ドナルド・トランプ大統領の恩赦についてはこれまで、アリゾナ州の差別主義的な保安官であるジョー・アルパイオ氏、ブッシュ政権元高官のルイス・“スクーター”リビー氏の2人に与えたものが注目を集めていましたさが、これらの意図はいずれも怪しいものです。

というのも前者は自らの支持母体の、後者は同じく側近たちの、互いに歓心を買うためのものだったと考えられているからです。そんなトランプ大統領が2018年4月22日、米国の歴史的な不正義を正すある死後恩赦を検討していることをツイートしました。そして彼を動かしたのは、なんと大物俳優のシルベスター・スタローンだったのです。

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
トランプ大統領ツイート: 
シルベスター・スタローンからの電話で、ヘビー級ボクシングチャンピオンのジャック・ジョンソンの話を聞いた。彼は幾多の大きな試練に直面しており、その人生は複雑で物議をかもすものだ。このことに長年目を向けてきたほとんどの人が主張してきたことだが、私は彼に対して完全なる恩赦を検討している。 

ボクサーのジャック・ジョンソンは、黒人として初のヘビー級チャンピオンとして1908年〜1915年にかけてタイトルを保持しました。

彼の成功は黒人差別時代の白人聴衆たちの反感を買い、引退していた白人ボクサーのジェームズ・ジェフリーズは「グレート・ホワイト・ホープ(白人の期待の星)」としてジョンソンと闘うために再びリングへと担ぎ出されました。当時ジェフリーズはこの試合について、「白人が黒人より優れていることを証明することが唯一の目的」と語っています。

ですが、この「世紀の対決」でジェフリーズは敗北し、全米中で人種暴動が起こるという結果となりました。

1913年、ジョンソンは「州境の外に売春婦を連れ出した」とする罪に問われ、陪審員が全員白人の露骨な人種的報復に基づく裁判にかけられました。この裁判で有罪判決を受けた後、ジョンソンはヨーロッパへと逃れました。7年後、彼は米国に戻り、およそ1年間の懲役に服した後、1946年に亡くなっています。

ジョンソンの恩赦を求める動きは長年あり、ジョン・マケイン上院議員やハリー・リード元上院議員などが支持していました。そして今、トランプ大統領がこれを実現する可能性に言及しているのです。

トランプ大統領を正しい道に導いてくれる人物としては、ラインス・プリーバス氏やジョン・ケリー氏(いずれも首席補佐官)に期待してきましたが、最初からシルベスター・スタローンに頼るべきだったのかもしれませんね。銃嫌いのスタローンは、次は銃規制についても大統領に進言してくれるかもしれませんね。

「スタローンがトランプ政権の一員であったら」と思うとさらに心強くなるのですが…これは非現実的ですね。

Source / ESQUIRE US
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。