アメリカではファイザーのワクチンは順調で、私たちアメリカ人はcheugy(意味は後ほど説明します)な気分です。気候も良くなってきましたし、希望が見えてきたと言ってもいいかもしれません。そして、ミームも絶好調です。

 トラウマ的な1年以上の年月を経て、私たちは最悪の状況を楽しみに変える方法を徐々に身につけ(スエズ運河のミームを見てみてください)、思いがけないところに笑いを見出しています。まさにミーム天国と言えるでしょう。今や私たちは、ポップカルチャーの瞬間をインターネット文化の定番にしています。

 ジョー・バイデン大統領の就任式ですら、ネットのネタになりました。2020年に流行したミームが私たちの現実逃避を表していたとするなら、2021年は映画『ゼロ・グラビティ』(2013年の昨品)のサンドラ・ブロックのように、完全に正気を失ったときに何が起きるのか?を表しているのかもしれません。

 ネット上のトレンドが大好きな私たちは、ある瞬間を切り取って、とんでもなく馬鹿げたネタにする方法を会得したと言えるでしょう。

 これからご紹介するのは、2021年上旬に話題となった一部のミームにすぎません。「椅子に座ったバーニー」が最後のミームになることはないでしょうが、2021年ベストミームの座から引きずり下ろすのはちょっと大変そうです…。

 それでは、順に見ていきましょう。


"Cheugy(チュージー)"(5月)

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
"cheugy"って、ただ"ベーシック"って意味じゃないの?

 もしかしたら、これは美学のようなもので、ミームではないのかもしれません。このリストに"cheugy"を含めたことで、私たち自身がcheugyになっているのかもしれません。とは言え、どの世代においても、このコンセプトには新しい名前がつくようです。Z世代の用語である"cheugy(チュージー)"は、少し時代遅れなものや“頑張り過ぎたもの”を意味します。デニムジャケット? それはCheugyです。ミームのリストを読む? それも多分Cheugyかもしれません(笑)。

パンデミック後は別人になれる(4月)

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
「パンデミック後は別人になれる」

 「ニューヨーク・タイムズ」紙が「You Can Be a Different Person After the Pandemic(パンデミック後には別人になれる)」という見出しの記事を掲載したところ、ネット上ではすぐに大爆笑が起こりました。このような不条理な見出しは、ミームの材料としてぴったりです。女優クリスティン・ウィグが言うように、「私たちは変わらないけど、成長すると思う。少しだけね」といったところです。

Lil Nas Xの『Call Me By Your Name』(4月)

tiktokView full post on Tiktok

 Lil Nas Xが2021年4月にリリースした新曲、『Montero』のミュージックビデオはミームの宝庫で、あらゆるSNSに登場しました。ですが、これを完璧に見せたのはTikTokです。地獄へ落ちていくシーンを使って、世界中のユーザーがリル・ナズ・X(Lil Nas X)のポールダンスのスキルを、2021年最も面白いミームの1つに変えることに成功しました。

一緒にハイになりたいドリームチーム(4月)

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
一緒にハイになりたいドリームチーム

 「Dream Blunt Rotationドリーム・ブラント・ローテーション)」は、有名人や架空の人物のグループの画像によく使用されるキャプションで、喫煙グループを想定した話になります。これ以上の説明は控えますが…。

 でも、あえて言わせてもらうなら、ロッティを入れることは賛成です。このラインナップはいいですね。

オプラによるハリーとメーガンのインタビュー(3月)

(左)2時間の映画 (右)6シーズンのザ・ソプラノズ

 ここ数年で最も注目されたインタビューの1つから、2021年に最も人気のミームの1つが誕生したのも納得です。ミーム化された瞬間はいくつかありましたが、物思いにふけるオプラと「ちょっと待って」と言うオプラの組み合わせほど注目されたものはありませんでした。

グラミー賞でのビヨンセ(3月)

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
このビヨンセの表情、まさに私がいつもZoomに参加するときの顔。

 ビヨンセはあまり公の場に姿を現さないため、ミームの格好の餌食(えじき)になりやすい人物です。彼女の表情豊かな顔は、私たちの感情を表現するのにぴったりというわけです。

 この画像は、グラミー賞でステージを降りようとするビヨンセが、史上最も多くの賞を受賞したアーティストになったことを発表するために止められたときのものですが、その顔から察するに誰もビヨンセを止めることはできません。彼女は2021年のグラミー賞で歴代最多受賞シンガーとしての記録を樹立しました。

景気刺激策の小切手、"The Stimmy"(3月)

銀行の残高:1400ドル
ガールスカウトへのセリフ:チョコミントクッキーちょうだい(アメリカのガールスカウトたちは、ガールスカウト評議会と個々の軍隊を支援するための資金を調達するために、クッキーを販売しています。中でも有名なのがチョコミントクッキーです)

 パンデミックから1年以上が経過しましたが、私たちにできるのは笑うことだけです。そのおかげで泣かずに済んでいます。

 恐ろしい状況の中で生まれた最も愉快なミームの1つは、銀行口座に政府から振り込まれた1400ドルの小切手を使って、多くのアメリカ庶民が立てた綿密な計画です。一文無しの時代は終わりました。私たちは富を手に入れたのです。

スエズ運河封鎖事故(3月)

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
元に戻してもっと船を追加しよう!

 船は運河に留まるべきでした。今すぐ船を戻しましょう。

『ワンダヴィジョン』のキャスリン・ハーンのウインク(3月)

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
「私には学生ローンを解約する法的権限がないわ」

 キャサリン・ハーンは2021年も多くをもたらしてくれましたが、特に汎用性の高いミームを提供し続けてくれています。嘘を伝えたいときは、このスクリーンショットを送れば誰にも怒られません。

 キャサリン・ハーンがウインクしてるってことは、嘘をついてるな!というわけです。

ワクチン接種開始(3月)

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
ファイザー、モデルナ、ジョンソン&ジョンソン

 ワクチンを受けれられるようになるまで、あと少し。それまでの間、新しい私たちのお気に入りのトリオを祝うために、過去最高だったトリオに敬意を表してみてはいかがでしょうか? 何か楽しいことをしなければ、やってられませんから。

私はネコではありません(2月)

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
2019年:すみません、今日は遅刻しそうです。
2020年:おっと、ミュートになっていました。
2021年:私はネコではありません。

 自宅隔離や新型コロナウイルスによる規制が始まって11カ月が経ちましたが、Zoomミーティングの複雑さを理解できない方がまだいるようです。

 ある不運な弁護士は、非常に重要な会議の最中にネコのフィルターを解除する方法を見つけられませんでした。約30秒間、プレシディオ郡のロッド・ポントン弁護士はネコの姿で会議に参加しました。その30秒間は、30年くらいに感じられたことでしょう。

ザ・ウィークエンドのスーパーボウルのパフォーマンス(2月)

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

 ザ・ウィークエンドのスーパーボウルのハーフタイムショーを見て目眩(めまい)がしたのは、あなただけではありません。心理的に曲がりくねったびっくりハウスのようなパフォーマンスが終わる前から、ネット上ではスーパースターのスクリーンショットを使ったミームが生産され始めました。

 さようなら、カーニさん。この街には新たな目がグルグルするようなレジェンドが誕生しました。

シルエットチャレンジ(2月)

 私たちは、あまりにも長く自宅に閉じ込められすぎたようです。ポール・アンカの曲『Put Your Head on My Shoulder』をセクシーなアンセムとして使用した、職場では見ないほうがいいこのミームには、性欲があふれ出ています。

 最初はただ立っているだけかと思いきや、フィルターがかかって服を脱ぐと、あっという間にセクシータイムが始まります。皆さん、今すぐ冷たいシャワーを浴びて頭を冷やしましょう。

不機嫌なバーニー(1月)

 もともとは、バーニー・サンダース上院議員がおなじみの不機嫌顔で、1人で折りたたみ式の椅子に座っていただけでした。ミトンをつけて…。

 しかし、これを見逃す人などいませんでした。ネタにするしかありませんよね!? そのエネルギーはあまりにも強烈だったため、人々はすぐにその雰囲気に共感し、彼を写真から切り取ってあらゆる場面に登場させるようになりました。今、彼はあなたの好きな場所で、いつも通り不機嫌に生きています。

アナ・デ・アルマスの等身大パネル(1月)

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
ベン・アフレックの自宅にあったアナ・デ・アルマスの等身大パネルが、ゴミ箱に捨てられる様子が目撃されました。(2021年1月18日)

 まさに、(ネタを)与え続けられる贈り物です。アナ・デ・アルマスとベン・アフレックが破局したことが報道された日、ネット上にある写真が登場しました。

 アフレックはなぜか彼女の等身大パネルを所有しており、さらに奇妙なことに、誰かを雇ってそれを捨てさせたようです。ネット住民は早速これを気に入り、受け入れ、そして死ぬほどフォトショップで加工しました。これは1年中続くことが予想されます。ドーナッツを買いに行く姿が、もう見られないのは悲しい限りですが…。

船乗りの歌 (1月)

これはtiktokの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

 スコットランドの郵便配達員であるネイサン・エヴァンズさんは、1月に自身のTikTokにシーシャンティ(船乗りの歌)の『Wellerman』のアカペラカバーを投稿して、ミームを誕生させました。

 数日後には、多くの人々がオリジナルのTikTokに自分の歌をデュエットして、ミームは大流行しました。いろいろなセリフを入れられるところが、楽しまれているようです。これは間違いなく、何世紀も前に最初のシーシャンティ(労働歌の一種である。かつて大きな貿易帆船の甲板で作業に従事する際に、伴奏としてよく歌われていた)がつくられて以来、白人文化が何かに貢献した初めてのことでしょう。

 激動の月でしたが、このミームはオンラインの嵐の中で私たちに少しの静けさを与えてくれました。また、このジャンル自体の勝利も忘れてはいけません。シーシャンティが、今ほどGoogleで検索されたことはないのですから…。

Source / ESQURIE US
Translation / Yuka Ogasawara
※この翻訳は抄訳です。

esquire japan instagram

Esquire Japan Instagram