯)で、「火星探査車『Mars 2020』を火星のジェゼロ・クレーターに送り込みたい」と考えています。 打ち上げ場所はフロリダ州のケープカナベラル空軍基地で、2021年2月18日に火星に着地予定だということです。
ミッションの期間は火星時間で約1年、地球に換算すると687日になると推定されていますが、過去の火星探査車と同様、かなり長期に延長される可能性もあります。
今回の探査車は車輪がアップグレードされ、荒い地面に耐えられるように丈夫になっているほか、ドリルが搭載されるようになったので、火星にある頑丈な岩や土も、削ってサンプルとして採取することができるのです。
打ち上げまでのカウントダウンに関しては、こちらで見ることができます。
「エクソマーズ」が火星の表面に到達(2021年)
欧州宇宙機関(ESA)とロシアのロスコスモス社が共同で進める「エクソマーズ計画」では、「Mars 2020」と同じローンチウィンドウで、火星の生命による痕跡を探査する予定です。
この計画はすでに始まっており、2016年には火星にメタンガスなどのガスが存在するかを調べるためのトレース・ガス・オービター(TGO)とともに、探査車の着陸実験用のエクソマーズ・ランダーも打ち上げられました。が、ランダーは地表に激突してしまいまいました。
「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」がついにミッション開始(2021年)
ハッブル宇宙望遠鏡の後継機である「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」ですが、計画は度々延期されており、2019年時点では2021年の打ち上げを予定しています。
この新たな望遠鏡は、欧州宇宙機関(ESA)が打ち上げる「アリアン5」によって宇宙へと旅立つ予定になっています。
インドが有人宇宙飛行に進出(2021年から2022年)
インド宇宙研究機関(ISRO)は2021年から2022年の間に、初となるインド人の宇宙飛行士たちを宇宙に送り込み、約1週間のミッションを行う予定と発表しています。
ISRO軌道周回機「Gaganyaan」に乗る宇宙飛行士たち(うち1人は女性の軍事パイロット)は、2019年のうちに発表される予定です。
スペースXが火星へ無人飛行(2022年)
イーロン・マスク氏が設立したスペースX社は、2022年に無人飛行のミッションを予定しており、目的は「水源を探し、危険がないか確認し、有人基地に当初必要なエネルギー源の確保、採掘可能な箇所、基地設置に適した場所などを確認」することだそうです。
「2024年には、推進剤補給所の建設と将来の有人飛行に対応する準備のため、火星への有人飛行を実現させたい」と語っているマスク氏ですが、スペースX社はこのタイムラインについて「"希望的観測"にすぎない」と言っています。
中国が3つめの宇宙ステーションを打ち上げ(2022年)
2019年初め、中国の無人探査機「嫦娥(じょうが)4号」が世界で初めて月の裏側に着陸するという歴史的偉業を達成しました。「嫦娥4号」が着陸したのは、月の最も古くて深いクレーターであるため、月の成り立ちの謎を解明する手がかりになるかもしれません。
人口10億人を超える中国の勢いは、これだけでは終わりません。
「ニューヨーク・タイムズ」紙によれば、「中国は2022年までに第3の宇宙ステーションの使用を開始し、それから10年以内には月面基地に宇宙飛行士を配置して探査機を火星に送り、地表のサンプルを地球に届けることができるようにする予定だ」と言います。
NASAとESAによる、隕石を避ける試み(2012年~2023年)
それは2015年3月のこと、小惑星の軌道を変える国際的な取り組みである「Asteroid Impact & Deflection Assessment mission(以下、AIDA)」に関して、欧州宇宙機関(以下、ESA) が小惑星捕獲ミッションで「Asteroid Impact Mission(以下、AIM)」を発表しました。これは「アメリカ航空宇宙局(以下、NASA)」 との役割分担して行われるということ。
このプロジェクトの発端は、2022年に地球に接近する小惑星を回避するため。天体に人工物を打ち込み、その衝撃で軌道を変えてしまおうという計画になります。
そこで小惑星への衝突実験を行うのが、NASAの宇宙機「DART(Double Asteroid Redirection Test)」であり、スペースX社のファルコン9ロケットに搭載して2021年6月に打ち上げる予定であると2019年4月12日にNASAが発表しています。そこで地球から約1100万km離れた小惑星ペア「Didymos」へ、2022年10月に到着する予定となっています(2015年当初の計画では、2020年10月打ち上げ2022年5月到着予定でした)。
一方、欧州宇宙機関(ESA)では小惑星ペア「Didymos」に対し、「ヘラミッション(Hera mission)」という「AIDA」の一環となる地球防御ミッションを進めています。そこで開発しているのが、宇宙船が自動運転車と同じアプローチで宇宙空間を自身で航行できる先進技術になります。
「AIDA」ではまずNASAの宇宙船「DART」が、軌道をそらすためにペアのうちの小さいほうの小惑星「Didymoon」に衝突。ついで2023年10月打ち上げ予定のESAの宇宙船「ヘラ」が、小惑星への衝突で生じた偏向を評価するというシナリオになっているそうです。
スペースXが初の月周回旅行へ(2023年)
ZOZO社の創業者で、アートの収集家でもある前澤友作氏が、2023年に月を周回する最初の民間旅行者となります。
しかし最近ツイートで、「いつもお金ないです」とつぶやいたことから、「本当に月に行くことができるのか?」と、世界が注目しています。
JAXAが火星衛星へ(2028年)
2025年3月、日本のJAXAの火星衛星探査計画「MMX」が火星の軌道に入ったあと、第1衛星の「フォボス」からサンプルを採取する予定です。
2011年にはロシアの「フォボス・グルント」計画が「フォボス」のサンプルリターンを試みましたが、地球周回軌道から脱出できずに失敗に終わりました。
うまく行けば、探査機は5年後に地球に帰還し、火星衛星が捕獲説によるものなのか? それとも衝突によって形成されたものなのか?という謎を解く鍵になるかもしれません。
超大型望遠鏡の完成(2025年)
興味深い宇宙プロジェクトの中には、宇宙ではなくこの地球上で起こっているものもあります。
ヨーロッパ南天天文台がチリに建設予定の超大型望遠鏡「E-ELT」は、完成すれば世界最大の望遠鏡となり、現在、最も高性能の天体望遠鏡の13倍もの光を集めることができるそうです。
米国居住区が「月軌道プラットフォームゲートウェイ」に搬入(2025年)
NASAが他国の機関と協力して月周回軌道上に建設する「ゲートウェイ」は、2020年代通して行われる大型プロジェクトとなるでしょう。
しかし、真の科学が必要とされるのは2025年に米国居住区が搬入されてからです。
現段階のデザインでは、4人の宇宙飛行士しか同時に宇宙ステーションに乗り込むことができませんが、ゲートウェイは大量の宇宙船が宇宙活動の拠点として利用し、火星へ行く足かがりとなるでしょう。
NASAが初めてプシケ(太陽系小惑星)を目にする(2026年)
「プシケ」は小惑星帯にある主要な10の小惑星のひとつであり、原始惑星の核がむき出しになったものだと科学者は考えています。そして、その詳細な姿が見られるようになりそうです。
ミッションは2022年に打ち上げ予定で、目的地到着までに4年かかりますが、到着後は太陽系の謎を解明するための画像が届けられ、科学の大きな一歩前進となりそうです。
ESAの「JUICE」探査機が木星に到着(2029年)
欧州宇宙機関によるこの探査計画では、ガスジャイアント(巨大ガス惑星 )である木星のみならず、ガニメデ、カリスト、エウロパの3つもの木星衛星も調査する予定です。
2022年の打ち上げから7年かけて木星系に入り、それからさらに4年後の2033年に、ガニメデの軌道に到達します。
この計画には、天国のガリレオもさぞかし大興奮することでしょう。
NASAの火星ミッション(2030年代)
厳密には、この先10年以内の話ではありません。が、とても重要なミッションとして挙げておきたいと思います。
NASAは早ければ2030年までに、火星への有人飛行を実現させることを目標としています。
NASAの計画は5段階に分けて火星に到達することで、「持続可能な人類とロボットによる宇宙飛行プログラムを通して、太陽系のより深くに人類を到達させる」ための移動計画も発表しています。
From POPULAR MECHANICS
Translation / Yuka Ogasawara
※この翻訳は抄訳です。