断続的断食(ファスティング)」は紛れもなく注目されているダイエット方法です。現時点で、食においての最大のトレンドは、「食べることを忘れる」ことになったようです。「ダイエット」と言いましたが、これは「食事療法」に近いものと言えるでしょう。そして、科学的にも体重を減らす効果が大いに期待できるという研究も報告されています。

この断食ダイエットは正しい方法で行えば、脂肪の減少を促進し、加齢による影響の一部も逆転させるこという研究結果もあります。ですが、断食方法がいくつかあるため、どの方法が自身にもっと適しているのか?気になるところでもあります。それぞれの方法が簡単に理解できるよう、ここにまとめてみました。

《目次》

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◇「16時間ダイエット(16時間断食)」とは? 効果と望ましいやり方

この名称は、1日(24時間)の中での断食する時間帯(16時間)と、食べてもよい時間帯(8時間)の比率を表しています。ひと晩中(通常は朝まで)断食し、8時間という時間枠の間に食事を行うというものです。

どのような効果とメリットがあるのか?

ヒュー・ジャックマンテリー・クルーズといった大物俳優が選んだダイエット法が、この「16時間ダイエット(16時間断食)」であり、このダイエット法はいまのライフスタイルに比較的簡単にフィットすることから人気となっていると推測されています。

「16時間ダイエット」も他の断食法と同様に、食事時間を一定時間に制限することで効果を発揮するもの。この時間制限によって摂取カロリーがデフォルトの状態で制限され、食べ過ぎてしまうことも減らせるというだけでなく、インスリンレベルを下げることによって体内の脂肪燃焼能力を向上させることが期待できるのです。

この「16時間ダイエット」は、他の断食ダイエットよりも科学的な根拠が存在します。行動科学専門誌『Behavioural Sciences』のレビューによれば、「断食時の脂肪減少率は通常の低カロリーダイエットと同じくらい(ときにはそれ以上)高い」という指摘が述べられています。

さらに、基礎科学と臨床科学の関係を実験から得られるデータを研究している専門誌『Journal of Translational Medicine』では、「時間制限のある食事法は、筋肉を維持しながら脂肪を減らすことに効果がある」とも指摘しているのです。

専門家解説のアドバイスと効果的なやり方

ということですので、筋トレ愛好家の皆さんはトレーニングの時間に合わせて、断食時間帯を設定するようにしましょう。企業の栄養学的アドバイザーも務めているダニエル・オシャネシーさんは、「午前中にトレーニングしている人は、トレーニング後すぐに朝食を摂り、筋肉に燃料を補給してから、早めの夕食をとるようにしてください。遅い時間にトレーニングする人は、朝食を脱いて、代わりに昼食をしっかりと食べるようにしてください」と、アドバイスしています。

16時間ダイエット・専門家による効果評定:★★★★☆

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◇水断食とは? 効果と望ましいやり方

食べ物もジュースもありません、水だけを飲むダイエット法です。月に1、2回、24時間「水断食」を行う人もいれば、3日間連続で行うことを推奨する人もいます。

どのような効果とメリットがあるのか?

「断続的断食(ファスティング)」の中でも、最も手間がかからないのがこの「水断食」と言えます。ですが、「最も困難である」と言えるのもこの方法です。

「水断食」が人気なのは「ある一定期間(短期間)、水のみを摂取する」というもので、24時間全くカロリー摂取をしないというシンプルなところかもしれません。例えば午前10時に遅めの朝食を摂ったなら、その後、翌日の午前10時まで水だけで過ごすということになります。断食をしていない日には、通常通りの食事をします。

専門家が警鐘を鳴らす、「水断食」の注意点と副作用

また、48時間や72時間といった長時間の断食を推奨する人もいますが、後者は医師の監督のもとで行う必要があります。

他の断食法と同様に、目的は“オートファジー”です。“オートファジー”とは、ギリシャ語の「ファジー(食べる)」に「オート(自ら)」を組み合わせた造語で、1963年にクリスチャン・ド・デューブ博士によって定義されました。そしてそれは、「飢餓状態に陥った細胞が、自らのタンパク質を食べて栄養源にする自食作用『オートファジー』の仕組み」になります。2016年10月には、これを研究解明したという功績を讃え、東京大学特別栄誉教授でもある大隅良典(おおすみ よしのり)博士がノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

断食は、この働きの促進に対する効果が大いに期待できるというわけです。理論的にはカロリー不足になればなるほど、より効果は大きくなるとのこと。そのため当然、体重は落ちます。しかしながら、他にも失うものがあります。

英国にある「キング・エドワード7世病院」の主任栄養士であるリック・ミラーさんはこう言います。

「長期間の『水断食』を終えた後に、トレーニングを行ったとします。そこで、何も支障がなかったといい人は全くと言っていいほどいませんでした。急激な体重減少がみられたとしても、ある程度の筋肉量が失われることは避けられないのです」と、説明します。

水だけを飲むダイエットでトレーニングを続けることに関して、ミラーさんは“否定的”とも言えるでしょう。「飢餓状態になると血糖値が非常に低くなり、意識が遠のく可能性もあります。サンドウィッチを食べてからトレーニングをしたほうが、『その効果は向上する』と私は考えます」とのこと。

水断食・専門家による効果評定:★☆☆☆☆

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◇「5:2ダイエット(週2日のプチ断食)」とは? 効果と望ましいやり方

前出の「16時間ダイエット(16時間断食)」は1日周期で行うのに対し、この「5:2ダイエットは1週間周期で効果を狙うものになります。つまり、5日間は普通に食べて、2日間は1日約500〜800キロカロリーの過酷な食事制限を行うというものです。

どのような効果とメリットがあるのか?

この方法は元医師で、現在はBBCなどの出演するジャーナリストであるマイケル・モズレー氏が、すでにボディビルダーの間で人気となっていた周期的なダイエット法を研究し、大衆向けにアレンジしたのが始まりです。このダイエット法は俳優のベネディクト・カンバーバッチから歌手のビヨンセまで、今も多くの人に支持されています。

低カロリーの2日間は過酷ですが、他の日は好きなものを食べてもよいという比較的自由度が高いことが人気の理由となっています。とは言っても食事ができる日には、“節度ある食生活”に心がける必要はあります。

科学的な観点からもこの低カロリーに抑える日が、脂肪減少に有効であることを示す証拠はたくさん報告されています。いくつかの研究では、一時的に摂取カロリーを減らすことで免疫系に重要な役割を果たす白血球の生産が促進され、アルツハイマー病、パーキンソン病、2型糖尿病のリスクも抑制されるということも示唆されています。

専門家解説のアドバイスと効果的なやり方

一番の難問は、“断食の日に何を食べるか?”です。

栄養士のミラーさんは、「一般的な『5:2ダイエット』のレシピとしてはひとつまみの塩と、ひとつまみの卵白を加える程度にとどめておくべき」と言います。また彼は、「“スープとクラッカー”という方法によって高タンパク食で強化し、筋肉量を減らさないようにすることも大切です」とアドバイスもします。

ここでモズレー博士が提案する男性1日の推奨摂取カロリー、その上限が「800キロカロリー」であることは注目すべきことでしょう。

低カロリーの日のトレーニングについて、ミラーさんは「アクティブな休息日」を推奨しています。「早歩き」や簡単な「サイクリング」、「お子さんとの追いかけっこ」といったものでも問題ないそうです。「パラドックスのように聞こえますが、何もしないで座っているのはいけないということです。アクティブになる機会を無駄にせず、かつ、エネルギーが不足していることを認識することが必要となるのです」と、話しています。

5:2ダイエット(週2日のプチ断食)・専門家による効果評定:★★★☆☆

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◇「ジュース断食」とは? 効果と望ましいやり方

これは文字通りの断食ダイエット方です。一定期間、果物、根菜や野菜のジュースだけを飲むものです。初心者の場合は24時間、慣れている上級者は1週間行います。

どのような効果とメリットがあるのか?

このコンセプトは数多くのハリウッドスターたちによる支持と、「緑色のものは何でも身体に良いだろう」と言う多くの人の思い込みによって広がりました。この「ジュース断食」は、「消化器官のダメージを回復し、体内の毒素を洗い流すデトックス効果がある」と言われていますが…。

この主張のいくつかには、真実と言えるものもあります。

UCLAの研究では、3日間の腸内洗浄をした後に、健康な腸内細菌が増加し、研究治験者の一般的な幸福感が増加したことが観察されています。ケールジュースはHDLコレステロール(善玉)の上昇に関連していて、柑橘類とニンジンは心臓病のリスク低下に関連しているとも報告されています。

専門家が警鐘を鳴らす「ジュース断食」の注意点

しかしながら簡単に、これに対して「いいね」ボタンをクリックしないほうがいいでしょう。

ハーバード大学の医学部が発表した論文では、ジュースの利点に関してはほとんど科学的根拠がないこと特に、身体を「解毒」し、慢性疾患に対抗できるという曖昧な主張に対して批判的な見解を示しています。確かにケールやその他の健康食品は、身体の自然治癒プロセスをサポートしてくれる研究も報告されています。ですが科学的には、飲むのと同じようにソテーしても効果があることだって示唆されているのです。

ジュースのみのダイエットは、体重を減らすのには役立つかもしれません(実際、ジュースで平均的な男性が1日に必要とする2500キロカロリーもの量をがぶ飲みすることは、かなり困難でしょうから)。それに、このダイエット法はかなりのコストが予想されます。

また、新鮮な農産物から繊維質を取り除くことになり、それだけ糖分を濃縮させてしまうことになるのです。 そして、ミラーさんはこう言います。

「ビタミンやミネラルが豊富に含まれていても、そこに凝縮された糖分を摂ることによって、インスリンのレベルは非常に高くなるでしょう」とのこと。さらに、「ほとんどのジュースには、タンパク質が含まれていないはずです。つまり、筋肉の回復をサポートするために必要な栄養素を摂取できていないことになるのです」と、警鐘を鳴らします。

専門家解説のアドバイスと効果的なやり方

「ジュース断食」は、バリ島でヨガ・リトリート(都会の喧騒から離れ、自然に囲まれた場所やリラックスできる場所にて、ヨガによって自分を精神的にも肉体的にも癒やすこと)行っている人なら可能かもしれません。ですが、タンパク質がゼロで高糖質な食事というものは、継続していくことはかなり困難であり、おすすめできるものではありません。

ですが、それでも試してみたいという人もいることでしょう。そんな人は、まずは1日か2日でチャレンジしてみてください。できれば、あまり用事がないときに実践するべきでしょう。またそのときには、ジュースの中に豆のスープをブレンドするなどして、食物繊維とタンパク質を補う方法へとアレンジするとなおいいでしょう。

ジュース断食・専門家による効果評定:★★☆☆☆

Source / Men’s Health UK
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。