「007」シリーズのテーマ曲は、シリーズ各作品の時代性や作品の志向性を示す、貴重な「バロメーター」となるものです。
シリーズ20作目『007ダイ・アナザー・デイ』(2002年公開)のテーマ曲は、マドンナの「ダイ・アナザー・デイ(Die Another Day)」でした。この曲は挿入される映像シーンも手伝って、苦痛に喘ぐ声がリアルに聞こえてくるような実にマドンナらしい曲でした。
また、ダニエル・クレイグが6代目ボンドに抜擢されたばかりのシリーズ21作目『カジノ・ロワイヤル』(2006年公開)では、クリス・コーネルが歌う主題歌「ユー・ノウ・マイ・ネーム(You Know My Name)」も硬派路線のカッコいい楽曲となりました。
傑作との評価の高いシリーズ23作目『スカイフォール』(2012年公開)では、アデルの歌う主題歌「スカイフォール(Skyfall)」は、シリーズのルーツへと回帰したクラシックな仕上がりとなっています。
ある関係者によると、最新作『BOND 25(仮題)』の主題歌は、世界で高い人気を誇るシンガーソングライターのエド・シーランが担当する可能性があるそうです。
「ボンド筋」を自称する関係者は「デイリー・ミラー」紙に対し、「ダニエルは娘のエラからエド・シーランの曲をすすめられた」のだと明かしました。「彼女がエド・シーランのファンで、ダニエルはすっかり彼の曲を気に入っており、テーマ曲として希望しているようです」と語っています。
もちろん、まだ実際には決定しているわけではなさそうですが、自身の地元英サフォーク州をこよなく愛し、よく歌の中にも登場させるお茶目なシーランがどんな路線を狙うかと思うと楽しみでたまりません。アデルやサム・スミスなどのように、抒情的ドラマチック路線な曲にするのか? はたまたデビッド・モラレスがティナ・タナーが歌う「ゴールデンアイ」をクラブリミックスしたときように…ダンサブルなテーマ曲になるのか? さて、どうなることやら。
前出の「ボンド筋」とは、「前回大ヒットとしたという事実もあり、アデルがもう一度登場するという噂もあるが、エド・シーラン案も真剣に検討されている」として、「ダニエルは主演を務めるだけでなく、プロデューサーの一人でもあるので、彼はあらゆる点で大きな影響力を持っているので…」と強調しました。
ただ、「問題となっている点は、エドの作品はより若年層に訴えるものであるのに対し、アデルはあらゆる年齢層に万能だということになる。もちろん、他のアーティストも候補に挙がっているけど…」との付け加えています。
とは言いますが、シリーズ22作目『007 慰めの報酬』(2006年公開)の「ジャック・ホワイトとアリシア・キーズのデュエットはどの世代を狙っていたのか?」という問題が宙に浮いたままになっていますが…(これは日本でも、不思議でしょうがない方も少なくなかったでしょう)。
実はシーランが数年前からひっそりと、「007」のテーマ曲を温めていたことが発覚しています。彼は2017年にテレビ番組『ザ・レイト・レイト・ショー』で、その曲を「約3年前」につくっていたことを明かしました。が、詳細については、「誰かが真似するかもしれないから、言わないよ」と詳しく語りませんでした。
シーランが『ザ・レイト・レイト・ショー』で語ったコメントは、彼の楽曲の歌詞のような少し軽い感じにも聞こえますが、クリスマスソングやバースデーソングなど、過去7年間の彼の驚異的な創作活動を考えれば、「007」テーマ曲の依頼が来てもおかしくはないことでしょう。
「ボンドカー」と同じくらい、楽しみな「007」作品の主題歌です。まだ作品の内容が公になっていないため、どのくらいシリアスな作品であるかは分かりかねますが、硬派なテイストの作品でなければ、エド・シーランのイメージはぴったり合うことでしょう(え、硬派路線でもエドでしょ!? と言う方も少なくないでしょうが…)。
From Esquire UK
Translation / Keiko Tanaka
※この翻訳は抄訳です。