規則正しい食事計画や「時間制限のある食事」のことを考えると胃が痛くなってしまう人や、いつでも好きに食事をしたいと考えている人は、この先は読まないほうがいいかもしれません…。

《目次》

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◇「16時間断食(16時間ダイエット)」のやり方

24時間のうち16時間は何も食べず、8時間で食事をするというもの。身体に「食べない時間」を与えることで血糖値を正常に保つことを目指し、それによって体脂肪率を減らす効果が期待できると言われています。

名称に関しては、他にも「16:8ダイエット」および「16時間ダイエット」とも言われていますが、本記事では「16時間断食」で統一します。

アメリカで肥満とその治療の研究を行っている「Obesity Society(肥満協会)」の年次総会で発表された研究によると、「夕食を午後2時までに済ませると、その日の空腹欲求を減らすことができる。そして、それによって脂肪燃焼の可能性を高めることもできる」ということが報告されています。

つまり、「夜中にお腹が減ってしまう可能性は高まる」ことは否めませんが、より健康な身体を手に入れるという名目において、通常であれば6時間間隔で摂取する1日の全て食事を“8時間の中に詰め込む”というものです。

ですが、本当に健康に良いことなのでしょうか?

「肥満学会」の研究では、「このダイエット方法は、動物において効果があった」という結果は出ています。ですが、人間となるとどうなるのでしょうか? この「16時間断食(16時間ダイエット)」が有名になる前の早い段階から、これを実践した最も有名な人と言えば、そう、映画スターのヒュー・ジャックマンです。

そこで「メンズヘルス」UK版の男性編集者(断食の懐疑論者)が、『ウルヴァリン』役で知られるジャックマンのダイエット方法を実践し、本当に脂肪を減らすことができたかどうか?の検証しました。シャキーン‼

《挑戦対象者のプロフィール》

  • 名前:デイヴィッド・モート(ファスティングの懐疑論者)
  • 挑戦する断食方法:ヒュー・ジャックマン流『ウルヴァリン』食事プランに従う
  • 目標:鍛えながら、素早く体脂肪をカットする

◇10日間の「16時間断食」に挑戦した男性の肉体に起きた変化

ヒュー・ジャックマンが「メンズヘルス」UK版の表紙を飾ったとき、私(筆者モート)はある種の啓示を受けたのです。『メンズヘルス』誌を飾る男性は、皆さん素晴らしい体型をしています。ですがヒューは、私が常に望んでいたものを、私が気づかぬうちに手に入れていたのです。

彼の筋肉サイズと強度は、ラグビーの試合でも、その肉体の見た目の印象と同じように役立つものであったり、私のような体型にも似合いそうな体格だったのです。恐らく皆さんも思っているように…そう、私も“ヒュー・ジャックマン”(のよう)になりたかったのです。

『ウルヴァリン』の肉体美は、筋力トレーニングはもちろん、「16時間断食」の食事療法もその一因になったと言っても過言ではないでしょう。ヒューには明らかに効果があったようなので、この療法が自分にも効果があるのかどうかを調べるために、私も10日間の「16時間断食」に挑戦することを決意したのです。もちろん、この挑戦は皆さんにも効果があるものかどうか?の実験でもあります。

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Men's Health UK

◇栄養学者が解説する「16時間断食」の健康効果

研究によると、このダイエット方法は「筋力の維持にも効果が期待できる」という結果も報告されています。さらに「American Society of Clinical Nutrition(アメリカ栄養学会」の研究によると、この「断続的断食(ファスティング)」にはがんと心臓病のリスクを減らすとのこと。また、従来の科学的レビューのフィルターなしで、型破りなアイデアのフォーラムして発行される医学雑誌『Medical Hypotheses(メディカル・ハイポーサスィーズ)』では、「寿命を延ばす」という研究結果を発表しています。

栄養学者のベン・クーンバーさんは、「断食には、身体に良い生化学的プロセスを活性化させます。その1つは、“アポトーシス(apoptosis=あらかじめ予定されている細胞の死。細胞が構成している組織をより良い状態に保つため、細胞自体に組み込まれたプログラム)”や、“オートファジー(autophagy=細胞が持っている、細胞内のタンパク質を分解するための仕組みの一つ)”と呼ばれる(多細胞生物において自然に起こる現象)細胞死のプロセスです。これは死んだ細胞を掃除して処分し、毒素を一掃することを意味します」と説明します。

ちょっと難しい言葉と怖い言葉が含まれていますが、結果的には良いことばかりのように感じられます。

◇「16時間断食」の食事時間

「断続的断食(ファスティング)」は、気分的にも悪いものではありません。

私(筆者モート)は朝食を抜き(コーヒー1杯の摂取は問題ありません)、午前11時にチキン半身にほうれん草を添えて、全粒粉のロールパンと食べています。朝食は約800kcalで、そこには私のタンパク質摂取基準の約90%である50gが含まれています。昼食時間となる午後1時にジムに行き、午後3時ごろに巻き寿司かサンドイッチを食べます。夕食は午後7時までに済ませ、そこから再び16時間の断食が始まるというわけです。

思っていたよりも、この「16時間断食」で空腹を感じることはありません。とにかく、断食時間の5~8時間は寝ている時間ですから。オフィスのデスクで朝食を食べないことで、朝はひたすら仕事に取り掛かることができます。また、朝食を摂る午前11時ですが、その段階でも思っていたよりお腹は空いていません。

「1日6〜7回の少量の食事」を摂るという、量を減らして回数を増やすダイエット方法に反して米国インディアナ州のパデュー大学の研究では、特にタンパク質を多く含む食事の場合は、「食事量を多くして頻度を少なくしたほうが、実際に満腹感を高める」という結果を発表しています。

◇「16時間断食」6日目:体重が約2kg減

この研究のように、24時間のうち2/3の時間は断食しているにもかかわらず、より長い時間満腹感を得ることが期待できる…実際、私がそうでした。このチャレンジを開始してから6日後には、私は食べる物やトレーニング自体を積極的に変えていないのに、2kg近く体重が減ったのです。ジムで鍛えられたわけではありませんが、午前11時に食事することで朝食による気だるさもなく、運動をしたいという欲も湧いてきたように感じたのです。

◇「16時間断食」を成功させるアドバイス・ポイント

美容院に行くことに始まり、休暇や妊娠など人生の多くの出来事と同様に、「16時間断食」が成功するかには慎重なスケジュール設定が重要となります。もしもあなたが、一流のアクションヒーローであるなら、仕事は体型維持にかかっていることは明らか。日々、トレーニングを重ねることでしょう。そうなれば、断食期間中のホルモン作用を最大限に利用することができるというわけです。

つまり、「食事をしないと、筋肉細胞はインスリンに対してより敏感になるのです。だから食べ物を摂取することで、筋肉細胞は可能な限り受容され、運動するときには、はるかに大きな同化反応を得られるのです」と、栄養学者クーンバーさんも言っています。

ですが私のような一般人は、ジムに行くには昼休みしかありません。また、普通の日常生活を維持するためには、細胞が活性化する可能性を犠牲にすることもあります。実際、私が自宅で恋人と夕食を食べようとすれば、16時間の断食時間帯が少しずれ込み、このチャレンジ中に数回、午後11時に食事をすることを避けるため時計をリセットする必要もありました…。

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PHILIP RAMEY PHOTOGRAPHY, LLC//Getty Images

◇結論・結果:10日間で体脂肪は2%減

それにもかかわらず、10日間のチャレンジ終了時には、体脂肪は2%近くも減っていました。ヒュー・ジャックマンの身体ような結果ではありませんが、予想以上の結果で満足しています。特に、毎日の食生活から1度も食事を抜かず、8時間で食事を済ませるだけなのでとても気に入っています。

無理なく少し余分な体重を減らしたいのであれば、「16時間断食」は科学的にも効果があることが報告されていますし、シンプルな食事プランでもあるのでおすすめできます。とは言え、平日にはハードなトレーニングをしているけど、週末には社交的になるような人…ヒュー・ジャックマンのような見た目を得ることよりも、週末には遊びに行ったり、家族や友人と一緒に食事をする時間を大切にしたいというのであれば、このダイエット方法は短期的・単発的な解決方法として考えるべきかもしれません。

「断続的断食(ファスティング)」は、体格改善へのスタートです。もしもヒュー・ジャックマンのような体格を構築することを望むのであれば、「断食」は日常的かつ継続的に実施する必要があるでしょう。

Source / Men’s Health UK
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。