アイアンマンことトニー・スタークは、本当に死んでしまったのでしょうか?

 マーベル・シネマティック・ユニバース(以下、MCU)に残されているこの謎については、『アベンジャーズ:エンドゲーム』の悲劇的な結末がその答えを出しているように思われます。私たちは作中に、トニーの墓石を確認しました。そのため、これ以上に決定的なことはありません。しかしどうやら、米投稿サイト「Reddit」の「r/FanTheories」コミュニティーの間では、そのことを対して完全なる納得はしてはいないようなのです。そればかりではなく、思いもよらない仮説まで立てているのです。 
 
 「Reddit」には2019年10月9日、ユーザーのankitkvishwakarmaさんが次のように投稿しました。「トニー・スタークは、AIというカタチでバックアップされています! 『アベンジャーズ:エンドゲーム』では、その証拠と思われる部分があります。それは、誰も気づかなかったあるシーンですが…」。

 その大胆なファン理論とは、「トニーは、インフィニティ―・ストーンを手にして指を鳴らし、サノスを消滅させたために、肉体そのものは死んでしまったかもしれません。ですが、彼のアイデンティティーはまだ、どこかのコンピューターネットワークの中で、デジタル情報として存在しているのです」という内容になります。

 そして、このマーベル映画ファンによれば、『アベンジャーズ:エンドゲーム』のラストシーンに、トニーの意識が人工知能(AI)の中で生きていることの証拠があると言うのです…。

 そんなことは、誰も気づいていないですよね⁉ 
 
 ankitkvishwakarmaさんは、「『アベンジャーズ:エンドゲーム』のラスト、トニーの死後のシーンの一部では、モーガン(トニーの娘)とペッパー(トニーの妻)が家でマークLXXXVから映し出されるホログラムを見ていました。これは、トニーが生前用意していたものです。でも、このホログラムが生前につくられたものではなかったとしたら?」と問いかけています。

 同氏はこのホログラムについて、トニーが娘のモーガンに『3000回愛している』と伝えたとき、完璧にアイコンタクトが取れているように見える…と、不思議に思ったのだそうです。

 確かにこれは不思議です。

 問題のシーンを見返してみると、ホログラムが部屋の中にいる2人を認識していることが明らかです。彼の視線は、娘と妻が座っているソファーから行ったり来たりしているのです。さらに興味深いことに、コミックには既に、この仮説を示唆するような内容が示されていたようです…。

Screenshot, Performance, Scene,
Marvel

 マーベルコミック『アイアンハート』では、「トニーが自分が死んだときのために、クラウド上に自身をバックアップしている」という展開が見られたようです。投稿では、「トニー・スタークのAIが搭載されたデバイスが、彼の後継者となるリリ・ウィリアムズという天才少女に引き継がれ、そのAIが彼女のメンターとしての役割をはたすというわけです」と説明されており、「そのAIは、リニがセカンドアーマーをつくるのを手助けし、『アイアンハート』という名のスーパーヒーローが誕生した」のだそうです。 
 
 もちろん、「トニー・スタークのAI」と聞いて最初に思い浮かぶのは、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』に登場する、AI搭載サングラスのことでしょう。『アベンジャーズ』シリーズで、トニーが身に着けていた象徴的なサングラスは、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』の重要なプロットポイントとなりました。 これもトニーが「万一のため」に、ピーター・パーカーに託したものです。

 この映画は「次なるアイアンマン」となる責任を、ピーターが受け入れていくプロセスを描いていますが、トニーのAIが登場するシーンには、まだお目にかかれていません。ですから、このコンセプトはまだいろいろな方向性の余地がありそうです。 
 
 トニーの死には反論の余地がなく、今後を決定づけるもののように感じられます…。ただ、ロバート・ダウニー・Jr.が新作映画『ブラック・ウィドウ』に出演する可能性も噂されていますが、「アイアンマン」としてのアイデンティティーが強すぎる彼が、そんなすぐに、MCUの作品に再登場する見込みはあるのでしょうか…それはあまり考えられませんね。 
 
 しかし、かつてアイアンマンがいた場所には、喪失感が残されているのは確かです。誰かが彼のマントを受け継ぎ、訓練をするべきです。もしかしたらトニーは、アイアンマンのレガシーが未来に受け継がれるよう、本当に何らかのAIを残したのかもしれません。だとしたら、そのAIが悪の手に渡らないことを祈るばかりですが…。

 とは言え、実体のない悪のAIとして復活するというアイデアも、実は結構いけるかもしれません。もしロバート・ダウニー・Jr.が、MCU作品に復帰する機会があるなら、ぜひ面白いことをやってほしいものです。彼のアイアンマンとしてのキャリアは、もうこれで十分なのでしょうか? それは神のみぞ知るところです。 

 

 

 
 

From Esquire US 
Translation / Keiko Tanaka 
※この翻訳は抄訳です