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ポップコーンは多くの人にとってなじみのあるスナックではないでしょうか? 自宅で海外ドラマを観るときや、映画館、スポーツ観戦のお供にもぴったりです。
コーンを加熱してつくりますが、ポップコーンは本当にヘルシーなのでしょうか? 答えはほとんど「Yes」ですが、「もちろん食べ方にもよります」と栄養士は言います。
「間違いなく、ポップコーンは健康的なスナックのひとつだと思います」と、ウォルシュ・ニュートリション・コンサルティングの社長であり、管理栄養士・ウェルネスエキスパートのマリアン・ウォルシュR.D.は話します。
「満腹感や満足感が得られるだけでなく、手に入れやすいうえに値段も手ごろ。トッピングや味づけも自由自在です」
ですが、注意するべき点もあるということ。「ポップコーンにはさまざまなつくり方がありますが、使用する油の量や種類、塩やその他の味つけ、調理法などによっては身体への影響も違ってくる」とウォルシュ氏は言います。
例えば、家庭でエアポップ(編集注:油を使わず熱風でコーンを爆裂させる製法)でつくられたポップコーンは、映画館で食べるような巨大な桶に入ったポップコーンよりもずっとヘルシーです。映画館でつくられるようなポップコーンは、高カロリーのバターや調味塩が大量に使われている可能性があります。電子レンジでつくるポップコーンにも添加物や塩分など、カロリーを高め、健康全般に影響する成分が含まれていることも珍しくありません。
そうは言っても、多くのポップコーンには健康効果が期待できることも事実です。ポップコーンには栄養素と抗酸化物質がたっぷりと含まれていて、間食のスナックとして楽しむことで食物繊維とホールグレイン(全粒穀物:種皮・胚芽・胚乳などが精白されていない穀物のこと。血糖値の安定化や血栓の形成の防止をはじめとするさまざまな効果が期待できるとされています[*1])を摂取することができます。
シンプルな調理で楽しむ限り、身体に良いスナックであると考えられるポップコーン。ここからは、ポップコーンが健康に良いと考えられる理由とそのための食べ方のコツをご紹介します。
ポップコーンが
健康に良いとされる理由①
全粒穀物だから
ウォルシュ氏によると、ポップコーンは全粒穀物であり、全粒穀物を食べると心臓病や糖尿病の発症率が低くなる効果が期待できるとおすすめします。
「Dietary Guidelines for Americans(アメリカ人のための食事摂取ガイドライン)[*2]によると、穀物摂取量の少なくとも半分を全粒穀物にすることを推奨していて、これはつまり1日に約48グラムの全粒穀物が必要[*3]という計算になります。「Journal of the American Academy of Nutrition and Dietetics」によると、間食としてポップコーンを毎日食べることで、全粒穀物の摂取量が増えることが示されています[*4]。
ポップコーンが
健康に良いとされる理由②
食物繊維が豊富だから
全粒穀物であるポップコーンは食物繊維の宝庫です。「American Heart Association(米国心臓協会)」によると、ポップコーンは全粒粉パンよりも食物繊維が多いとのこと[*5]。「カップ3杯分のポップコーンには3~4グラムの食物繊維が含まれています」とウォルシュ氏。男性は1日に30~38グラム[*6]、女性は21~25グラムの食物繊維を摂ることが推奨されています。Mayo Clinic(メイヨークリニック)によれば、「食物繊維は血糖値とコレステロールをコントロールし、便通を整え、体重管理に役立つ」と言います[*7]。
ポップコーンが
健康に良いとされる理由③
満腹感を得やすいから
ウォルシュ氏によれば、ポップコーンは空気を多く含むので満腹感が持続しやすいフードとのこと。米国農務省によると、バターや塩、その他のトッピングを加えないプレーンなポップコーン1カップのカロリーは約30kcal[*8]。つまり、丸ごと3カップで100キロカロリー弱ということになります。さらに、食物繊維もまた全体的な満足感と満腹感に貢献し、どちらも1日の摂取カロリーを減らすのに役立ちます。
ポップコーンが
健康に良いとされる理由④
抗酸化物質を含んでいるから
「ポップコーンには、植物に含まれる抗酸化物質の一種であるポリフェノールが含まれている」とウォルシュ氏は言います。ポリフェノールは紫外線によるダメージと戦い、いくつかのガン、心血管疾患、糖尿病、その他の病気の発症リスクを減少させることが示されています[*9]。また、ポリフェノールはスイートコーンや他の野菜に比べて、ポップコーンに多く含まれていることも研究で明らかになっています[*10]。
ポップコーンが
健康に良いとされる理由⑤
ビタミンを多く含むから
米国農務省によると、ポップコーンには以下のビタミンとミネラルがたっぷり含まれていることが示されています[*8]。
[ポップコーンに含まれるビタミンとミネラル一覧]
- カルシウム
- 鉄分
- マグネシウム
- カリウム
- リン
- 亜鉛
- 銅
- マンガン
- チアミン
- ナイアシン
- 葉酸
- ビタミンB6
最も健康的なポップコーンの食べ方は?
クリーブランド・クリニックによれば、「エアポップ製法でつくるポップコーンは油を使わないので、最も健康的な調理法だ」と言いいます[*11]。また、コンロで油を使ってポップすれば、ヘルシーな脂肪を食事に加えることもできるとのこと。その際の油は、クルミオイルやアボカドオイル、キャノーラ油、エクストラバージンオリーブオイルなどを選ぶのがおすすめとしています。
ウォルシュ氏もこの意見に同意します。
「最も健康的なポップコーンの調理法は、油やバターを使わず、塩分も最小限に抑えたエアポップ製法です。最近ではエアポップ製法のものに迫るほどの栄養成分を袋入りポップコーンも市販されています」
栄養表示をよく確認することは大前提となりますが、3カップのプレーンなポップコーンのカロリーは約100キロカロリーで、後から添加しない限りナトリウムや脂肪は含まれていないということを目安として覚えておくとよいでしょう。
ちなみに自宅で調理するポップコーンに味つけをする場合は、ホットソースやバルサミコ酢、ハーブやスパイス、ピーナッツバター、シュレッドチーズなどが同クリニックからのおすすめです。
注意:電子レンジでつくるタイプや、典型的な映画館にあるようなポップコーンはあまり健康的ではないことも…
電子レンジでつくるポップコーンには、塩分や香料が多く含まれ、化学物質が含まれていることも少なくありません。「店頭で販売されている包装されたポップコーンを食べるときは、必ず栄養成分表示と分量を確認してください」とウォルシュ氏。
映画館でよく提供されるポップコーンのカロリーは、400~1200キロカロリーです[*12]。サイズやトッピングにもよりますが、それでも1200キロカロリーはスナックとしては少量ではないはずです。
ポップコーンに「食べ過ぎ」はないのか?
厳密に言えば、どんなものでも食べ過ぎる可能性は否めません。しかしながら実際ポップコーンの場合、「この食べ物の特性上、食べ過ぎることは難しいでしょう」とウォルシュ氏は言います。
ポップコーンは空気を多く含みフワフワしています。“かさ”が多くいため、1、2カップで満腹になってしまうことも…。ウォルシュ氏は、「バターや塩などがたっぷりかかっていない限り、2、3人前ぐらいまでなら健康に悪いということはありません」と言います。そして、こう続けます。
「ポップコーンを食べるときは、トッピングを加えた場合の総カロリーをチェックしておくとよいでしょう。バターやフレーバーオイルのようなトッピングのカロリーは、あっという間に増えてしまいますので」
ただし、ポップコーンは炭水化物であることもお忘れなく。糖尿病の人など、炭水化物の摂取量に気をつけなければならない人は、ポップコーンの分量にはさらなる注意が必要であることは確かです。
[脚注]
[*1]HARVARD SCOOL OF HEALTH[*2] Dietary Guidelines for Americans [*3]PennState Extension [*4] Journal of the American Academy of Nutrition and Dietetics [*5] Journal of the American Academy of Nutrition and Dietetics [*6]MAYO CLINIC [*7]MAYO CLINIC [*8] U.S. Department of Agriculture [*9]Colorado State University [*10]American Chemical Society [*11]Cleveland Clinic [*12]CENTER FOR Science IN THE Public Interest
Translation & Edit / Ryutaro Hayashi(Esquire)