2月23日は「富士山の日」

2月23日(木・祝)は「天皇誕生日」。1960(昭和35)年、皇太子浩宮徳仁親王として誕生し、そして今上天皇となって4年の年月が経とうとしているこの日に63歳となりました。誕生日の会見では、今年結婚30年を迎える皇后・雅子さまへの思いを述べられ、加えて「寒さの中にも日ごとに春に向かっているのを感じます。皆さん一人ひとりにとって穏やかな春となるよう願っています」というお言葉が、穏やかに身体に染み入るのを感じながらテレビを観ていました。すると、話題は富士山に…。そうです、2月23日は「富士山の日」でもあります。思いは同じく日本の象徴、富士山へと飛びます。

なぜ、この日が「富士山の日」なのかと言えば、昭和な人間には素直に納得の語呂合わせ…2(富)2(士)3(山)というわけです。1998年(平成10年)に静岡県と山梨県が共同で制定した「富士山憲章の理念に基づき、富士山を後世に引き継ぐことを期する日として、富士山の日を設けたそうです。

fuji mountain
ArmadilloCommander//Getty Images

「まさにそのとおりだ!」と膝を打つ私――自身、「富士山の日」が2月23日であることも知っていたし、標高に関してだって「3776メートル(山体の最高地点 3776.12メートル、三角点の標高 3775.51メートル)」と小学5年の頃(2014年までは、3775.63メートルとしていましたが…)から忘れたことはありません。なぜ「小5の頃」と覚えているのかと言えば、当時はまっていたTVアニメ、「超電磁ロボ コンバトラーVの身長は57メートル(ちなみに体重は550トン)」と刷り込まれた時期と一緒と記憶しているから。そんなスペックとともに、その崇高なる美しさも心に刻まれているはずなのに…。ついつい、その存在を忘れてしまっている自分を反省する日となりました。

その姿を東京の高台や高層ビルの上層階などから目の当たりにすれば、およそ100キロメートルの距離など関係なく心はトキメキ、パワーが得られたような気分になります(私の勘違いなのでしょうか?)。 名古屋・京都・新大阪などへ新幹線で出張する際には静岡駅を出てすぐ、安倍川を渡り終えたあたりからの数秒間を見逃さないよう心に決めて乗車する自分もいます。ぐっと距離が近くなってはっきり見える富士山は、最高です。もしかすると、その姿が最も美しく雄大な富士の景色と言えるかもしれません。

大観らの「富士山」が
体感できる特別鑑賞会

そんな思いで過ごしていた2月末、幣社発行のハイクオリティマガジン『Richesse(リシェス)』からお話をいただきます。それは、日本画専門の美術館である山種美術館で行われる【特別展】世界遺産登録10周年記念「富士と桜 ―北斎の富士から土牛の桜まで―」において、「2023年3月11日(土)~5月14日(日)の会期内で、1日だけ『リシェス』特別鑑賞会を行うにあたって、その日、エスクァイアも協力してくれないか」というもの。

ちょうど富士山への愛おしさ倍増月間であり、さらに「美術の道に進みたい」と願っていた中学生時代の自分もひょっこり現れ、肩を押す始末。加えて、著書『能力を磨く AI時代に活躍する人材「3つの能力」』で私に“心のマネジメント”を教えてくれた多摩大学大学院 名誉教授でもある田坂 広志さんが、トークゲストでお迎えすることまで決まっている…「ぜひとも」ということになりました。

そう富士山は、2013年6月にユネスコの世界文化遺産に登録されてから、今年で10周年を迎えるのです。この登録は富士山という山の美しい風景だけでなく、自然の営みから放つ神秘性、芸術性を見出してきた日本人の自然観や文化観も国際的に認めてくれたことになります。

これまで、そんな見えない価値を具に感じ、それがあふれんばかりとなった画家たちが様々芸術作品を残してきているのです。そこには、富士山の見えない価値がさまざまな角度から具象化されていると言えるでしょう。

つまり、2023年3月11日(土)~5月14日(日)の会期内の山種美術館は自分でも思いもよらぬ、富士山のさらなる魅力が発見できる場となるはずです。そこには、富士山を描いた日本画や浮世絵を中心に、富士山と同様、日本の象徴である桜をテーマとした日本画をあわせて約50点(前後期で展示替えあり)が、「富士山を描く」「桜を描く」という2章構成で展示されています。

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葛飾北斎 画『富嶽百景』(二編)のうち「登龍の不二」 [浦上 満氏 蔵、当該頁は前期展示3/11-4/16 ※会期中、頁替えあり]
写真提供:Yamatane Museum of Art

第1章からは、葛飾北斎、歌川広重、(私の大好きな)横山大観、橋本関雪、奥村土牛、小松 均、松尾敏男などの作品が並ぶ。出色は葛飾北斎で、富士山をテーマとした集大成として刊行された『富嶽百景』(個人蔵)で描かれた北斎渾身の「登龍の不二」です。さらに、(私にとって)馬良白眉(ばりょうはくび)は横山大観の≪霊峰不二≫であり、84歳のときの作品である≪心神≫です。

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横山大観《霊峰不二》[山種美術館 蔵]
写真提供:Yamatane Museum of Art

後者に関して言えば、別格のオーラで私の心を刺激するカンフル剤のような存在と言ってもいいでしょう。この≪心神≫は山種美術館蔵なので、以前からたまに覗かせていただき、英気を養ってもらったりしていました。また、小松 均の燃えるよう≪赤富士図≫(これも山種美術館蔵)も大好きです。もう、観るたびに身体が火照ってくるほど。もはやこの特別展は、静かなる竜虎相搏(りょうこそうはく)の場と言えるかもしれません。

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小松 均《赤富士図》[山種美術館 蔵]
写真提供:Yamatane Museum of Art

一方で桜の作品は、奥村土牛、渡辺省亭、横山大観、菱田春草、上村松園、速水御舟、加山又造、そして千住 博らが並びます。「桜」を題材にした絵で見逃してはいけないのが、奥村土牛の≪醍醐≫です。この作品こそ、山種美術館蔵の中でも代表格の作品と言えます。醍醐寺の桜を描いたものになりますが、寺の塀まで含めた心象風景までも写真のような視点で切り取った同作は心が蕩(とろ)けるほどの光線を放ってくるでしょう。

千住博
千住 博《夜桜》[山種美術館 蔵]
写真提供:Yamatane Museum of Art

…とある意味、ステレオタイプの日本の代表的シンボルをテーマにした展覧会になりますが、その描かれ方は時代によってさまざま。加えて私たちはまだまだ、互いの魅力の深層までたどり着いていないと言えるでしょう。さらの日本画の中でも定番のモチーフだからこそ、画家たちはそれぞれはちきれんばかりの想いと工夫を凝らし、作品を生み出してきたに違いありません。

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奥村土牛《醍醐》[山種美術館 蔵]
写真提供:Yamatane Museum of Art

皆さんもいかがでしょう、世界文化遺産に登録されてから10周年を迎えようとする桜の季節、日本を代表する2つの魅力の奥深さを改めて再確認してみては。きっとまたとない=不二のチャンスかもしれませんので…。

※上記文中のうち、所蔵先表記のない作品は全て山種美術館 所蔵です。

◇詳細

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富士と桜
―北斎の富士から土牛の桜まで―

会期/~2023年5月14日(日)
※ 会期中、一部展示替えあり。前期:~4/16(日) 後期:4/18(火)~5/14(日)
会場/山種美術館
住所/東京都渋谷区広尾3-12-36
Google Maps

開館時間/10時~17時(入館~16時半) 
入館料/一般1300円
    中学生以下無料
(付添者の同伴が必要です)
定休/月曜(5/1月曜は開館)
TEL/050-5541-8600
公式サイト


Richesse & Esquire presents.
特別鑑賞会にぜひご参加を

山種美術館(東京・広尾)にて本日より、富士山の名画が一堂に会する『【特別展】 世界遺産登録10周年記念 富士と桜-北斎の富士から土牛の桜まで-』がスタート。江戸時代の浮世絵から、近現代の画家たちが描いた富士山と桜まで、優品の数々が展示されます。富士山の世界遺産登録10周年となる今年、必見の展覧会です。

4月10日(月)には、雑誌『リシェス』と「エスクァイア」が特別鑑賞会を開催。休館日の美術館を貸し切りにして、館長・山﨑妙子さんの解説と共に作品をご鑑賞いただけます。また、多摩大学大学院名誉教授・工学博士の田坂広志さんによる講演も。下記「応募フォーム」ボタンより、応募要項をご確認のうえお申し込みください。

◇詳細

Richesse & Esquire presents.
山種美術館【特別展】
「世界遺産登録10周年記念 富士と桜」
特別鑑賞会

日時/2023年4月10日(月)16時~19時(予定)
参加費/無料
募集人数/20組40名さま
※2名1組でご応募ください。※アルコールをご提供するため、未成年の方の応募はご遠慮ください。
応募方法:下記の応募フォームに必要事項を入力してお申し込みください。
応募フォーム

応募締切/2023年3月19日(日)23:59

山種美術館,富士
当日は、館長・山﨑妙子さんの解説とともに作品を鑑賞。加えて、ゲストによるトークをお楽しみください。ゲストには、「世界文化遺産登録10周年」を契機として「富士五湖地域」を新たな時代に求められる「自然首都圏」へと発展させていくことを目指して設立された協働組織体、「富士五湖自然首都圏フォーラム」の発起人の一人で代表代行でもある田坂広志さん(多摩大学大学院名誉教授・工学博士)です。
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4月10日(月)は休館日であるところ、特別に美術館を貸し切りにして館長・山﨑妙子さんの解説と共に作品をご鑑賞いただけます。また、ご来場の皆さまにフランチャコルタをご提供。さらに「堂島ロール」でお馴染みのモンシェールから、フランチャコルタに合わせたスイーツ&ソルティも(写真はイメージ)。加えて、ラグジュアリースキンケアブランド「ITRIM」より、トライアルセットもお土産としてご用意しております。

ドレスコード/なし
トークゲスト/田坂広志さん(多摩大学大学院 名誉教授 シンクタンク・ソフィアバンク 代表)
協力/フランチャコルタ協会、モンシェール、ITRIM


※お申込みにはハーストIDの取得が必要です。(ハーストIDのログインIDとパスワード欄があり入力が必要になります。お申込み時にハーストIDの申込みもできます。)
※2名1組でご応募ください。
※応募者多数の場合は編集部にて審査の上決定させていただきます。当選者へは順次Eメールにて、2023年3月22日(水)頃までにハースト婦人画報社よりご連絡させていただきます。落選者にはご連絡いたしません。あらかじめご了承ください。
※当選者へは、登録フォームでの出欠の確認をいたしますので、そのお返事をもって、参加決定とさせていただきます。場合によっては、関係者枠解放や増席・キャンセルによって、繰上当選をさせていただきますので、イベント開催日直前の連絡がある場合もございますこと、あらかじめご了承ください。
※現地集合、現地解散、会場までの交通費は当選者負担とさせていただきます。


※天災、災害、ウイルスのまん延等の公衆衛生に関わる緊急事態、国若しくは地方公共団体の行為、規制若しくは要請、またはその他の不可抗力により、本企画内容を変更、または中止とする場合がございます。
また、同様の観点から予告せずイベント内容を変更する場合がございます。あらかじめご了承ください。

※本イベント中及びイベント参加行動中の安全管理は参加者自らが十分に注意して行うものとします。本イベントやイベントの参加行程で発生した事故、怪我、疾病、所持品の紛失や破損による一切の損害について、イベント企画者はイベント企画の責めにより発生した損害を除き、責任を負いかねます。


【新型コロナウイルス感染症への対応について】

イベントの実施にあたり、皆さまが安心して参加いただけるよう、新型コロナウイルス感染拡大予防対策に万全を期しております。
以下の感染症対策をご理解の上、ご協力ください。
1.館内ではマスクの着用を推奨しております。
2.咳・発熱などの症状がある方は、イベントへの参加をお控えください。
3.参加中に気分が優れない、体調が悪くなった際には、スタッフまでお知らせください。
4.集合までの移動、また解散後は、各自にて感染予防対策をお願いいたします。


【個人情報の取り扱いについて】

ご記入いただいた個人情報およびアンケートの回答は、ハースト婦人画報社にて管理し、下記の個人情報の取扱いに従って利用いたします。また、個人が特定できない統計データとして、よりよい誌面・サイトをつくるため、および弊社や関係する第三者企業のマーケティング活動のための参考資料とさせていただきます。
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