起業家たちが集い、最先端を走る企業がそろう“シリコンバレー”。画期的な発明や最新のテクノロジーを生み出す企業が次々と誕生し、新しく斬新なワークスタイルを導入しています。外から見ると、人々の願望がすべて反映された輝きに満ちた企業ばかりがあるように思えます。

 男女平等な報酬、産休と育児休暇、サステナブルな取り組み、在宅勤務、フリーデスクなど、従来のスタイルを覆すような新たな取り組みはGoogle、Apple、Facebook、Microsoftなどのシリコンバレーを代表する企業が取り組んできたスタイルです。

 これまでとは違った働き方、従業員が心のどこかで感じていた不満を解消するようなこれらの取り組みは、古い慣習の残る融通の利かない企業より、魅力的な企業に見せてくれました。

 しかし現在、これらの先端を行く巨大企業に対して抱いてた幻想は、白日の下にさらされてきていると言ってもいいかもしれません。

 アメリカの企業口コミサービス「Glassdoor」で、長年上位にいた企業はもはや10位以内にもランクインしていません。同サイトは、従業員が自身が働く会社について匿名で評価をつけることができる口コミサイトであり、新卒や中途で入りたいと思う企業があれば、誰もが気になるリアルな社内事情が一目瞭然でわかるサービスです。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Glassdoor's Best Places to Work for 2020
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 日本でも、エン・ジャパンが運営する「カイシャの評判」「openwork」などで同様のサービスを提供しています。

 「Glassdoor」のランキングは米国の企業を中心にチャート化されており、ワークライフバランスに関する8つの項目に基づきランク付けがなされます。このランキングにランクインする企業は、少なくとも1000人の従業員数を抱え、スコアの計算をするために一定の時間内にすべてのカテゴリで最低75票を獲得する必要があるのです。

 そんな「Glassdoor」が毎年発表する「雇用者が選ぶ最も働きやすい企業」ランキングの米国2020年度版で例を挙げれば、前回7位だったFacebookは23位に。前回8位だったGoogleは11位に、いずれもトップ10圏外に転落しています。

 Facebookは従業員の労働量の激化も考えられますが、個人情報の漏えい問題が相次いだことによる打撃が大きく関係しているのでしょう。またGoogleは、不明瞭なフィットビットとのパートナーシップ提携や様々な内部抗議の影響を受け、トップ10から外れるという結果になったのでしょう。

 両企業は長年にわたって、ほぼ常にトップ10にランク入りしていました。が、Facebookに関しては史上最低の結果となったわけです。

 このような状況の中で首位となったのは、2019年度は16位だったマーケティングツール企業HubSpotです。この企業はインバウンドマーケティング及びセールスのソフトウェアを販売しています。

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Getty Images

 他に日本でも馴染みのある国際的な企業は、この通りです。LinkedIn(12位)、Nvidia(20位)、Microsoft(21位)、Salesforce(34位)、Adobe(39位)、Dell(67位)、Slack(69位)、Cisco(77位)そして、Apple(84位)という結果に…。

 一方、多くの人が気になっているであろうAmazonに関しては、このランキングに入っていません。ジェフ・ベゾスの部下たちは、「自分自身と対話するほうが好きだ」ということにしておきましょう。

 今回のランキングに関して、「Glassdoor」の分析専門家であるサラ・ストダード氏はこう話しています。

 「Facebookには、多くの批判の声が寄せられていました。従業員に非常に高い生産性が求められるほど、ひとりずつが抱える業務量が多く、疲弊している人が続出しています。主な理由はこれです」と。

 そんな背景があるのに、まあまあのレベルである23位という結果には、驚きを隠せない方もいることでしょう。ですがその裏には、現状に関して、この状況はこの企業に勤める者の“使命”だと感じている人が、高い評価を下しているのだと推測されています。

 Facebookの充実した福利厚生、Googleにある卓球台、Microsoftの豊富な健康保険など…若者の失業率が30%を超えるアメリカでは、今後このような待遇は減少していくことでしょう…。しかし、彼らが幸せを求め、物事を上手く進めるために行っていく革新的な取り組みには、今後も目を光らせていきましょう。

Source / ESQUIRE IT
Translation / Misuzu Horiuchi
※この翻訳は抄訳です。