ジャガー「Cタイプ」と言えば、1951年から3年間にわたり生産された伝説のスポーツカーです。1951年にはル・マン24時間レースに参戦し、ジャガーに初の栄冠をもたらしました。正式名称は「XK120-C」。1953年までに製造されたのはわずか53台で、そのうちの43台が、個人の所有者に売却されています。レースで躍動した「Cタイプ」はパワフルな走りと、革新的なディスクブレーキを搭載していました。一方、市販の「Cタイプ」は200馬力しか出せない上に、採用されていたのはドラムブレーキでした。

 レース用と市販モデルに違いこそあれ、その流麗なスタイリングの魅力は全く錆びることなく、今も多くのクルマ愛好家の心をわしづかみにしています。そんな伝説の1台が手に入る可能性があるとなったら、あなたはどうしますか?

 そんなジャガーは現地時間1月27日、「Cタイプ」登場70周年を記念して、当時の姿そのままに生産される「コンティニュエーションモデル(Continuation model = 継続生産車両)」 を“超”限定生産することを発表しました。

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今回継続生産される「 Cタイプ」の透視図。

 製造を担当するのは、イギリスのジャガー・ランドローバー・クラシックセンター。そこで1953年のル・マン24時間レースで優勝したレース用マシンが、忠実に再現される予定です。生産予定はわずか8台という超希少モデルながら、3基のウェバー40DC03を装備した3.4リッター直列6気筒エンジンを搭載し、220馬力を誇ります。レース用モデルが基となるということなので、ブレーキに採用しているのはディスクブレーキになります。さらに FIA(国際自動車連盟)公認のハーネス保持システムも、オプションで用意されています。

 ジャガー・ランドローバー・クラシックセンターは、これまでにも「Eタイプ」や「XKSS」「Dタイプ」のコンティニュエーションモデルを製造してきた実績があります。そのノウハウをフル活用するのはもちろん、ジャガーに眠るオリジナルアーカイブや「Cタイプ」のスキャンデータ、最新のCAD(コンピュータ支援設計)技術をフルに活用し、当時そのままの「Cタイプ」復活にチャレンジするというわけです。

 オリジナル設計図だけでなく、開発に携わった空気力学の権威マルコム・セイヤー氏をはじめ、当時のレーシングマネージャーのロフティ・イングランド氏、エンジニアのウィリアム・ヘインズ氏やノーマン・デウィス氏らが残した数々の記録もしっかりと保存されています。それらをもってすれば、1953年仕様の「タイプC」が正確によみがえることは多いに期待できるはず…多くのファンの期待は高まる一方です。

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Ronald Startup//Getty Images
1953年のル・マン24時間レースで「Cタイプ」に乗って優勝した、英国人ドライバーのダンカン・ハミルトン選手。
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 現在ジャガーは「Cタイプ」専用のコンフィギュレーターを一般公開し、誰でもスクリーン上で思い思いの名車をヴァーチャルで現代によみがえらせることができます。エクステリアカラーは12色、インテリアカラーは8色から選択可能です。

 また同社は、この限定生産車がいつ製造されるかについては発表をしていません。ですが、「2022年には、レースにインスパイアされたオーナーのための祝賀イベントを開催できるようになるはずだ」と述べています。同社は価格も明らかにしていませんが、オリジナルの「Cタイプ」はこれまでオークションでの落札価格は、日本円で億単位になっているほどです。このことを考えると、今回のコンティニュエーションモデルは、相対的にお買い得になることは間違いないでしょう。

Source / Road & Track
Translate / Esquire JP
この翻訳は抄訳です。