【Index】
- 「ディップススタンド」とは何?
- 「ディップススタンド」の選び方
―耐荷重を確認
―高さ調整可能か否か - 初心者も自宅で可能「ディップススタンド」を使った自重トレーニング4種目
―ディップスのやり方
―斜め懸垂のやり方
―フロントレバーのやり方
―レッグレイズのやり方 - 「ディップススタンド」おすすめ8選
- まとめ
「ディップススタンド」とは何か? 上半身の筋肉強化への道
主に高さ80~90cmほどの逆U字形からなるトレーニング器具「ディップスタンド(ディップスバーとも呼ばれます)」は、“上半身のスクワット”とも呼ばれる大胸筋や上腕三頭筋を鍛える種目「ディップス(※下記やり方を解説)」という自重トレーニングを主に行うためのアイテムです。とは言え、そればかりでなく、使い方次第で全身をバランスよく鍛えることもできる万能筋トレ器具とも言っていいでしょう。
海外の公園やビーチサイドでは、鉄棒や平行棒のようにバーが設置されているエリアもあり、そこで「ディップス」を行っているトレーニーをよく見かけることもできます。つまり海外では、それだけ日々のルーティンに加えられているレギュラーエクササイズのひとつであるということになるわけです。
そんな「ディップス」を行う際に必要となるのが、ここで紹介する「ディップスタンド」というトレーニング器具です。これは特別重いわけでもなく、左右セパレートタイプであれば、重ねて格納すれば収納面積もそう必要としません。なので、宅トレ愛好家の皆さんにはおすすめとなる筋トレ器具です。トレーニングベンチほどの嵩(かさ)張り感もない上に、自宅でのトレーニングを「さらに活性化したい」と願う人にはうってつけです。まずはこの記事を参考に自分にふさわしい「ディップスタンド」を手に入れ、筋トレ種目の幅が広がるメリットを実感してください。
「ディップススタンド」の選び方|チェックすべき2つのポイント
まず大切なのが、「ディップススタンド」の安定性です。「ディップス」とはある程度の高さで、手でバーを掴んで腕だけの中吊り状態となってエクササイズを主に行う種目です。なので、当のスタンドの耐荷重は自分の体重の2倍以上あれば、心理的に安心は増すことでしょう。一般的に販売されている商品なら、耐荷重は約120~200kgまでのものがラインナップされています。Amazonや楽天で購入できる商品を確認してみると、耐荷重は約150kg~約290kgの幅がメインとなっているようです。耐荷重の大きさは耐久性の目安にもなるので、確認を忘れてはならない項目となります。
また耐荷重以上に、そのスタンドの安定性を具現化するところが「ディップススタンド」の脚部分…しかも、床との接地する部分なので「足」とも呼べるスタンド部分です。ここの長さに加え、形状にも注目するといいでしょう。スタンド部分が長いものは、それだけ床との接地面が大きいということになるので、自重を思い切りかけたときにもブレにくく、トレーニング中の上下運動の際に起こりがちなぐらつきもあまり感じられなくなることが期待できます。また、足の形状も丸よりも四角になっているほうが面で荷重を支えるので、スリップすることも抑制されて安定感は増すでしょう。この点も、要チェックです。
高さの調整ができる「ディップススタンド」を選べば、トレーニングの幅もさらにグッと広がるはずです。中にはバーを最大限下げると、「プッシュアップバー」としても使用できるものもあります。そのタイプなら低重心のトレーニングや下半身のトレーニングにも使用可能となるので、コストパフォーマンスも求めている人には有効です。
もし高さ調整機能のないタイプの中に、自分のお気に入りが見つかった場合には注意が必要です。スタンドの高さが自分の身長と合わない場合、そのトレーニングの効率を低下させる場合もありますし、身体のどこかにストレスが偏る部分が生じ、そこを痛める原因にもつながることも否めません。なので、自分の身長に合った高さの「ディップススタンド」を選ぶこともかなり重要です。
目安としてはディップスを行ったときに、肘を曲げて上体が最も下がった時点で膝(もしくは尻)が床に着くようなら、その「ディップススタンド」はあなた向きではないということになります。
具体的なことを言うなら…おそらく初心者の場合、ディップスは大腿部から膝までは垂直に下まで降ろし、膝下から足の部分までは後ろへ90度曲げる感じで行うことでしょう。つまり、ディップス時に一番下まで降りたときには、手で掴んでいるバーの位置はあなたの身体のアンダーバストの位置ほどになるはずです。よって目安とすべきは、あなたの乳首の位置から膝までをメジャーで計ってみること。その寸法があなたのとって、理想の高さを決める上で重要な基準になるはずです。
とは言え、ディップスのエクササイズ方法には、ハイスタイルとロースタイルがあります。前述した膝下から足の部分までは後ろへ、90度曲げる感じで行うのがハイスタイルになります。その他に膝を前に掲げ、ボディと大腿部の角度を90度にして腹筋にも負荷を与えることができる方法もあります。これもハイスタイルのひとつです。
逆にロースタイルとは膝は曲げずに、足を前方へと伸ばし大腿部とボディは90度となるようなスタイル…まるで体操競技のバランスのような姿勢で行うのがこれに当たります。
以上の2つのポイントは必ずチェックして、自分好みの「ディップススタンド」をお探しください。
初心者もできる「ディップススタンド」を使った宅トレ4種目
【その1】ディップスの効果的なやり方
- まずは「ディップススタンド」の間に立ち、手のひらを内側に向け、順手で2本のバー(平行棒)を握ります。
- 腕をまっすぐにして、足を地面から離し、膝(ひざ)を曲げ安定させます。このとき、足首をクロスさせてバランスを保ってもOKです。
- 上半身を前方に傾け、息をゆっくり吐きながら肘(ひじ)が直角になるまで上体をゆっくり下げていきます。肘が外側に広がらないように注意しましょう。肩が肘と同じくらいの高さになったら2秒間くらいその姿勢を保つイメージをもってください。
- 息を吸いながら腕を伸ばし、もとの体勢に戻し繰り返します。これを8レップ × 3セット行ってみましょう。
ディップスで鍛えられる筋肉部位は?
…大胸筋・三角筋・上腕三頭筋。ディップスの利点は、上半身の角度を変えることにより、鍛えたい筋肉部位をコントロールできることにあります。
- 「大胸筋」をダーゲットにする場合:上半身を大きく前方に傾けましょう。
- 「三角筋」をダーゲットにする場合:上半身を少しだけ前方に傾けましょう。
- 「上腕三頭筋」をダーゲットにする場合:上半身の角度はできるだけ床と垂直になる姿勢を保ちましょう。
【その2】ディップススタンドを使った「斜め懸垂」のやり方
「ディップススタンド」を使用して「懸垂(プルアップ)」も可能です。踵(かかと)を地面につけた状態で行う「斜め懸垂(インバーテッドロウ、別名「ホリゾンタルプル=Horizontal Pull」)」になります。
- 「ディップススタンド」の間で仰向けに寝転がり、順手でバーをつかみます。バーは肩幅より少し広い位置にセットしましょう。
- 踵だけを地面につけ肩甲骨を寄せて、身体の角度が地面からおそそ45度になるように身体を引き上げます。このとき、お尻が下がったり脚が曲がったりしないように、身体を一直線にキープすることを意識しましょう。
- 胸部がバーに近づいたら、ゆっくりと最初の体勢に戻ります。ゆっくりと身体を下ろすことで筋肉に効率よく刺激を与えることができます。この繰り返しです。8レップ × 3セット行ってみましょう。
斜め懸垂で鍛えられる筋肉部位は?
…広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋。腕立て伏せの天地逆バーションの筋トレとイメージすると分かりやすいかもしれません。
【その3】ディップススタンドを使った「フロントレバー」のやり方・練習方法
ディップスタンド1つを活用して、「フロントレバー」に挑戦してみましょう。このトレーニング種目は、鉄棒などバーに両腕を伸ばしてぶら下がり、身体全体を地面と平行にキープするという全身運動です。
最終段階の美しい「フロントレバー」の望ましいフォームになるまで、いくつか段階(STEP 1~5)を踏んで練習してみましょう。
まずは「フロントレバー」のトレーニングに入る前に、“手首を巻いてバーを握る”「フォルスグリップ(FalseGrip)」をマスターすることが必要となります。
この「フォルスグリップ」とは、体操競技でも使われるグリップ方法で、腕と手のひらの間の手首のわずかな角度で、筋肉を上向きに引き上げるために必要なテコの原理を生み出します。このグリップ(握り方)を覚えることで、「フロントレバー」を行うときに必要となる手首と前腕を鍛えることが可能となります。
「フォルスグリップ」を学んだら、「タックレバー」をマスターしましょう。
お臍(へそ)の上にバーがあるように、1つのディップスタンドの下で仰向けに横になります。肩幅の位置を意識して、両腕でバーを握ります。そして両膝(ひざ)をそろえて抱え込み、両腕でバーを引き寄せて背中と腰を床と平行に浮かせましょう(写真参考)。呼吸をしながら3〜5秒間ホールドします。
次に、両膝をそろえて抱え込む「タックレバー」の姿勢から片脚のみを斜め上…45度くらいまで伸ばした姿勢で保つ「ワンレッグフロントレバー」をマスターしましょう。
ゆっくり脚を下ろして行き、水平で力を入れて静止するという練習です。左右交互に行い、それぞれ5秒間ホールドできるように目指してください。
動画04:30~参照してみてください。左右の「ワンレッグフロントレバー」に慣れたら、両脚を広げる「ストラドル」をマスターしましょう。
両脚をゆっくり下ろしていき、最終的に低い位置から広げた状態になります。このとき、両脚と床は平行になるようにイメージして伸ばします。こちらも5秒間ホールドできるように目指してください。
上記のSTEP 1~4まではクリアしたら、早速「フロントレバー」に挑戦してみましょう。「ストラドル」で開いた両脚の間隔を少しずつ狭めていきます。最終的に、両脚のくるぶしがくっつくところまで脚をそろえて床と平行に伸ばし、5秒キープを目指しましょう。上半身(身体全体)はバーと並行になります。
アドバイスとして、バーを握ったときに脇を締めるイメージを持って行いましょう。そして、背中の筋肉(広背筋)を使っていることを意識してください。
フロントレバーで鍛えられる筋肉部位は?
…主に広背筋ですが、腹筋・三角筋後部・上腕三頭筋・大腿四頭筋など…全身の筋肉を使う運動です。
【その4】ディップススタンドを使った「レッグレイズ(Lシット)」のやり方
こちらは、高難度の高い上級者向けのエクササイズになります。怪我のリスクを負わないために、耐荷重が大きい「ディップススタンド」を選びましょう。初級者も目標に掲げて、少しずつできるようにトライしてみましょう。
- 最初に、「ディップススタンド」の間に立ち手のひらを内側に向け、順手で2本のバーを握ります。ディップスと同じスタートポジションです。
- 腕で上半身を固定したまま、上半身の力…腹筋と股関節屈筋群の力を使って脚をゆっくり持ち上げます。このとき、両足の「くるぶし」をつけながら脚を上げていきます。
- 横から見たときに「L字」になるように、足を90度にまで上げ、持ち上げた足を、1秒ほど空中で静止させましょう。ここまでが「Lシット」です。
- そこから、反動を使わずに、腹筋と股関節屈筋群の力を使って脚をゆっくり下げます。その繰り返しで脚を上げ下げさせます。これが「ディップススタンド」を使って行う「レッグレイズ」です。お腹周りを鍛えるトレーニングとしては、かなりキツイ上級者向けと言えるでしょう。
- この繰り返しです。8レップ × 3セット行ってみましょう。
レッグレイズで鍛えられる筋肉部位は?
…腹筋・広背筋・僧帽筋・股関節屈筋群(大腰筋や腸骨筋など)
「ディップススタンド」のおすすめ8選
それではAmazonや楽天で購入できる、日本製の「ディップススタンド」から、安い価格帯のモノまでをご紹介します。耐荷重の大きさは注目するポイントですが、バーを握るグリップ素材が何か?…滑りにくいか否か? もチェックして選んでみてください。
ちなみに高さ調整機能のない「ディップススタンド」は、比較的安くなる傾向にあるので、自分に合った機能と予算を照らし合わせて選んでいくことが大切です。
STEADY(ステディジャパン)ディップススタンド
日本製で人気D2Cブランドのひとつ、「STEADY」の3段階調節可能な「ディップススタンド」です。「STEADY」独自開発の「TS System」支柱により、トレーニング中の不安定になりがちな支柱のガタつきを抑えてくれます。耐荷重150kgの安定性で、ハードなトレーニングも安心して行うことができます。グリップ素材は、厳選された握りやすい素材。3段階の高さ調整で幅広い筋トレ種目にも対応してくれます。
- 耐荷重:150kg
- 幅 × 奥行 × 高さ:約72cm × 約48.5cm × 約24cm~82cm(高さ調整可能)
- 高さ調整:3段階調節可能
YESJOY 接続可能なディップスタンド
2つの「ディップスタンド」はひとつに接続可能で、そのコネクターにより強度が増し、ぐらつきを防止してくれます。極厚の滑り止めフットカバーが床を保護し、筋トレ中の安全性と安定性を保ってくれます。フレームボディは頑丈なスチール製で、耐荷重は最大約226kg(500ポンド)。
- 耐荷重:約226kg(500ポンド)
- 幅 × 奥行 × 高さ:幅不明 × 約42cm(16.6インチ)~約70cm(27.6インチ) × 約80cm(31.6インチ)~約101cm(40インチ)
- 高さ調整:可
Amazonベーシック ディップスタンド
特筆すべきは、耐荷重が約297.4kgと大きい点です。長めに設定された滑りにくいグリップが採用されているため、汗をかいた手でもしっかりと持つことができるでしょう。また端を握っても、手を傷めにくい状態でトレーニングを行うことも可能となります。構造的には、ひとつなぎのフレームで優れた安定感が実現されています(とは言え、収納に難があるかもしれません…)。
- 耐荷重:約297.4kg
- 幅 × 奥行 × 高さ:約87cm × 82.6cm × 97.5cm
- 高さ調整:不可
iimono117 ディップスタンド
高さ調整は不可ですが、比較的リーズナブルな価格の「ディップスタンド」です。グリップ部分は、握りやすくソフト加工で握りやすく、汗をかいても滑りにくいデザインになっています。
- 耐荷重:180kg
- 幅 × 奥行 × 高さ:55cm × 37.5cm × 78cm
- 高さ調整:不可
サファイア 3段階調整可能なディップススタンド
4つのノブとボルトで簡単に組み立てられる「ディップスタンド」です。楕円形なのでで、地面との接触する面積が多く安定性を保ってくれます。高さを78cm~98cmまで調整可能ですので、身長に合わせて目的の筋トレ種目に合わせて使用ができます。
- 耐荷重:150kg
- 幅 × 奥行 × 高さ:69cm × 50cm × 78cm
- 高さ調整:可
FIELDOOR ディップススタンド
フレームの上部と下部に調節ノブがあり、高さ調節が可能です。調節ノブはダブルロックで安全性の高い構造になっています。グリップ部分は厚み5mmのEVA素材で握りやすく、手首や手のひらの負担を軽減してくれるデザインになっています。
- 耐荷重:150kg
- 幅 × 奥行 × 高さ:約50.5cm × 約93cm × 約80cm・85cm・90cm
- 高さ調整:3段階に調整可能
Lebert Fitness デザイン重視のトレーニー向けディップススタンド
パーソナルトレーナーであり、テコンドーの黒帯保持者でもあるマーク・レーベルト氏によってデザインされた器具になります。カラーはシルバーと蛍光グリーンがありスタイリッシュな印象。高さ調節は不可で、値段も高額。部屋に置いた場合のデザイン的な統一感を求める人、デザインや色を重視したい人向けとなります。
- 耐荷重:約181kg(400ポンド)
- 幅 × 奥行 × 高さ:詳細不明
- 高さ調整:不可
ISports ディップススタンド
何故こんなにも高額なのか? 理由がありそうです。まずは、合計6つのハンドグリップポジションで幅広いトレーニングの対応へと導いてくれる点でしょう。さらに最大耐荷重は約136kg(300ポンド)であり、4段階の高さ調節可能の頑丈なスチール製「ディップススタンド」。高さも約100cmまで調節できるので長身のトレーニーにもおすすめですし、さらに写真のようなダイナミックな種目に挑戦したい人にもうってつけです。
- 耐荷重:約136kg(300ポンド)
- 幅 × 奥行 × 高さ:約65cm × 約42cm × 約79cm・86cm・93cm・100cm
- 高さ調整:4段階調節可能
まとめ
汎用性の高く、自宅でできるトレーニング種目の幅を広げてくれる器具「ディップススタンド」の選び方やおすすめ商品、そして「ディップスタンド」を使った効果的な筋トレメニューを紹介しました。筋トレ初心者はもちろん、ワンランク上の本格的な宅トレを行いたい上級者でも使えるアイテムですので、ぜひ検討してみてください。