耳を澄ませば微かに響く「チクタク、チクタク」というムーブメントの囁(ささや)のほかは、格調高く寡黙に時を告げる…それが腕時計というものです。ただし、そんな中にも「ただ大人しいだけでは飽き足らない」、そんな時計もあります。
それがこの時計、スイス・シャフハウゼン州に本社を置くMoser Watch Holdingのブランド「H. モーザー」が満を持して送り出す、いわゆる「ミニッツリピーター(minute repeaters)」と呼ばれるタイプ。時針や分針といった視覚的な表示に加え、ささやかなチャイムの音で時間を報せるのが特徴です。
ケース側面のボタンの操作で、1時間・15分・1分といった単位でチャイムが鳴るように設定でき、時間を教えてくれるふというわけです。これをコンピューターに頼ることなく実現するには、かなり高度な技術が必要となるはず。そのため、時計愛好家たちの間では、「このミニッツリピーターこそが、機械式腕時計の最高峰」と言う人も少なくありません。
ではここで、「H. モーザー」の卓越した技術をご覧いただきましょう。
機会仕掛けのハンマーに打たれた「ミニッツリピーター」の小さなゴングが、美しい音色を立ててくれます。文字盤の10時の位置に光る、磨き上げられたスチール製の小さなツノのように見えているのがそのハンマーです。
そして、文字盤の外側を縁取っている繊細な金属性コイルがそのゴングになります。他のモデルとは明らかに異なるハンマーとゴングの存在によって、「ミニッツリピーター」であることは一目瞭然。ケース素材やムーブメントの構造など、あらゆる細部が特別です。ですが、その仕組みよりもなにより大切なのもの…それは持ち主の耳をくすぐる「音色」であることは間違いありません。
それでは最後に、その音色を動画でお確かめください。
Source / Road & Track
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。